chapter:58 拾い上げたのは小さな可能性
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どうだ、おまえ騎士団に戻らんか。そうすりゃこんなもんはポイだ」
「はあ?」
「要するにおまえみたいなのが野放しなのを問題にしとるんだ、お偉方は。だからな」
「手綱つけときゃ安心ってか?」
まさかの騎士団復帰を持ちかけられ、目を丸くするユーリの存在を帝国の上層部は危惧している様だ、だからこそ支配下において監視しておこうという狙いなのだろう
皮肉にも似た問いかけにルブランはしみじみと頷くとそういうことだ、と簡単に答えてしまった
ユーリが星喰みを放って、彼らの提案に載る事はないだろうとは思うが……
「……ユーリ」
「…………よう、シュヴァーン」
「なぬ!?え?お!?」
手を挙げ、会釈したユーリの視線の先にシュヴァーンがいると勘違いし、背中を向けたルブラン達のその隙を狙ってユーリ達は下町を出ようと走り出した
「あ、こら待て!!」
「またな、みんな!」
「下町のこと、よろしくねー!」
「がんばれよ!」
声援を受けながら、アルシア達は下町の坂を一気に駆け上がって行った
その様子を呆気に取られて見送ってしまったルブランだったが、我に返った彼には自分の提案を断られた事に対しての苦言も零さず、どこか清々とした表情を浮かべる
「…………ふっふっふ、やはりそうだ。そうでなくちゃいかん、行くぞ、逮捕だー!」
言葉を弾ませながらルブラン達もユーリを追いかける為にも下町の坂を駆け上がり始める
その頃には市民街まで一気に駆け上がったアルシア達は息を整えようと足を止め、肩で呼吸する事を余儀なくされていた
「はあはあはあ、この坂一気はきついな」
「騎士の人は凄いですね……」
「あ、足ががくがくする……」
「あの根性だけは見習いたいね」
「ユーリ~~~!」
上空から聞き慣れた声が降ってきたと思った矢先、その声の主ーパティが上空から降り立ち、一目散にユーリとアルシアへと抱きついてきた
まさか、と思っていたにも関わらず、それを切って捨てた彼女の出現には目を見張ってしまう
「おっと、パティか!?おまえ、どっから……」
「やっぱユーリとアルシアは生きとったのじゃ!よかったのじゃ!」
「おう、生きてたよ。おかげさんでな」
「パティ、今ので怪我とかしてない?大丈夫?」
「うむ!大丈夫なのじゃ!」
「あら」
「え?」
「あ、ジュディス!」
昨夜のエステルの様に二人の無事を信じ、帰って来てくれた事に対して喜びを最大限に表現するパティと探していた人物が一緒にいた事に対して驚いた様に一言漏らし、現れたジュディス
彼女はにこやかに微笑みながら、アルシア達の前に歩み寄ってくるジュディスはパティと一緒に来たのだろうか?
「エステル、迎えにきたわ」
「リタは一緒じゃないのです?」
現れたジュディスへパティが駆け寄った様にアルシアもその行動に習い、彼女へ歩み寄るとリタはアスピオで調べた事を纏めているという
これも昨夜、エステルに聞いた様に彼女が纏めているというのはザウデで調べたことだろう、そこまで話すとジュディスの視界がアルシア達を捕らえた
「リタはアスピオで調べたことをまとめているわ、あなた達も行くでしょう?」
「ああ、よろしく頼むぜ」
「よろしくね、ジュディス」
「さ、行きましょ」
「心配かけたな、ジュディ」
彼女も自分達の捜索に力を尽くしてくれたのだろう、それでもエステルやパティの様に無事を喜ぶ声をかけないのは二人の役目だと割り切っているからか
心配をかけた事に対して詫びるユーリの言葉を背中で聞きながらもジュディスの足は歩みを止めない、だが彼女は本気か冗談か分からない言葉を返してきた
「ええ、心配で胸が張り裂けそうだったわ」
「嘘くせえなぁ」
.