chapter:59 鎮魂歌は未だ完成せず
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「アルシア」
「ん?」
レイヴンとカロルを迎えにアスピオを飛び立ったフィエルティア号の甲板
空は星喰みに支配されている為、目下の景色を楽しんでいたアルシアは自分にかけられた声に振り返るとジュディスに付き添われたリタが歩んできた
「ジュディスにリタ!どうかした?私に何か用事?」
「ええ、ちょっとね。……リタ?」
「わ、わかってるってば……はい」
「?開けてもいい?」
「え、ええ」
突き出された浅い底の長方形の箱を何処か緊張した様子のリタに了承を取って開いた先には赤い布が敷き詰められ、そこには赤い宝玉が埋め込まれたエステルのつける腕輪と似たチョーカーが置かれていた
今は寂しい首を埋めるそれと用意してくれた人物に不意を打たれ、瞳を瞬かせるアルシアに笑みを浮かべるのはジュディスで落ち着かない様子なのはリタだ
「これ……」
「リタがアルシアの封印魔導器はアレクセイに壊されたからって心配していたの
魔導器なしに術技を使っているのを見られて不振に見られるのも大変だろうって一緒にお店でアルシアに似合いそうなものを見繕ってきたの、そうよね?リタ」
「あ、あたしはそんな……!あんたとエステルに引っ張られただけで……っ」
「……それでも嬉しいよ?」
「そ、そう……」
穏やかに笑みで表情を崩したアルシアからの言葉にぶっきらぼうに返したリタだが、言葉とは裏腹にその表情は安堵のものに満たされていた
気に入ってくれるか不安で仕方なくなるまで、自分の事を気遣ってくれる彼女に心に温かさが灯るのを感じていると二人の様子を見守っていたジュディスも視線を和らげる
「ふふ、良かったわ。アルシアの眼にかなったみたいで」
「勿論だよ!早速つけてもいい?」
「ええ、それはもうあなたのものだもの」
仲間が自分の為に時間を惜しまずに選んでくれたものを箱から取り出し、早速首に着けてみる
首を締め付けることのないチョーカーはどうやらサイズぴったりの様だ、チョーカーをつけた彼女を見てジュディスとリタはそれぞれに感想を述べ始めた
「良く似合ってるわ、アルシア」
「まあ……似合ってなくもないわね」
「ありがとう、二人とも!大事にするね」
「おっ何してんだ?三人とも。……アルシア、それ」
「二人にもらったの、良いでしょ?」
船内から会話を聞きつけたのか、その場に現れたユーリへとアルシアは駆けよると首に飾られたチョーカーを見せびらかす様に胸を張る
相当嬉しかったのが見て取れる彼女の様子に愛らしくも思いながら、やはり先にでるのは苦笑だった
「良いでしょって……まあ良かったんじゃねぇの?似合ってるぜ」
「何だか照れるなぁ……」
呆れながらも首元に新しく飾られたチョーカーを褒められ、以前とは違う様子で羞恥をはっきりと明らかにするアルシアとユーリの間には甘い雰囲気が流れ始める
人前で二人の空間を展開するもので何かを悟ったリタの表情は呆れが滲み、傍らのジュディスはあらあら、とほくそ笑んでいたのだが…それにもアルシア達は目にも暮れなかった
そんな会話がされているフィエルティア号がダングレストについた頃には夜の暗がりに包まれていた
レイヴンとカロルはどこかと行き先々で目を配っていると見慣れた青年が目の前から逃げる様に走ってくるのが視界に入り、足を止める
「どうせオレなんか!」
「わっ」
「おっと」
見慣れた青年、ドンの孫であるハリーから肩をぶつけられ、よろけたアルシアをすかさずユーリが支えながらハリーの後ろ姿へ視線を投げる
「あれは……確かドンの孫のハリー……だっけか。大丈夫か?アルシア」
「う、うん。ありがとう、ユーリ」
「あーっ!!」
ぶつけられた肩を摩り、支えてくれていたユーリから離れ、ハリーが言っていた言葉の意味に首を傾げている最中、飛び込んできた声
聞き慣れた声におおよその見当をつけながら、振り返ると…やはりそこには思った通り、今にも泣きそうに表情を崩したカロルと連れ添ったレイヴンがいた
「アルシア!! ユーリ!!」
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