chapter:53 信義と忠義、そして盲目的な服従
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昨日までの騒動が嘘の様に思える帝都の朝、身支度を整え、ザウデ不落宮へ赴こうとするユーリの背中をフレンが追いかけてきた
「もう行くのかい」
同じ目線に立つ為に階段を下ってきたフレンは夕べと同じ様にユーリと対峙する
「こっちはもう少しかかりそうだ、ギルドの船を調達するつもりだったんだけど」
「なんかこじれてそうだったな」
「ドン亡き後、なかなか意見がまとまらないらしい。また追いかけることになりそうだよ」
「どっちが先にアレクセイのとこ着いて、アルシアを助けても恨みっこなしだぜ」
茶化す様に言い、歩き出そうとしたユーリは何か思い当たったのか足を止める、最初の時の様にフレンがエステルを取り返そうとしない事を不振に思ったらしい
皇女であり皇帝の跡継ぎに担ぎ出された彼女を自分達が連れて行く事に問題はある筈だが、どうやら事情が変わった様だ
「評議会はヨーデル殿下を指導者に選んだ。事実上、殿下を次期皇帝に推挙したも同然だよ」
「ふーん、だからもうエステルを追う必要もないってか」
「そこは違う。僕の中で彼女の選択を尊重する踏ん切りがついただけさ」
「ずいぶん融通利くようになったな」
「からかわないでくれ、僕なりに悩んで出した答えなんだ」
「まああいつが聞いたら喜ぶと思うぜ」
「魔導器とエアルのことはヨーデル殿下にお伝えしてみる、殿下ならきっと何か手を打ってくださるだろう
エステリーゼ様のことも……ユーリを信じるよ、アルシアのことも」
「よろしく頼むわ、いろいろ押し付けて悪ぃな。それじゃ行くわ、ザウデで会おうぜ」
今度こそ背を向け、歩き出したの背後でフレンは神妙な面持ちで呟く
その内容は昨夜にも触れており、ユーリは軽く受け流していたがフレンにとってはまだ解決したものではなかったらしい
「……世間じゃ帝都解放は僕だけの功績だと思っている、いや今回に限ったことじゃない
君のことは……いや「凛々の明星」のことさえ誰も知らない、知ろうとしていない。本当にそれでいいのかい」
彼らの功績を世界に知らせ、それ相応の対応をするべきだと思慮するフレンとは逆にユーリはそれに明確な答えを出す気はないらしく軽く手を振り、立ち去ってしまった
あやふやな彼の様子に真面目な性分であるフレンは気掛かりに思ったのか、ユーリの背を拳を作り見送る、その背後で二人の背をヨーデルが見つめていた
会話を済ませ、ラピードと共に市民街の右側の入口へ向かうと先に城を出ていたらしい仲間達が二人を出迎えた
「おはよう、ユーリ!」
「ユーリ、寝ぼすけさんなのじゃ」
「あーちょっと寝すぎたみたい、寝癖が……」
「寝癖っていまさら……」
「体調は万全、って感じだな」
「はいこれ」
充分な睡眠を取った為か晴れやかな表情で疲労を回復させた仲間の様子に安堵するユーリへと歩み寄ってきたリタが宙の戒典を返却してきた
戻ってきた宙の戒典を見ていた視線を上に上げると結界魔導器は元に戻り、帝都の平穏と安全は取り敢えず確保されていた、これもまたリタの功績だろうか
「うまくいったんだな、あとはジュディとエステルか」
「私ならもういるわ。おはよう、みんな」
今まで姿を見せなかったジュディスは街の外へ繋がる出入り口、つまり皆の背後から姿を現した
ユーリと同じ様に朝の挨拶もそこそこに、フェローと連絡は取れたのかと問われた彼女は肯定はしたものの表情は強張ったままでいた
「それがザウデのことなんだけど……始祖の隸長であれ人間であれ、あれに触れるな、って」
「……どういう意味だろ」
「なんかやばそうな言い草ねえ」
「ま、そう言われたからってはいそうですかって訳にはいかないけどな
ザウデにはアレクセイとアルシアがいる、奴のしたことをオレは許す気はねえ」
「今更、退けないのじゃ」
「そうね。フェローには悪いけど、アルシアを助けなければいけないもの」
「ここまできたら、やるしかねえでしょお」
「うん、放っておいたら世界中滅茶苦茶にされちゃうもん」
「いい覚悟だ、あとはエステルだ。リタ、見てないのか?」
フェローの言葉は気になるものの、こちとら世界とアルシアが賭かっており、返すべき借りがアレクセイにある為に引けないのだ
それを各々に示した所で唯一この場にいないエステルの所在を問われ、リタは重い口を開き、衝撃的な言葉を簡潔に述べた
「エステルは来ないわ」
「!?」
「あの子、もう戦えないから」
「おい、まさか……」
「抑制は成功したわ、ただエステルの力の発動を抑えるにはエアルの干渉を極力避ける必要があったの」
「あれ?魔導器を使う限り、エアルは絶対必要なんでしょ?」
「そう、だからあたしはレイヴンと同じ方法を採った」
「生命力を動力にしたのね、というとアルシアにもその方法を採る気かしら」
昨夜、宙の戒典というサンプルを目の前に思考錯誤していたリタが悩みながらも至った結果にレイヴンは眉を顰め、エステルに処置した方法に否定的な様子を見せた
