chapter:54 アィーアツブスなる紫陽花
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「そんなこけおどしがどうしたぁ!」
「あれも……ヘルメス式ッ!?」
「まさかレイヴンと同じ…!?」
「おいそれ、そんな使い方したら…!」
「手品なら負けないのじゃ!」
「それが切り札だというのか…?」
自身の生命力を糧に戦う力を引き出す、その魔導器を身を以て経験したレイヴンはイエガーの本気と称した魔導器の輝きに狼狽えてしまう
―――彼は正しく命がけでこの戦いに全力で入れ込んでいる
「イッツ、ショータイム!」
「まさか俺様とおんなじとはな…!」
「レッツ、スウィングよー!」
「ッ、何よそんな魔導器の使い方…どいつもこいつも!」
「しょうがねぇ。だが同情はしねぇ!爆砕!戦迅狼破!!」
「僕は勝つよ、守るって決めたんだ…皆を!裂旋スマッシュ!獅子滅龍フラッシュ!!」
「次はミー、の……っ!」
ユーリとカロルの連携攻撃にガードが崩れ、イエガーは心臓を抑え、よろめく
本気、ということで心臓にかかる負担も大きいのだろうか、それを模索する事もなく、背後に回り込んでいたレイヴンが弓を引いた
「そらっ!」
「やったデスネ…ガ~ッデーム!これをルックした人はディープなアビスへプリーズヨ!! シャープキック!クロスにカットね!」
「ヤなこった!邪魔だ!おまけだ!喰らえ!牙王撃!」
「貴方こそ地獄の底が見えてるんじゃない?弧月閃!飛燕蓮月華!! 翔舞槍月閃っ!!」
ジュディスの鋭利な技がその身に叩き込まれるもイエガーの口元の笑みは消えず、それと同じく挑発的な言動も収まる所を知らない様だ
「オー、ウェイクアーップ!さっさと負けてリバースなさーイ、でなければここでデッドヨ?」
「へへン、お互い一度死んだ身の上、死ぬのなんて怖くないっしょ!?いつも心はピンク色、喰らえ恋心…ブッ飛んじまいな!アリーヴェデルチ!」
「死ぬ気でやれば、どんな敵にも勝てるのじゃ!フォーリンアイス!リスキーベット!」
「フフン、ユーたちとのバトルは我が心のレジェンドとなるでしょウ!イッツ、ショータイム!」
「同情はしない、ここは…押し通る。出でよ、神聖なる眷属…ルミナンサイス!」
口調は変わらないものの、額には汗が滲み出、心臓魔導器の輝きも薄れてきている様にも見えた、もうすぐ終わりが来る
それはどちらの終わりかは分からないが、自身の生命力が下がっているのに気付いているであろうイエガーは最後まで手を抜かなかった
「お別れのタァーイム! カーレス・オブ・デェース!」
「ぐうっ…ううっ…!」
「フレン!」
「これでいい加減決めるわよ!解き放たれし不穏なる異界の力、目の前の邪悪に裁きを…!ヴァイオレイトペイン!」
「ナ…ナイスファイト……」
絞り出した生命力で振るわれた攻撃を前線にいたフレンが受けたのを見ながら、その背後に控えていたリタの術技がイエガーの体を鋭く貫き、彼の体を地面に縫い付けた
倒れたイエガーへとレイヴンは彼を追ってきた理由の為に弓を引く、それを見つめるイエガーの心臓部位は…シュヴァーンの時と同じく弱々しい光を放っている
「柄じゃねえんだけど、ドンの仇取らせてもらうわ」
「油断しちゃダメ、まだなんか隠してるかもしれないわ」
「ノンノン、もうなにもありません。最後……そう、最後です」
「その胸……あなたもアレクセイに?」
「さあ……どうでしょう、ネヴァマインド」
命が消え失せる中でも変わらないイエガーの様子、そしてこうなるに至った経緯に溜まらずといった様子でエステルは彼に駆け寄ると膝を折る
何故一人で戦ったのかと、「海凶の爪」という仲間がいるのに何故彼らを頼らなかったのかと、彼が一人で戦う事を決めたその訳が分からないエステルに彼はただ笑む
「ふ…………。……グッバイ」
「待て、アレクセイは、アルシアはどこにいる!?やつはなにをしようとしている!」
エステルからの問いかけ、そしてフレンの問いかけに最後まで答える事はなく、イエガーの心臓魔導器は動くのを止め、彼の命は潰えたのを知らせていた
二人からの問いかけに答えなかったのは…クライアントを守る、という彼の仕事にかける信念からだったのだろうか
「…………なんでえ」
「「海凶の爪」…………哀れな末路じゃ……」
「あ……」
いつの間にかこの場に居合わせ、戦いも見守っていたのだろうかイエガーの懐刀でもあるゴーシュとドロワットは主の最期を看取ると走り去ってしまった
交わす言葉はなかったものの、二人の頬には主に対する想いが伝っていた
「ふたりとも、泣いてた……」
「なによ……なんだっていうのよ」
「ひどい人……だったけど、この人ももしかしたら……」
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