chapter:63 豪気なる脈動、誇りは譲らず
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「グシオス……ごめんなさい……」
「結局こうなっちゃうんだね……」
こうするしかなかったとはいえ、やはり後味の悪さだけが残り、感傷に浸っている中、そうではない人物が仲間に手を貸され、グシオスが今までいた場所に怨嗟を注いでいた
「ったく、まだこいつに恨みがあんのか?」
「……そいつはあの化け物の魂だ、砕かずにはすまさん」
「化け物じゃないです!彼らは世界を守ってくれたんですよ?」
世界を守ろうとした結果、ああなっただけで勘違いしないで欲しいとエステルはクリントの言葉を撤回させようと声を荒げる
先程の精霊の力とその言葉を聞いていた筈なのに、彼は断固として始祖の隸長の存在を肯定しようとはしない、その意固地な様子にパティは苦言を呈する
「さっきの話から想像力働かせてみれば、ナマコでも分かりそうなものなのじゃ」
「始祖の隸長の役目なぞ、知ったことではない!!」
「その口ぶり……」
「……てめえ知ってるな?始祖の隸長がどんな存在か」
わき起こった怒りにより口を滑って出てきた言葉、それは彼が始祖の隸長の役目により世界が支えられていた、という真実を知っていたという事実
真実を知っていたというのにそれでも尚、始祖の隸長を消そうと動く彼に非難じみた想いが生まれ、言葉が攻撃として飛び出す
「知っててまだ狙ってたの?世界がこんなになってるのに!」
「俺の家族は十年前に始祖の隸長どもに殺された、俺だけではない。「魔狩りの剣」のメンバーの大半が魔物に大事なものを奪われた者たち……
この、奴らを憎む気持ちは世界がどうなろうと変わるものではない!」
「……それでも間違ってるよ」
「なに?」
鋭い眼光に貫かれながらもカロルはクリントと対峙するのを、彼の言葉を否定することを止めはしなかった
「そんなこと続けたって、なにも帰ってこないのに」
「あの戦争で身内失ったのはあんたらだけじゃないでしょ」
「そうね、それでも前向きに生きようとする人もいる」
「憎しみだけでぶつかっていっても、誰も……自分も救われないのじゃ
それより残った者を大切にした方がよいのじゃ」
「街を守って魔物と戦う、立派なことだと思います。けど……」
「世界がどうにかなりそうってな時だ、意地になってんじゃねぇよ」
街や人を自分達の二の舞にさせないと身を呈して戦う、それで守られた人も大勢いるだろう、憎しみのままに戦い、その先に何が生まれるというのか
被害者としてクリントは憎悪を叫ぶ権利はある、だがそれを見て先に逝ってしまったもの達は悲しむのではないか
「今更……生き方を変えられん」
「ふん、どうしても邪魔するってんなら……ここで白黒つけなきゃなんねえな」
生き方を変えられない、それは魔物、始祖の隸長を狩るという意思を変えないということでもある
だが今、グシオスが遺した聖核を破壊させる訳にもいかない、長い事衝突してきた因縁をここで晴らすべきかと発言したユーリとクリントの視線が衝突し、火花を散らす
「首領……」
「世界を維持しなきゃ、あなた達が守りたいと思ってるものも守れなくなる
それに……今はここで戦うよりもその子や仲間を気遣うべきじゃないの?この子達だってあなたが守りたかったもう一つの家族のはずだもの」
「…………」
ナンの不安そうな視線に何か思う所があったのか、アルシアの説得じみた言葉にクリントとティソンは「凛々の明星」を発足してから変わったカロルを一瞥すると踵を返す
グシオスとの戦いで負った傷を引き摺ったままにその場を立ち去ろうとする彼らを見過ごせず、エステルは引き止めようと声をかけるも敵の情けはいらないとばかりに声を無視し、仲間を起こし、その場を去っていく
ふとティソンとクリントと共にその場を立ち去った筈のナンが戻って来るとカロルに顔を見せず、背中を見せながら小さく呟く
「……ありがとう」
それは確かな彼女の気持ち、カロルの思いを受け入れたかの様に聞こえた
「わかってくれたのかな……」
「……さぁな」
「さぁ、精霊化を済ませましょ」
走り去るナンの背中を見つめていた視線はグシオスが遺した聖核へ移った
豪気なる脈動、誇りは譲らず
(彼らが迎えるにはそれは相応しくない終わりだろう?)