chapter:57 譲れないもの、ひとつ
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「……私の願い事、一緒に叶えてくれます、か…?」
「そのつもりだって言ってんだろ、バカアルシア」
口ではそう言いながらも笑みを浮かべ、ユーリはアルシアを抱き締めると更に涙を流していく、もしかしてこれは夢なのだろうか…
「……夢、じゃないんだよね…っ?」
「ああ、正真正銘の現実だ」
「……ユーリ、好き、大好き……今まで自分で幼馴染みとして貴方が好きなだけだって思い込んでて、ごめんなさい」
「……オレも愛してるよ、アルシア」
頬に手を沿えられ、近付いて来る顔にいくら天然鈍感だと言われてきたアルシアにも意味を悟り、瞳を瞑り、その時を待つ
唇に触れた彼の温度が去り、頬を赤くし俯くアルシアと自分からの口付けが降りてくるまでを待っていた表情を同時に思い出し、ふとユーリは笑みを零す
「可愛いな」
「……は、恥ずかしいから止めてよ……もう」
苦笑するアルシアのそんな表情さえもとても愛しくて、愛し過ぎて、
二人きりの空間とはこんなにも危うかったかと彼女の頭を撫でるとユーリは部屋を出て、アルシアと広場へ向かおうと足を動かす
「…………」
「ユーリ?」
そういえば、さっきも彼は星空を見ていたなと思っている時だった、無音の世界に音が響いたのは
「ワウ」
「どうしたんです?一体……!」
聞き慣れた声と声、それは広場の向こう側から現れた
「アルシア……ユー…リ?」
「エステル…?」
「ラピード……?」
「アルシア!ユーリ!」「ワン!」
信じられない、とばかりに目を見開いていたエステルは彼女達の声を聞き、現実を受け入れ、駆け寄って来ると二人へと抱きついてきた
抱きついて来る程に彼女は自分達の姿を嬉しく思っている様だが、いかんせん自分達は怪我人で痛みが共に襲ってきてしまう
「あはは」
「エ、エステル、危ない、よ…っ」
「いてて、おい、ちょっと」
「アルシア、ユーリですよね。おばけじゃないですよね、ちゃんと影ありますよね」
「うん、ちゃんと生きてるよ?ほら足もあるし」
「生きてる生きてる、だからちゃんと痛いってばよ」
「よかった、本当によかった……」
痛い、と何度も訴えかけてきたことをちゃんと汲み取り、階段に座らせられた二人へとエステルは治癒術を施す
何故彼女がここにいるのかと聞けば、ラピードが急に走り出した為だと言う、どうやら彼には自分達の居場所を探るなど朝飯前だった様だ
「サンキュ、もう大丈夫だ」
「ありがとう、エステル。私、まだ術は使えないから助かったよ」
先程まで感じていた怪我の熱も今では当に失せ、彼女の存在とその力に感謝しても足りない
二人の傷が完治したことを見届け、エステルは二人を見習って階段に座り、二人の傷の出所を訪ねてきた
「傷……やっぱりザウデから落ちたときのです?」
「ん?ああ、まあそんなとこだ」
「……」
自分の傷口とは関係ないが、ユーリの傷口はソディアによってつけられたものだ
だが敢えて何も言わずに所在を仄めかす彼に習い、アルシアもその事については口を出さない事にした
ユーリの言葉を素直に信じ、彼らが生きていた事の方が喜ばしいのかエステルは追求をすることはなかった
「でもほんとによかったです」
「悪かった、心配かけたな」
「みんなも喜びます、早く伝えてあげたい」
「そういえば、他のみんなは一緒じゃないの?」
「リタはジュディスと一緒にザウデに行きました、古代の遺跡だから調べたいことが一杯あるんだって」
「リタらしいな」
「パティもフィエルティア号の手入れをしながら手伝ってます、カロルとレイヴンはダングレストに戻ってます
……帝国とギルドの関係がまたよくないみたいなんです」
「中々溝が埋まらないね……」
「ったく、まだそんな事いってんのか」
「ザウデのせいみたいですけど……それでギルドの人がまた無茶しないようにって」
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