chapter:64 世界救済に近付く、あなたが遠のく
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「グシオスを助けられなかったのはジュディスだけのせいじゃないよ、一人で背負い込む必要はない」
「尊い犠牲をムダにしないようにしようぜ。精霊の力を正しく使って、星喰みを倒す、っと」
「そうね……」
『…………!』
「バウル、なんて言ってるの?」
「ええ……バウルも精霊化に力を貸せない分、できる限りのことはするって」
「心強いな」
その言葉の通りにバウルの案内で最後の始祖の隸長がいるとされるウェケア大陸、レレウィーゼ古仙洞にアルシア達は足をつけた
先程までいたエレアルーミンとは対照的に岩で構成されたその場は何処か殺伐とした雰囲気で客人を招いている
「ここがレレウィーゼか?」
「ええ、バウルはそう言ってるわ」
「でも、エアルクレーネも始祖の隸長も見あたらないわ」
「あるにしても場所が遠いのか、私にもどこにエアルクレーネがあるか……」
「ここから降りていけそうだけども……」
レイヴンの視線の先に発見された下に続く下り坂があるが、その長さと先が見えない深さに思わず言葉が漏れる
「深そうね」
「ですね」
視界にはエアルクレーネと始祖の隸長の姿が見当たらないとすれば、この下り坂の先、奥深くに姿を隠していると考えるのが打倒だろう
自然が形成した岩肌が露出しながらも壮大な景色は見る者を圧倒するかの様、その景色に見る目を奪われた少女がここに一人
「うーむ、よい眺めなのじゃ」
岸壁で下に広がる景色を双眼鏡で悠々と見渡すパティにアルシアは振り返り、腰に手を当て、呆れた様に苦笑を浮かべた
「もう、パティったらまたあんな所に……」
「パティ、落ちないようにしてくださいね」
「あう、落ちるのは間抜けなカロルだけなのじゃ」
「お、落ちないってば」
「ふふ、でも本当に落ちない様に気をつけないと。…行ってみる?」
「降りていってみよう」
「そうね、それしかなさそう」
「ねえ、バウルで下まで降りた方がよくない?」
確かにバウルで下に降ろしてもらった方が早く到着するだろうが、フィエルエィア号も吊り下げるバウルは始祖の隸長として巨体でもある
鋭敏な岩肌が剥き出しになったこの場所の特性を素早く把握したジュディスはその考えを提案したリタへと振り向き、首を横に振った
「ちょっと危険ね。狭いし、気流の乱れも強すぎるわ」
「バウルが怪我したりしたら大変だもんね」
岩肌で出来上がった通り道を吹き荒び、ここまで届く風は巨体のバウルを吹き飛ばす恐れがあるのをその身を感じて理解出来た
「確かに風が強いのじゃ。ここはきっと風の生まれ故郷なのじゃ」
「じゃあ、この谷は風のお母さんなんですね」
「風のお母さんかぁ」
ならばここで新たに生まれる精霊は風を司る存在となるのだろうか、…ここにいるとされる始祖の隸長が精霊化に頷いてくれればの話だが
不意にカロルが体を屈ませ、崖下を覗く様に膝を折るとあるものを発見する、この殺伐とした風景の中で光を乱反射させるそれにカロルの声色は思わず弾む
「すごいよ、ずっと下の方に河が見える!」
「河が長い時間をかけて少しずつ地面を削っていって、このような地形になるんですね」
「まさに大自然の力。いったいどれ程の時間をかけて作られていったのかねぇ」
「自然の驚異…じゃなくて自然は偉大なんだね」
しみじみと自然が作り出したこの地形に感慨深くなっている所にカロルが立ち上がるが、下を見続けたせいで平衡感覚を失い、目を回し体をふらつかせている、これでは本当に崖下に落下してしまいそうだ
こんな深い場所を覗き込むという危険性に普通なら気付くだろう、という意味合いを込めた呆れさを含ませた視線をリタはカロルの背中に突きつけていた
「うわ~下を覗くとくらくらする~」
「馬鹿っぽい……」
「ハハ、はしゃいで足滑らすなよ」
「じゃあカロルが落ち着いたら、行ってみよう!」
.