生命力を動力にし、生きるという事を長く経験した身としてはオススメ出来ない方法ではないらしい、だがそれでも今のリタが考えられるのはその方法しかなかったと言う
「もう行くのかい」
同じ目線に立つ為に階段を下ってきたフレンは夕べと同じ様にユーリと対峙する
「こっちはもう少しかかりそうだ、ギルドの船を調達するつもりだったんだけど」
「なんかこじれてそうだったな」
「ドン亡き後、なかなか意見がまとまらないらしい。また追いかけることになりそうだよ」
「どっちが先にアレクセイのとこ着いて、アルシアを助けても恨みっこなしだぜ」
茶化す様に言い、歩き出そうとしたユーリは何か思い当たったのか足を止める、最初の時の様にフレンがエステルを取り返そうとしない事を不振に思ったらしい
皇女であり皇帝の跡継ぎに担ぎ出された彼女を自分達が連れて行く事に問題はある筈だが、どうやら事情が変わった様だ
「評議会はヨーデル殿下を指導者に選んだ。事実上、殿下を次期皇帝に推挙したも同然だよ」
「ふーん、だからもうエステルを追う必要もないってか」
「そこは違う。僕の中で彼女の選択を尊重する踏ん切りがついただけさ」
「ずいぶん融通利くようになったな」
「からかわないでくれ、僕なりに悩んで出した答えなんだ」
「まああいつが聞いたら喜ぶと思うぜ」
「魔導器とエアルのことはヨーデル殿下にお伝えしてみる、殿下ならきっと何か手を打ってくださるだろう
エステリーゼ様のことも……ユーリを信じるよ、アルシアのことも」
「よろしく頼むわ、いろいろ押し付けて悪ぃな。それじゃ行くわ、ザウデで会おうぜ」
今度こそ背を向け、歩き出したの背後でフレンは神妙な面持ちで呟く
その内容は昨夜にも触れており、ユーリは軽く受け流していたがフレンにとってはまだ解決したものではなかったらしい
「……世間じゃ帝都解放は僕だけの功績だと思っている、いや今回に限ったことじゃない
君のことは……いや「凛々の明星」のことさえ誰も知らない、知ろうとしていない。本当にそれでいいのかい」
彼らの功績を世界に知らせ、それ相応の対応をするべきだと思慮するフレンとは逆にユーリはそれに明確な答えを出す気はないらしく軽く手を振り、立ち去ってしまった
あやふやな彼の様子に真面目な性分であるフレンは気掛かりに思ったのか、ユーリの背を拳を作り見送る、その背後で二人の背をヨーデルが見つめていた
会話を済ませ、ラピードと共に市民街の右側の入口へ向かうと先に城を出ていたらしい仲間達が二人を出迎えた
「おはよう、ユーリ!」
「ユーリ、寝ぼすけさんなのじゃ」
「あーちょっと寝すぎたみたい、寝癖が……」
「寝癖っていまさら……」
「体調は万全、って感じだな」
「はいこれ」
充分な睡眠を取った為か晴れやかな表情で疲労を回復させた仲間の様子に安堵するユーリへと歩み寄ってきたリタが宙の戒典を返却してきた
戻ってきた宙の戒典を見ていた視線を上に上げると結界魔導器は元に戻り、帝都の平穏と安全は取り敢えず確保されていた、これもまたリタの功績だろうか
「うまくいったんだな、あとはジュディとエステルか」
「私ならもういるわ。おはよう、みんな」
今まで姿を見せなかったジュディスは街の外へ繋がる出入り口、つまり皆の背後から姿を現した
ユーリと同じ様に朝の挨拶もそこそこに、フェローと連絡は取れたのかと問われた彼女は肯定はしたものの表情は強張ったままでいた
「それがザウデのことなんだけど……始祖の隸長であれ人間であれ、あれに触れるな、って」
「……どういう意味だろ」
「なんかやばそうな言い草ねえ」
「ま、そう言われたからってはいそうですかって訳にはいかないけどな
ザウデにはアレクセイとアルシアがいる、奴のしたことをオレは許す気はねえ」
「今更、退けないのじゃ」
「そうね。フェローには悪いけど、アルシアを助けなければいけないもの」
「ここまできたら、やるしかねえでしょお」
「うん、放っておいたら世界中滅茶苦茶にされちゃうもん」
「いい覚悟だ、あとはエステルだ。リタ、見てないのか?」
フェローの言葉は気になるものの、こちとら世界とアルシアが賭かっており、返すべき借りがアレクセイにある為に引けないのだ
それを各々に示した所で唯一この場にいないエステルの所在を問われ、リタは重い口を開き、衝撃的な言葉を簡潔に述べた
「エステルは来ないわ」
「!?」
「あの子、もう戦えないから」
「おい、まさか……」
「抑制は成功したわ、ただエステルの力の発動を抑えるにはエアルの干渉を極力避ける必要があったの」
「あれ?魔導器を使う限り、エアルは絶対必要なんでしょ?」
「そう、だからあたしはレイヴンと同じ方法を採った」
「生命力を動力にしたのね、というとアルシアにもその方法を採る気かしら」
昨夜、宙の戒典というサンプルを目の前に思考錯誤していたリタが悩みながらも至った結果にレイヴンは眉を顰め、エステルに処置した方法に否定的な様子を見せた
生命力を動力にし、生きるという事を長く経験した身としてはオススメ出来ない方法ではないらしい、だがそれでも今のリタが考えられるのはその方法しかなかったと言う