chapter:44 この声が、この手が君に届くようにと
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「ヒピオニア……デズエールの東の大陸ね、エゴソーの森がある」
「イエガーの言葉を信じるの?!」
「アレクセイも向かったってんなら、きっとアルシアとエステルもいるわ!」
「情報が少ないし、行ってみるしかないわね」
「なのじゃ!あの男、このままほっとくわけにはいかんのじゃ!」
「どうしたの、パティ……?」
「そう言えばあんた、アイフリードがどうとか言ってたけど……」
「あの男がすべての元凶なのじゃ。あいつを倒せばアルシアとエステルも戻ってくるのじゃ」
「でもレイヴンは?」
アレクセイの姿を見てからどこか荒立っているパティの様子を一瞬気にかけるも今の最優先はアルシアとエステル、勢いがあるのはいい事だと気にもかけない
だがあの二人の所在は分かったが二人と同時に姿を消したレイヴンの情報はない、それを不安げにするカロルに二人を渡し、どこかに逃げたと非情にリタが告げる
断言するリタにカロルは溜まらずに眉を潜め、そんなことするはずがないと主張するも彼女と現状の方が一枚上手であった
「現にアルシアとエステルはさらわれちゃって、あのおっさんはいない!そう考えるのが……論理的でしょ!」
「彼も捕まったのかもしれないけどね」
「……とにかく!行くわよ!ユー…」
後を追おうと声をかけるリタだったがユーリとフレンの雰囲気に思わず口を噤んでしまう
フレンと対峙するユーリの纏う雰囲気からは怒気が滲み出ており、ノードポリカでの日を再現していた、ただ違うのはこの場に仲介人であるアルシアがいない事
「ユーリ……」
「……フレン、ちょっと顔貸せ」
「分かった、向こうで聞こう」
誰もが口出し出来ない中でユーリはカロル達と離れた場所でフレンと一対一で話し始める、まず先に口から出たのは彼が騎士団に入団した理由とかけ離れた彼の行動への怒りだった
「おまえ、何してやがった?騎士団で上に行って、国を正すんじゃなかったのか!
アレクセイにまんまと利用されやがって、ドンもベリウスもあの野郎のために死んだってのか!そばにいてまったく気付かなかったのかよ!?」
「すまない……」
「なぜだ、ヨーデルがアレクセイを信用してたからか?」
「殿下は悪くない、すべてアレクセイを信じた僕の責任だ」
「ノードポリカで聖核を欲しがったのもアレクセイの命令だからだろ」
「ああ……」
「話せよ、何があった。もう元騎士団長殿に気を遣う意味ねぇだろ」
「ヘリオードの軍事拠点化にマンタイクでの住民迫害。キュモールの行動、更に帝国で禁止されている魔導器の新開発……
すべて騎士団長……いや、アレクセイの命令だった」
「立派な騎士様になったもんだな、国への忠節、たいしたモンだ」
騎士団の中に駐在する中でいつしか自分の抱いていた理想を見失っていたフレンをユーリは遠慮も同情もなく、ただ嘲笑う
そんな彼に自分を庇う訳でもなくフレンはアレクセイは昔はああではなかった事を、そして正しい者が正しく生きていけるという彼の理想があったからこそ、彼の命令に従ってきたのだと力無く告げた
だがやはりここでもユーリは彼の言い分に遠慮も同情もなく、ただ率直な想いを彼に返答した
「それで自分のやるべき事を見失うようじゃ世話無いぜ」
「…………」
「アルシアとエステルもさらわれちまったオレも偉そうなこと言えた義理じゃねぇけどな」
「いや、それも元はといえば僕がアレクセイの本性を見抜けなかったせいだ。疑問を感じながらも騎士として命令を遂行することに固執してしまった
僕の思慮の浅さが今回の事態を招いたんだ……!」
自分の行いと過去に嘆きを通り越して自虐思考に陥るフレンに会話の合間を縫い、今まで離れた場所で会話を聞いていたリタが介入してきて切り込んでくる、嘆くのが仕事なのか、と
当然これにウィチルが無礼だと声を荒げるも言われた本人はいや、とリタの言い分を素直に受け止める
「彼女の言うとおりだ、僕は責任を取らないといけない。アルシアとエステリーゼ様は僕が救い出す」
「あん!?」
「隊長!それじゃヨーデル様はどうするんですか!今、殿下の身になにかあったら帝国は……」
「その通りだ、だからこそ我が隊の総力をあげてヨーデル様をお守りするんだ」
「ですが隊長は……!」
「頼む」
「…………」
「ったく……オレはおまえにそういうけじめをつけさせたくて怒鳴ったワケじゃないっての
それにアルシアとエステルを助けるのはオレたち「凛々の明星」だ」
「……なら僕も入れてくれ、「凛々の明星」に」
後から現れた彼にエステルとアルシアを助け出すと不意に言われただけでも驚愕の域に達するというのに今度はギルドへの加入、それはもう驚愕の域を通り越し呆れに達する
呆然と彼の言葉に声を荒げるソディアとは対照的にユーリはフレンの言葉に怒りを治め、呆れで対処する
「騎士がギルドってお前、冗談きついぜ」
「親衛隊がアルシアとエステリーゼ様を連れ去るのを僕は阻止できなかった、僕には彼女達を助け出す義務がある」
「やめとけって、お前にギルドは合わねえよ。けど一緒に来たいってんなら好きにすりゃいい」
「ユーリ……!」
「けど分かってんだろうな、お前の本当にすべきこと」
「ああ、アルシアとエステリーゼ様を助け次第、ヨーデル殿下の護衛に戻る。帝国を混乱に陥らせるようなことにはさせない
すまない、ソディア、ウィチル。……ヨーデル様を頼む」
「……できるだけ早くお戻りください、殿下にもそうお伝えします」
「わかった」
「…………」
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