chapter:56 世界を包む混乱、未だ晴れず
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「星喰みは打ち砕かれてなどいなかったんだわ……ただ封じられていた、遠ざけられていたにすぎなかった」
「じゃあザウデは星喰みを世界から遠ざけていた……?」
「そうだ、それが今、還ってきた。古代にもたらすはずだった破滅をひっさげて!
よりにもよって、この私の手でか!これは傑作だ、はははは!」
自身がやった事は世界を正すばかりか破滅へと進ませた、という事実に心が壊れたのかアレクセイは狂った様な動作を繰り返す
ザウデは巨大な兵装魔導器という存在などではなく、星喰みを世界から遠ざけていた楔の存在であった事にリタも驚愕を露にする
その中で上空に佇む魔核が力を使い切った為にかエアルが電流として漏れ始め、浮遊を固持出来ずにいた
「危ない!!」
「我らは災厄の前で踊る虫けらに過ぎなかった。絶対的な死が来る、誰も逃れられん」
「いい加減、黙っときな」
「……!ユーリ、だめっ」
狂った様に絶望の言葉を呟き、自らを嘲笑うアレクセイへユーリはアルシアの静止の言葉も聞かずに風を切りながら、アレクセイの体を斬りつけた
「もっとも愚かな……道化……それが私とは、な……」
魔核が落下するのを予期し逃げ出すユーリとは違い、自身を嘲笑いながら涙を流すアレクセイは落下してきた魔核の下敷きとなる
衝撃で崩れ始めたザウデに慌てて逃げ出すアルシア達だったが、ふとユーリが離れた位置にいる事に気付き、振り返った
「ユーリは!?」
「きっと向こうにいるよ……」
「っ……」
「あ…っちょい待ち!アルシアちゃん!」
振り返った先はすでに魔核によって塞がれていたが、それをものともせずにアルシアは体に鞭を打ち、彼の元へ駆け出してしまった
一方別方向に逃げていたユーリは現れた『星喰み』を見上げ、ミョルゾの壁画の文章を思い出す
「……『星喰み虚空へと消え去れり』
確かに滅ぼしたとは言ってなかったが……ろくでもねぇ遺産を残していきやがって」
「…!」
眼前にユーリの無事を確認出来たアルシアが彼に駆け寄るよりも早く、自分の隣を誰かが通り過ぎていった、自分の他に誰が――
それを考えている中で耳に鎧が擦れる音が煙の中から聞こえた、その音を頼りにユーリは振り返った
「フレンか?」
無防備に振り返ったユーリの懐へと誰かが飛び込んできたのと同時に腹部に走る痛みに彼は目を見張る
刺された衝撃に後ずさる彼が見たのは……自分を刺したのであろう剣を取り落とし、驚愕と恐怖に愕然とした表情を浮かべたソディアだった
「っ……?!ユーリッ!!」
為す術もなくザウデから落ちていくユーリを追いかける様にアルシアは躊躇う事なく、自身もザウデから飛び降りた
狼狽えるソディアの声を背中で聞きながら、目前で落下していくユーリを風圧で潰れそうになる瞳で必死に捕らえる
―今、度は…今度は私、がユーリを助け、なきゃ……!
何故ソディアがユーリをあの状況で刺したのか分からない
元々彼女はユーリを良い様に思ってはいなかった、なら先程アレクセイの攻撃からユーリを守り、傷付いたフレンを見て、その思いが限界を超えたのだろうか…
―後もう、少し……っ
伸ばした腕はユーリの腕を掴むに至ったが、それと同時に二人の体は堅い海面に叩き付けられ、海底へ引きずり込まれる
海面に叩き付けられた痛みで開いた口に海水が大量に流れ込み、呼吸も出来ぬままに意識は体と共に海底へ落ちていく
それでも自分を命がけで助けてくれたユーリを離さない様にとアルシアは腕に力を込めた、決して、決して離しては行けない
―誰、か……
けどこの状況を一人で打破出来る程の余力は自分にはない様で、救いを求める様に海上へ手を伸ばした所で最後の空気が気泡となり、消え失せた
世界を包む混乱、未だ晴れず
(このまま、終わる訳にはいかないのに、)
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