chapter:45 眠る前の独りの涙
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「アスタルよ、自分を祀った神殿で最期を迎えるというのはどういう気分だ?くっくっく」
『おの…れ……に…んげ…ん……』
「やめて!もうやめてください、アレクセイ!」
「くくく、こやつの苦しみを取り除きたいのであれば、あなたの癒しの術でこの者を癒してやればよろしいではないですか」
「くっ」
自分の治癒術は始祖の隸長にとっては毒、それを知らずに使った事でベリウスの死を招いてしまった過去は今も尚エステルの胸にこびり付いたままだ
それを知った上で彼女に自身の無力を痛感させ、閉口させたアレクセイは自身の優位に高笑いを室内に響かせる
「はっはっはっは!あなたは本当に無力だ、一人では世界に害を為す毒でしかない、それがよくわかったでしょう」
「あんた…!エステルがその力でどんなに苦しんでるか分かってないくせに偉そうなこと言わないでっ!!
エステルは毒なんかじゃない!これ以上、私の大切な友達を侮辱するのは許さない!!」
「アルシア…ッ」
球体の中にいなければ、一人でもジェミニでアスタルとエステルを追い詰めたアレクセイに噛み付いたであろうアルシアの怒声が耳障りな高笑いを覆い隠す
自分を守る為に負傷し囚われているというのに自分を友達だと主張を変えない彼女の言葉は今のエステルにとっての支えの他ならず、翡翠の目下に涙が滲む
「アルシア、エステル、無事か!」
「アルシア!エステリーゼ様!!」
「二人とも!」
「助けに来たのじゃ!」
「みんな…っ!」
部屋に駆けつけたユーリ達の姿にアレクセイは呆れた様にアスタルに向けていた侮蔑の色を秘めた瞳を向ける
「また君たちか、どこまでも分をわきまえない連中だな」
「ユーリ!フレン!みんな!」
「アルシア、エステル、今助けてあげる!」
「ふん、おまえたちに娘と姫は救えぬ。救えるのはこの私だけ」
「ふざけろ!」
「道具は使われてこそ、その本懐を遂げるのだよ。世界の毒も正しく使えば、それが得がたい福音となる。世界の贄も贄として使われてこそ、素晴らしき祝福として賛美される
それができるのは私だけだ。姫、私と来なさい。私がいなければ、あなたの力は……君もだ、世界の贄の娘」
「絶対に嫌…っ、?!あぁぁぁっ!!!」
突然悲鳴を上げたアルシアは聖核が球体の術式に干渉した事により、陽月の子の力を無理矢理引き出さざるを得ず、彼女にエアルが再び吸い寄せられる
彼女が集めたエアルはエステルの術式に大きく干渉し強く展開させ、電流が走りエステルの悲鳴がアルシアの心臓を締め付けた
「きゃあああ!」
「エス、テル…ッやめ、て…っ!」
「やめなさい、アレクセイ!あっ!」
「「ジュディス!」」
『ぐ……あ』
「ははは、なにが始祖の隸長か。なにが世界の支配者か」
「やめろ!!アルシアとエステルを放せ!」
強く展開したエステルの術式がジュディスが止めるよりも前にアスタルに干渉すると息を引き取り、体が消え、残るは彼らの生命の結晶である聖核のみ
あっけない死にアレクセイは面を食らいながらも彼らの生命を使い、世界を混乱に陥れる道具として回収する、その行為はこれ以上にない始祖の隸長への侮辱だった
―私の力の、せい…私の力でエアルを集めてしまったから…っ!エステルを傷つけてしまった…っ
「貴様……」
「そうだ、せっかく来たのだ。諸君も洗礼を受けるがいい。娘が集め、姫が手ずから刺激したエアルのな」
「うわあああ!」
「ううっ!」
「いや!もうやめて!!」
「これ以上、エステルやみんなを傷つけないで…っ!」
「く……っだらぁ!」
再び聖核を使用し、アレクセイはエスエルの力を利用しアルシアが集めたエアルを暴走させる為にユーリ達は思う様に動く事が出来なくなってしまう
だが今の彼らには宙の戒典がある、ユーリは再び剣を使用しエアルを鎮めるのを見せつけられるとアレクセイの顔色が不意に変わる
「なんだと?なぜ貴様がその剣を持っている?デュークはどうした?」
「あいつならこの剣寄越してどっかいっちまったぜ、てめえなんぞに用はないそうだ」
「……皮肉なものだな、長年追い求めたものが不要になった途端、転がり込んでくるとは
そう、満月の子と陽月の子と聖核、それに我が知識があればもはや宙の戒典など不要。…だがやはり奴も人の子だったか、"妹"可愛さにこの地に訪れるとはな」
『?!』
「…え?」
今、目の前の敵は何と言ったか、アルシアがデュークの"妹"…その言葉に一瞬アレクセイに向かう視線が信じられない、とばかりに一言呟いたアルシアに向かう
「アルシアが…デュークの妹…?」
「あんた、出任せ言うんじゃないわよ!」
「嘘か本当か信じるのは君たちの自由だ」
「何、寝言言ってやがる。つべこべ言わずアルシアとエステル返しな」
「ふん、娘はともかく姫はそれを望まれるかな?」
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