chapter:60 蒼麗たる産声、汝が名は
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「アルシアちゃん、よく平気ねぇ……結構薄着なのに」
「暑いのに比べたら、まだ寒い方が私的にはマシみたい」
「お、そうだ、リタっち、魔術で火出してよ」
思い出した様に提案して来たレイヴンの投げかけにやはりリタは嫌そうに冷気を耐えながら、切り捨てる
「あ、あたしは焚き火か……そもそも、おっさんごときに使うなんてエアルがムダムダ」
「いいじゃねーの、さっきからばんばん使ってるんだからさ」
「それは魔物倒すためでしょ」
「あ、じゃあ私が……。う、嘘だよ、ユーリ、リタ、だからそんなに睨まないで……」
場を和ませようと思う気持ち半分、勘を取り戻す為に魔術を使いたい気持ち半分で放った言葉は冷気にも負けない眼力で叱咤され、アルシアは居心地悪そうに身を縮めたのだった
「全く……それにどこに燃えるもんがあんのよ」
アルシアの発言に呆れた様に溜息を零したリタはふとレイヴンを見、彼の体躯をまじまじと観察する
「あんた、けっこうしまった体してるわね」
「ん……?そ、そぉ……?まあ、ギルドも騎士団も肉体労働だからかねぇ」
「……脂肪の少ない体って燃えにくそうよ……」
「はっはっは、そりゃ残念だ」
「……って、おい、何の話だ!?」
「おじ様の体が燃えやすかったら、何が起こってたんだろう……」
「アルシア、それ聞かない方がいいと思います」
ぽつり、と遠い目で呟いたアルシアにそれ以上の詮索は止めておいた方がいいとエステルが引き止めていた、どうやらある意味雰囲気は和んだ様だとアルシアは思った
リタによる問題発言の追求は許されず、エアルクレーネに向かう中でレイヴンはリタが作り上げた理論を思い返し、感心の意を込めて彼女を賞賛し始める
「しかしエアル変換機ねえ、よくまあ思いつくもんだ。さすが天才魔導少女リタっちだ、うんうん」
「……手がかりがあったからよ」
「そういやザウデを調べたって言ってたよな」
「あれ、あんだけの規模なのにエアルでは動いてなかった。世界全体を守るための結界魔導器なのにね」
「結界魔導器!?そっか星喰みから守ってたんだ」
「千年もの長い間ってことか?哲学するイソギンチャクのように粘り強いのじゃ」
千年もの途方のない時間を世界を守る為に稼働し続けていたザウデ、だがそれに同じ時間を張り続ける星喰みも相当の執念である
結果的にザウデの存在をはき違えたアレクセイによって星喰みを呼び寄せてしまったのは中の守りが手薄だったと言わざるを得ない、中から破られるなど考えつかなかっただけかもしれないが
「けど星喰みはエアルの暴走が原因だよな?なるほど、だからエアル以外の力の結界なのか」
「でもだとしたらなんの力なんです?」
「………満月の子、かしら?」
思いつくとしたらもうそこしかない、ジュディスの言葉にリタは頷く
正確には満月の子、ではなく彼らから分離した力が星喰みを守る為の結界を作り上げていたと言う
「あの巨大魔核の中で半永久術式としてザウデを動かし続けた。多分、彼らの命と引き換えに」
「『満月の子らは命燃え果つ……』」
「ミョルゾの言い伝えはそういう意味だったのね」
「デュークの話じゃ、自発的にやったらしいぜ。世界を救うために」
「つまり、結界を作ったのは満月の子の世界に対する愛の力なのじゃな」
「愛の力、ね……泣けるじゃないの」
「世界のために犠牲になって……ずっと守っててくれたんですね」
ミョルゾの街では聞くに耐え切れず、逃げ出した言葉の真意と過去の満月の子達が抱いていた想いをやっとエステルは受け入れることが出来た様だ
彼らの想いと命で作り上げられた結界はなくなってしまったが、今度は自分達が彼らの意思を引き継ぎ、世界を護らねば
「誰もそのことを知らないで、守られてきた……私たちだけでもそのことに気付けて良かった、少しは浮かばれる筈だよね……?」
「……そういうけど陽月の子だってその結界と世界を守ってたのよ?」
「え?」
「『世の祈りと満月の子の意志引き継がれ、エアルを調律せし者、陽月の子表れん、その者『星喰み』の封印となりて具現せし楔なり……』」
「なるほど。アルシアの力がエアルをマナに還元するから、少なからず星喰みを刺激しないで済んでたってことか」
どうやら自分の事なのにちゃんと聞いていなかったアルシアに代わり、陽月の子が何なのかを理解していたユーリ達に言われ、アルシアは表情に影を落とす
自分がアレクセイに捕まったばかりに、この力を使われてしまったばかりにザウデの結界を破壊し星喰みを呼び寄せた、過去の陽月の子達に申し訳が立たない
「私、満月の子たちの意志を、自分の役目を守れてきたのかな?星喰みの帰還を許したけど……」
「過ぎてしまったことはしょうがないのじゃ、今から星喰みを何とかすればいいのじゃ!」
「だな」
「……そうだね、頑張らなきゃ!」
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