chapter:54 アィーアツブスなる紫陽花
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「ソディア!ウィチル!ザウデの攻撃は大丈夫だったのか」
「船は離れた位置に泊めました、我々は先発隊です。後続は少数に別れて上陸を進めています」
「用心してるんだね」
「懸命よ、下手に大勢で近づいて気付かれたら一巻の終わりってね」
「ここからは我々の務めだ、お前たちは下がっていろ」
「相変わらずだな、悪ぃがそりゃ聞けねえ」
「そんなことしたら、うちらのここまでの道のりは全部パーなのじゃ」
自身の言葉に頷かず、このまま扉の先にいるであろうアレクセイと決着をつけるつもりでいるユーリ達へ牽制としてソディアは剣の柄に手をかける
だがそれくらいの牽制では彼らは狼狽えず、逆に彼女にここは協力した方がいいとリタやパティが持ちかけ始めた
「そうじゃ、アレクセイやっつけに来たのはみんな同じなのじゃ」
「彼女の言うとおりだ、我々のすべきことはアレクセイの打倒だ」
「それとアルシアと世界を救うこと、だろ」
「ああ」
フレンに言われた事が決め手となったのか、ソディアは剣の柄から手を離し、無言で彼らと協力する事を肯定したのだった
合流したソディアとウィチルも同行者として先へ進むと水流のカーテンに包まれ、石柱とその上で浮遊する聖核に囲まれた開けた空間へと出る
親衛隊が守ろうとする背後では尚術式に捕われたまま、眠り続けるアルシアと何かの術式を解析している様子のアレクセイが彼らを悠々と出迎えた
「揃い踏みだな、はるばるこんな海の底へようこそ」
「アルシア……!」
「そこまでです、アレクセイ。これ以上、罪を重ねないで」
「これはエステリーゼ姫、ご機嫌麗しゅう」
皮肉を込めて、アレクセイは胸に手を当てるとエステルへと頭を微かに下げる
彼らが自分の目の前に現れた、という事にイエガーは役に立たなかったかと零すアレクセイへとユーリが彼が死んだ事を告げる、だがアレクセイはイエガーでさえも道具として扱っていた様だ
「最後くらいはと思ったが、とんだ見込み違いだったか」
「そうやって他人の運命を弄んで楽しいかしら?」
「アレクセイ!かつてのあなたの理想は……なにがあなたを変えたんです!」
「おまえ、まだそんなこと」
驚いた様に目を見張るユーリは自分の隣に現れたフレンを横目で見た
彼からの問いかけにアレクセイは単調とした声色で答えた、何も変わっていない、と
「やり方を変えただけだ。腐敗し閉塞しきった帝国を、いや世界を再生させるには絶対的な力が必要なのだ」
「そのためにどれだけ犠牲を出すつもりです」
「今の帝国では手段を選んでいる限り、決して真の改革がその実現を見ることはない。おまえなら分かるはずだ」
思い当たる節があるのか、アレクセイの言葉を正論として受け止めてしまったのかフレンは瞳を閉じ、口をも閉ざしてしまう
そんなフレンの様子に呆れながらも再び呑まれない様にとレイヴンが叱咤の言葉で背を押した
「ちょっとちょっと、やつの言葉に呑まれてどうすんのよ」
「世迷言……全部、世迷言なのじゃ!こいつの言うことはなにもかも嘘っぱちじゃ!!」
「……どうしてこんな笑顔を奪うようなやり方しかできなかったんです?あなたほどの人なら、もっと他に方法が……」
「理想のためには敢えて罪人の烙印を背負わねばならぬ時もある、ならば私は喜んでそれを受けよう
私は世界の解放を約束する!始祖の隸長から、エアルから、ちっぽけな箱庭の帝国から!世界は生まれ変わるのだ!!」
「くだらねぇ考えにアルシアを巻き込みやがって……世のためだろうがなんだろうが、それで誰かを泣かせてりゃ世話ねえぜてめえを倒す理由はこれで十分だ!」
ここに来ても尚、アレクセイの考えが改まらない事とその思考の為に出る犠牲に怒りを露にしたユーリは鞘を放り捨て、剣を抜く
それを至近距離で見て、フレンも覚悟を決まったのか剣の柄に手を置き、戦いに応じる姿勢を取る
「今度こそ、アルシアは返してもらうわ!」
「もう……引き返す気はないのですね」
「くどいな。悪いがこれで失礼する、なにぶん忙しいものでね」
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