chapter:51 汚れきった白と屈託の無い黒
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「おっカロルがやったのじゃ」
「やった!みんな、早く!」
「頼りになるぜ。じゃ、気ぃしめていこうぜ」
緊張しながらも城内へと踏み込むとリタが危惧していたのとは真逆にエアルは充満しておらず、正常な空気を保っていた
先程の会話には参加していなかったカロルもエアルが充満していると思っていたのか、この現状に驚いているとアルシアとエステルの力が関与している事に気付いたリタは怒り心頭の様子を見せる
「外の結界はエアルを閉じ込めるためだったのかもしれないわね」
「おっさんの心配が当たった可能性大だな、きっとお出迎えがあるぞ」
「悪い予感ばかり当たんのはなんでかねえ」
「悪い方向に考えるから悪いことばっか起きるのじゃ、いいことだけ考えるのじゃ」
「いいこと言うわね、きっとそうだわ」
「おっさん、けっこう楽観的だと思うんだけど」
城内にはアレクセイが敷いた親衛隊が自分達の行く手を阻んでくるだろうが、気を引き締めて進めばいい、とリタなりにレイヴン達の心を奮い立たせる
それに続く様にユーリもまた紛い物の騎士は自分達の敵ではない、と余裕を崩さずに言い切るとカロルが一人落胆していた
「こんな形でお城に来ることになるなんて……なんか残念……」
カロルの落胆ぶりは本来ならばエステルが帝都に帰った後に遊びに行くと約束していた為だった様だ
だがここで落ち込んでばかりもいられず、ユーリに促され、カロルとリタ達は彼女が言った様に気を引き締めつつ先へ進んで行く
道中、エステルとユーリが始めて出会った場所を過ぎるも余韻に浸る暇もなく、先を進んで行く中でジュディスが一つの扉の前で立ち止まった
「まって、誰かいるわ」
注意掛けにユーリ達は扉の左右横に張り付いていると…
「だあああああ!!!」
「むっ!?」
掛け声と共に部屋から飛び出してきたのはルブラン、そしてデコボコの三人、当然扉横に張り付いていたユーリ達に彼らがぶつかる筈もなく、華麗に壁に激突してしまったのだった
「あだだだだだだだだ!」
「なんだぁ……?」
「ユーリ!?ユーリか!」
突然の事に目を丸くしているユーリの名を呼ぶ懐かしい声、室内から出てきたのは彼が安否を心配していたハンクスであった
「!?ハンクスじいさん!?」
壁に激突したままのルブラン達を起こし、室内…食堂へと入ってみるとそこにはハンクスだけでなく、下町の面々がそろい踏みしていた
思わぬ所で彼らの無事を確認出来たが、どうやらハンクス自身もユーリの安否を心配していた事も知る事となり、昂った感情のままに疑問をぶつけた
「なんで城の中になんて居んだよ!?」
「ほんと、それにおまえらまで」
「はっ、それがその、フレン殿の命令で市民の避難を誘導していたのでありますが。その……ふと下町の住民の姿が見えないことに気が付きまして
命令になかったんでありますが、つまりその……」
「出口は崩れるわ、おかしな霧は迫るは危ないとこじゃった。なんとか騎士団の助けで霧のないここに逃げ込めた、命の恩人じゃよ」
「め、命令違反の罰は受けます!」
「我々も同罪なのであーる!」「我々も同罪なのだ!」
命令違反をした事も、弁解をする訳でもなく素直に有りの侭の事を打ち明けるルブラン達へレイヴンは背を向ける
「罰もなにも、俺ただのおっさんだからねぇ。それに市民を護るのは騎士の本分っしょ?……よくやったな」
「……こっ光栄であります!シュヴァ……レイヴン隊長殿!」
「隊長ゆーな、俺様はただのレイヴンよ」
「はっ!失礼しました、ただのレイヴン殿ォ!」
自分はシュヴァーンではない、と仄めかしながらも彼らが尊敬する隊長としてルブラン達の行動を賛辞する彼の言葉に目を見開いたルブランは目を見開いた後に感極まって涙を流し始める
訂正を試みようとするも更に彼の言動が悪化してしまった事に思わずレイヴンは頭を抱えてしまう
「尊敬されてるのね」
「ほんと、想像つかないわ」
「見かけによらないもんじゃの」
会話が一区切りついた所でカロルはユーリへ歩み寄ると下町の面々の無事の安否を喜ぶ為、笑みを見せる
「よかったね、ユーリ」
「フッ、しぶとい奴らだっての忘れてた。心配するだけ無駄だったわ」
「なんだかユーリ、今までにないくらいにすごく嬉しそうなのじゃ」
「うん、そうだね」
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