chapter:77 星の受け皿は白く艶やかに
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「――飛ばしていきますか!」
「ユー、リ…」
自分の前を自分に代わって駆け出す黒、どうやらアルシアからユーリへとバトンは無事に渡せた様だ
どうか自分の代わりに、そんな願いを込めた瞳で背中を見つめていた
「災害警報、お住まいの地域は荒れ模様…テンペスト!」
「序でに出て来い!フレイムドラゴン!」
「っ、させぬ!」
放たれた炎龍の牙にかかりながらもデュークは後の一歩も退かない
今放たれたアルシアの技はしかと爪痕を残していた、それをなぞるのは彼の役目
「これで決める!
閃け、鮮烈なる刃!無辺の闇を鋭く切り裂き、仇為すモノを微塵に砕く!決まった!漸毅狼影陣!」
「凌駕するか…!」
「はぁあああっ!トドメだっ!!」
「ぬあぁ!」
いつも見るそれとは違い、ユーリは最後で自身の技にアレンジを加え、デュークを打ち倒した
そこだけを穿ったかの様にぽっかりと穴が空いた光景を残す空が広がっている、さながらブラックホールの様なものだ、全てを飲み込もうと、食いつくさんとただ漆黒が広がる奈落
星喰みに侵蝕されつくしたそれを見上げるのはアルシア達との戦いに敗れ、倒れたデュークの視界だった
「すまぬ……エルシフル……約束……守れそうにない……」
「…兄さん……」
今の彼にあるのはかつての友と交わした約束、世界を自分の手では守れないという無念だけ
あれ程までに自分達の前に最強の壁として立ちはだかった彼の姿は哀愁を帯び、アルシアも知らず知らずの内にそう呟いていた
デュークへと最後の止めを刺したユーリはその余韻からか、呼吸は荒々しい
かといってそれを整えようとする仕草は見せずに倒れた相手へ歩み、彼に背を向ける地点で立ち止まった
「エルシフルがどんなヤツだったのかもしらねぇオレが言っても説得力ねぇけど
人魔戦争で人のために戦ったエルシフルってヤツはダチのあんたに人間を否定して生きる事なんて望んじゃいないと思うぜ」
「エルシフルの望み……世界を守る事……いきとしいける者、心ある者の安寧……」
友の約束を守る、そうずっとこの戦いが始まってから言い続けたデュークはいつからかその文面を忘れてしまっていた、ただ約束をと純粋に願う時間が長過ぎたのか
本当の望みが何だったのかを思い出す様に瞳を瞑り、瞼の裏で過去へ思い馳せる彼にあれ程までにあった戦意は喪失していた
最後に立ちはだかる壁を打ち砕いたアルシア達を待つのは天を這う災厄、それは歪みから世界を飲み込む為に帰還しようと歪みを広げつつあった
「ユーリ!急がないと!」
「ああ、やるぞ」
これが大締めだと駆け寄ってきたフレンの言葉への返答だった筈の言葉は強く仲間と、そしてユーリ自身へ言い聞かせられた
リーダーの指示を受けた仲間達は直ぐさまに陣形を作り、この作戦のスイッチでもある術式をリタが展開する
さあ自分も、とアルシアも駆け出そうとしたが二歩目を踏み出す寸前で振り返った、自身の兄へと
「そこで見ていて、私たちがやろうとしていることを……世界の選択を」
この言葉が彼に届いたかは分からない、けれどそれでも――
「いくわよ……アルシア、エステル、同調して。ジュディス、サポートお願い」
明星弐号を携えたユーリを中心に陣形を展開するアルシア達の足下に術式が灯る
「はい!」
「分かった」
「了解よ」
「ユーリ、いくわよ!」
いよいよ、と三人の同調とサポートを確認したリタの声に仲間達の各々の心境が増々引き締まる
バックアップに余念はない、後は世界中の魔導器の精霊化が成功し、それを上手く明星弐号に収束出来るかどうかにかかっている
「ドキドキなのじゃ……」
「……」
「たのむぜ~、大将~」
「ああ!」
星の受け皿は白く艶やかに
(瞼の裏で約束をなぞる)