chapter:50 それはレジリエンスのような、
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「……ひとりで行くつもりですか」
仲間達に何も告げずに汚れ役を引き受けようとハルルを出ようとするユーリとラピードの背後から躊躇いさえも感じる声が引き止めた
その声の発信源であるヨーデルへと振り返ると彼は一人と一匹の元へ歩み寄ってくる、だが今のユーリにはその会話に取られる時間も惜しい
「殿下にゃ関係ねえよ。下町の様子が気になるからちょいと見てくるだけさ」
「評議会はアレクセイを正式に大罪人として告発する決定を下しました
今、デイドン砦で騎士団が帝都攻略の準備を進めています」
「エアルが充満してんだろ?どうにもならんと思うぜ」
「……エステリーゼはアレクセイのもとにいるんですね
それと……フレンとあなたの幼馴染みのアルシアさんも」
「知って……まあ気付くか。さっきわざと話題にしなかったろ」
「エステリーゼをどうするんですか」
「どういう意味だ?」
皇帝家の血筋の人間は皆ある力を持ち、その多くは微々たるものだがエステルの力は飛び抜けて強力らしく、それが原因で評議会は彼女を次期皇帝候補として担ぎ出したと言う
それを元にヨーデルの思考でエステルの力がこの状況、災いをもたらしているのではないのか、そしてそれにアルシアも巻き込まれたのではないかという考えが浮かんだのだそうだ
あながち間違ってはいない問いかけにユーリはシンプルに逆に問う、その通りだったらどうする、と
「騎士団は……アレクセイを討つだけでは済まなくなるでしょう、その際にアルシアさんがどうなるか……」
「そんなことにはならねえよ」
「……あなたがやるから、ですか?
フレンが言っていました。あなたはいつもひとりで重荷を受けようとする、と」
「余計なお世話だって言っといてくれ」
「どうしてです?」
「言ったろ、あんたにゃ関係ない」
「その剣……あなたのような人こそが持つべきなのかもしれません」
「それ以上なんか言うとぶん殴るぞ」
「……すみません」
「……オレはアルシアの言葉を実行しに行くだけだ」
彼が危惧していたエステルの安否についてなら自分は手を下すつもりはない、だが自分が今やろうとしている事は彼女の親友を奪うという事に繋がるだろう
強引に話を打ち切ったユーリは不気味な程に静かな夜の中をラピードと共に進み、帝都に向かう為にクオイの森を横断していた
「あれは……」
いつの間にか木々の隙間から射し込む朝日の木漏れ日によって、破損して随分経つ魔導器へ歩み寄る、この場所はまだ自分とアルシア、エステルとラピードだけの時に休息を取った懐かしい場所だ
この魔導器に触れた瞬間に倒れた二人、今思えばあれは満月の子と陽月の子の力を目にした時だった、そして倒れた二人に彼は…
「あん時、ニアの実食った二人の顔ったらなかったな」
目覚まし代わりに渡したニアの実を食べ、表情を歪ませた二人、そんな二人を中心にこんな事態が起こるなど、あの時には考えつきもしなかった
一切の休息を取らずにここまで来たユーリの体力と疲れは尽き始め、耐え切れずに彼はその場に座り込む、あの時は彼女達だったが今度は自分がここで休む番だ
「考えてみりゃ、おまえとだけってのもひさしぶりだよな
戦ってても妙に調子狂うし……なんだか疲れた……ちょっとだけ見張り頼むぜ、ラピード」
「ワン」
見張りを頼れる相棒に頼み、ユーリは体力を回復する為に意識を暗い場所へと落としていく
落ちていく意識の中で思い浮かぶのはアルシアの発した言葉とそれに対しての自分の想いだった
―私はユーリを支えるって決めたもん、何処でも一緒だよ
(支える、って言ってくれたお前がいなくなった途端……これだ
今までお前に頼りっぱなしだったんだな、アルシア)
―いつか罰されられる時が来ても、世界中が貴方を拒絶しても…私は最期まで貴方の味方でいるよ
(……たとえオレがお前の願い通りに殺そうとしても、か?)