chapter:52 抱き止めた一輪の華
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「それともうひとつ。評議会が現在の混乱収拾のため、全権をヨーデル殿下に委ねる旨、布告がなされました
そして殿下はフレン隊長を帝都解放の功により、団長代行に任命なさいました!おめでとうござます!」
「これで問題がひとつ片付いた訳だ、おめでとさん」
背後で会話を聞いていたユーリがフレンの昇進を祝うものの、彼の横槍にソディアは鋭く睨み、フレンは困惑した様に眉を顰めていた
「貴様、いい加減その気安い口を……」
「ユーリ、本当にやったのは君……」
「まあいいじゃねえか、細かいことはさ
さてと、それじゃオレは仲間の様子でも見てくるわ。またな」
ソディアから向けられる視線を上手く交わし、部屋を出て行くユーリの背中を思い詰めた表情で見つめていたフレンの事も知らずに彼は行ってしまった
足は救出したばかりのエステルと彼女を連れて行ったリタを探す、彼女達は満月の女神像のある部屋にいた
「ここで値が戻るから、そうするとこことの差が……」
どこからか持ってきた本を散らばした中でリタの足下にはユーリから預かった宙の戒典に組み込まれた術式が灯り、エステルを青紫の術式が包むもリタの表情は晴れない
「……駄目か、全然足りない」
「ユーリ!」
「……なにやってんだ、こんなとこで」
「うるさいわね、邪魔すんな!」
歩み寄ってきたユーリへと火球を飛ばそうとするリタは彼の存在に気付くと苛立っていた表情を落ち着かせ、手に浮かべていた火球を消し去る
彼女の苛立の要因にエステルに何かまずい事でもあったのかと訝しむもリタは首を横に振り、それを否定した、今はちゃんと満月の子の力は抑制され安定はしているらしい
「宙の戒典とアレクセイのシステム、どっちも大したもんだわ。しゃくだけど」
「なら何が問題なんだ?」
「……抑制の有効範囲が思いの外、限定されてたのよ
結界魔導器を中心に抑制結界が展開してて、その中なら安定してるんだけどそこから出られないの
さすがに宙の戒典一本で複数の聖核の代わりをするのは無理があったみたい」
「それって遠出ができないってことか?」
「ついでに言うと、帝都の結界魔導器もシステムの一部だから使ってる限り、帝都は無防備
だからなんとかして自由に行動できるための方法を探している訳」
「宙の戒典をエステルが持ち歩くんじゃ駄目なのか?」
その提案にリタは再度首を横に振る、今彼女の目の前にある宙の戒典はアルシアの陽月の子の力と同じく暴走したエアルを抑制するだけが目的な為、エステル自身はどうにか出来ないらしい
自由が利かないエステルだけでも難行だというのに結界魔導器の事もあって、リタの方はまだ落ち着けられないだろう、それでも彼女の意志に揺らぎはない
「とにかくリタ・モルディオの名にかけて絶対になんとかしてみせる、エステルを囚われの身に逆戻りなんてさせない
二度と物扱いになんか……」
「わかった、頼むぜ
大丈夫、心配すんな。こっちにゃ天下の天才がついてんだ」
「はい、わたしもリタを信じてます。……アルシアは大丈夫、でしょうか
目の前でみすみすアレクセイに攫われた親友の身を案じるエステルはその胸の前で指を組み、心配する色を顔に滲ませていた
ザウデ不落宮にアルシアを連れて行き、何をさせるつもりか見当もつかないがそれは彼女の命を削るものであるのは確かで二人も今にも彼女の元へ駆けつけたい程だった
「……エステルと同じようにアルシアも助け出したら抑制結界は必要なのか?」
「多分ね、さっき言ったみたいに陽月の子の力は暴走したエアル限定に発揮するようなものだから、自分の力は抑制出来ないと思う
そもそも最初から自分で抑制出来るなら、封印魔導器なんていらなかったでしょうし」
「アレクセイはアルシアにこれ以上、何をさせようとしているんでしょうか…」
「とにかく陽月の子の力を抑制する為の結界なり術式なりはこっちで何とかしてみせるわ、アルシアの命をこれ以上軽々しくなんかさせない…
明日には間に合わせるわ、あんたはさっさと寝てなさい」
「へいへい。おまえも無理しすぎんなよ、エステルもな」
一通り仲間とも会話をこなし、明日の決戦の為にも残せない戦いの疲れを癒す為にユーリは一人先に眠りについた
仲間がしっかりと睡眠を取ること、そして一人捕われたままのアルシアの身を案じながら
抱き止めた一輪の華
(その華が持つは安らぎの色)