第三十七幕 花浜匙、散華となりて
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「桔梗!!」
「桔梗姉様っ!!」
「…妖、様…珱、姫…」
「しっかりしろ!今、アンタの妹が怪我を治した…!だからっ」
「……珱姫…」
「私はここにいます!姉様の傍に…!」
「そんな、に泣いてはいけません…それでは…私がいなくなった後…どう、するのですか……」
「いや…ずっと傍にいて下さい!私を一人にしないでっ!!
桔梗姉様…死なないで…っ」
ぽろぽろと落ちる涙が朝日に反射して綺麗に輝く、そしてその雫は温かく、私の頬を落ちて伝う
貴女は本当に私には勿体ない程の妹でした、私なんかの為に最期まで煩わせ、泣かせてごめんなさい、そう伝えたいけれど…もっと大事な事が胸にある
「…貴、女は一人じゃ、ない…
どうか…涙を拭いて…顔を上げて…前へ進んで…?」
「桔梗姉様…っ!!」
「ず、っと…貴女が忘れ、ない限り…私は貴女の記憶の中、で生き続ける…から…」
それがせめてもの…先に逝く私の願い…
「桔梗…っ死ぬな…!」
「妖様…」
「まだお前からの返事をっ、ワシは聞いておらん!」
「返、事…」
「ああ、そうだ…っ」
逞しくて温かい腕に私は漸く貴方に抱き締められていると気付きました、そして…その瞳から今にも溢れ落ちそうな涙に気付いたのです
いつもの自信に満ちた瞳はどうしたのですか。貴方の瞳に映る…血塗れの私の、所為…?
「桔梗…?」
赤く染まった白い小さな手がワシの頬に触れ、何処までも優しく、赤子をあやす様に撫でる、だがその手の温もりも急速に失われてゆく
そして…初めて桔梗は"妹"に当てたものではなく、"ワシ"を見て笑ってくれた、月の様に清らかで…儚くも温かい笑顔を見せた
「…初め、て…誰かを、殿方をあいし、ました…」
「…っ!」
「…初めて…私を…かぐやの姫としてでなく…桔梗として見てくれた人に、出会えて…嬉し、かった…」
「桔梗…っ」
やっと言えた、貴方が私の為に命をかけ、その刀を振るって…真正面から私を思ってくれた強さ…それに私はいつしか惹かれていました
直接的な好意と笑顔をどうか連れて逝ってくれるなよ、その笑顔で別れを隠そうとしないでくれ…
「…っワシを…ワシを置いて、先に逝くな…!桔梗…っ!」
「…ぬらり、ひょん様…」
「!」
「私、の体が…朽ち果てて、も…心、魂は…時を越え、ても貴方様と共に在り、ます…貴方様が称した、様に月として…貴方様のゆくべき道を…照らします…
それが先に、逝き…貴方を愛した…私の出来る、最初で最期の事…だから…生きて…?」
だから泣かないで
私はいつだって貴方が瞳を瞑った先に微笑んで待っているから
酷く優しい声でお前はワシに生きろという、お前はワシの所為で死ぬというのに…それでも愛してくれるのか…?
「ぬらり、ひょん様…私は…貴方様をずっと…お慕い続け、ても良い、でしょうか…」
「当たり前だろう!時が移ろいでも…っずっと桔梗だけを愛し続ける!!」
「あり、がとう…」
私は最期に誰かを愛する喜びを知りました
貴方を愛せた事に一変の後悔はありません、だから独りになっても大丈夫です、悠久の土地で貴方達の行く末を見守っています…
(桔梗のワシの頬に置いてあった手が力無く落ち、その体は灰となり、朝日に輝き、天に舞ってゆく、遺ったのは一握り
お前は何処までも希有な運命を辿った、でも…それでもワシはお前と一時でも思いを通わせる事が出来た事が幸せ、だった)
(いつかワシがそちらに逝った時、それを伝えよう
今は思い出の中で生きる桔梗と共に…)
花浜匙、散華となりて
("私の心は永遠に変わらない"、それをどうか、)
***
花浜匙=スターチス(洋名)
花言葉=「私の心は永遠に変わらない」