chapter:55 優しい声で生きてもいいんだと、
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「二人だけでアルシアと戦うなんて無茶だよ…!」
「何考えてんのよ、あいつら!」
「アルシア……ッ」
「……やらしてやろうや、幼馴染み同士にしか出来ないこともあるだろうしね
まあ、こんな事態を引き起こした俺が言うことじゃないけどさ」
自我を失い、アレクセイに刷り込まれた戦意に沿ってジェミニを構えるアルシアへ駆け出したフレンとユーリを見つめ、レイヴンは瞳を細める
深層意識に落ちた自我の中で彼女は幼馴染みの二人を選んだ、それは…彼らに自分を助けて欲しいから、決して殺して欲しくて選んだのではない、そう信じたくて
「……ごめんよ、アルシアちゃん」
呟かれた謝罪の言葉は剣と剣がぶつかる音色によって掻き消された
「蒼破ぁ!」
「は…っ」
「な…っ?!」
「ユーリ、後ろだ!」
剣先からアルシア目掛け、鋭く放たれた青白い剣閃は恐怖を感じていない彼女の突きによって相殺され、その踏み込みを維持しユーリの背後に回り込み、薙ぎ払う
そこから更に回転斬りにより、彼の体は打ち上げられ、再び突きの追い打ちと具現した彼女の闘気をその身に受けてしまった
「ぐあっ…!」
「…流転せし雫よ、」
「(やべぇ、ここで魔術受けたら意識が……っ!)」
「彼の者へ清浄な「させないよ!光翔!散!」…!」
「爪竜連牙斬!そこだ!ホーリィランス!!」
「きゃっあ…!」
剣技の後の素早く謳われた詠唱に肝を冷やしたユーリの影から現れたフレンの攻撃に詠唱中だったアルシアは痛ましい悲鳴を上げ、その場に倒れる
彼女に攻撃する事を引け目に思っていた自分とは違い、容赦を見せない隣の幼馴染みにユーリは自分にはまだ甘さがあった事を自覚
「わりぃな。つかフレン、お前容赦ねぇな」
「手加減したら、こっちが負けるだろう?
それに……少しアルシアが君に言ったことを思い出したら、腹が立ってしまったんだ」
「ああ、そりゃオレにもあるわ。んじゃ今度こそ腹決めて行きますか……!」
アレクセイに捕らわれ、下町が混乱に陥ったのを見たのは同情に値する、だがそれでも自分を殺して、と願ったのはどうにも納得がいかない
自分に全て罪があると思い込んだアルシアにお灸、否反省させる為にも今度こそ、ユーリは彼女を傷付ける事に覚悟を示す
「恒久なる彼方より現れ、闇を滅せよ!ディバインストリーク!!」
「っ……!」
「どけよ!円閃牙!まだまだぁ!」
「あ、ぐっ…!」
一直線に自身を貫かんと放たれた光子に沿う様に現れたユーリに防御を崩されたアルシアはその攻撃を甘んじて受け入れる形に入る
暗く濁った瞳に変化はないが、彼女の頬に流れる涙にも似た滲んだ汗と体に出来る傷に痛ましくも思うがここで手を抜けば、攻守が転じてしまう
「…喰らえ!」
「っ…!吹き、飛べ…っ」
「ぐ…っ!」
一瞬の油断が攻撃を軽くさせたのか、連携から抜け出したアルシアは舞う様にジェミニを振り回し、交差した衝撃波がユーリを地に伏せる
「刻め…!」
「ユーリ!!」
「厳かなる大地の拘束…アドプレッシャー!」
「っ早い…!」
倒れたユーリをそれ以上に追い打ちをかけず、今度こそ詠唱を完遂したアルシアの術がフレンに深く食い込む
お互いにお互いの攻撃を深く受け、息も絶え絶え、ザーフィアス城でのエステルとの一騎打ちの方が軽かったなと今なら笑い飛ばせる気がする
「あぁぁぁぁっ!!!」
不意にアルシアの首元の術式が強く光を発すると彼女の戦意が増大するのを肌で感じる
――何か来る、その何かを防ぐ為にも二人は駆け出すが一歩遅かった
「げ…っ!」
「これは…っ?!」
気付けば、二人の周囲には深淵の闇に包まれ、その闇の中には数々の光の精霊である眷属達が散りばめられている、さながら星空の様だ
彼女の行動を防げず、その空間に放り出された二人へと剣閃が輝き、神速で吹き抜ける
「やべ…っ!」
「何だ…っ?」
剣撃に身をよじる事も許されずに為されるがままでいた所、その攻撃は不意に止む
先程までのあの剣撃の嵐が止んだ事に不気味さも覚えていると周囲に散りばめられていた眷属達が二人の傷口へ吸い寄せられる様に収束
「星の終焉の輝きに包まれ、没落の虚無へと消え失せよ……星馳流瓏衝!!」
「っ…油断した…!」
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