chapter:76 どんな終焉なら受け入れるというの
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「天の使いの姫君よ、その壮麗たる抱擁の力を…ナイチンゲール!」
「疾風はもはや貴様らを許さぬだろう…テンペスト!」
「それ俺様の技~!」
皮肉にも自身の魔術に巻き取られたレイヴンの悲鳴が木霊する、こうもデュークが魔術を使用するのを許してしまえば、エステルの治癒術がいかに高度であろうと回復が間に合わない
「…!」
二番煎じでも構わない、とデュークへ飛びかかったアルシアの剣技はやはり宙の戒典の前では持ち主に傷をつける事すら叶わない様だ
悔しいがやはり彼の力は相当なもの――けれど負けが決定した訳ではない、今までに出会った事のない強さの持ち主と戦えている事にアルシアの口元が弧を描く
「流石……」
「お前達もな……」
「恒久なる彼方より現れ、闇を滅せよ!ディバインストリーク!」
フレンの放った光線からデュークを逃がすまいとアルシアはギリギリまで鍔迫り合いを続けたが、不意に反発力が消え、前のめりに体が揺れる
「行け!」
「っ負けない!」
「運命はいつも優しき者の味方…ワイドリスク!」
「蒼破追蓮!喰らえ!斬!はぁっ!」
水流のカーテンがデュークの真上から降り注ぐ、それを切り抜け、ユーリの剣技が水流に叩き付けられる体に新たな傷を植え付ける
ここに来て、転移の間隔を早めてきたデュークを注視すると彼の髪は微かに乱れ、振るう剣技にも荒さが目立ち始めた
「銀の光輪、ここへ…エンジェルリング!」
「出し惜しみはしない!」
「退け!」
それは見切ったとばかりに飛びかかりの動作を見せるアルシアを迎え撃とうと敢えて彼女へデューク自身が踏み込む
「!なに……」
宙の戒典は無防備に晒された体を斬り捨てた筈だった、だがこれはどうした事か
何故、斬り捨てた筈の少女はただ一つの傷も受けずに自分を見定めているのか――簡単だった
――彼女はフェイクを取り入れて、デュークに剣技を誘発させたのだ
「無影衝!空破、絶掌!! 一陣の風鳴!ウィンディアトリガー!」
「ぬ、う…!」
完全にアルシアに出し抜かれ、その鋭い攻撃に体を貫かれたデュークは衝撃にふらつきながら、一戦に休止が穿たれる
「……それがおまえの見出した答え……道程か……」
「これが人魔戦争の英雄の力……」
かつての未熟な少女はその有り余る自分の力に蝕まれ、歩む道を暗闇に見失っていた、その時間はそう遠い昔のものでもない近い頃の話
今やその影さえも見受けられない程に少女は自分の力を受け入れ、ひた向きに星喰みを打ち晴らした未来を見据えている――デュークが見限った人の底力をアルシアは体現していた
「世界に苛まれてきたおまえが世界のために戦うとはな
また星喰みを封じるため、その命を投げ出すというのか。過去の陽月の子達と同じ運命に殉ずるのか」
「私はもう二度とこの命を軽んじないって決めた、だから私は陽月の子としてでなく、この世界に生きる一人の人間としてこの命を貫く!その為にも星喰みを討つ!
……けどその前に私はあなたの家族として、この剣であなたを止めてみせる」
「家族、か……あの頃に戻るのもいいかもしれん」
「だったら!」
そう思える心が一欠片でもあるのなら、今からでも遅くない――
アルシアとて好きでデュークと敵対しているのではないのだ、一戦は交えたもののこれ以上の戦いを防げるかもしれないという希望が覗いたかの様に見えた
「いや、もう遅い。この空を星喰みが覆ったとき、私の道は決してしまったのだから」
「世界だって、その先の未来だって変えられる!私が変われたように!あなただって!」
「世界の永続にとって最善の道、それは世界を自然な形に戻すこと……それが私の選んだ道!私はそれに殉じる。友よ!力を!!」
やはりアルシアが人である以上、彼の心にその言葉は大きく響く事はないのか――
呼び掛けに亡き友が反応したのか、デュークの体は眩い光に包まれ、重力から解放されると頂上の造形に組み込まれた魔核から彼に力が分けられる
次の戦いの場は地上を離れ、術式が床を構成する中空、そして戦うべく相手は魔核からの力を受け、アルシア達を見据えていた――
「……アルシア、行くぞ」
「うん。私達のやり方か、デュークのやり方か……世界がどちらを望んでいるのか、ここではっきりさせよう!」
どんな終焉なら受け入れるというの
(この聖戦は他が為か、誰が為のものか?)