第三十四幕 綻ぶ花筐に残るは寒芍薬
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「っ…」
「待っておったぞ、桔梗姫」
「ああ、あれが桔梗姫……?」
「西で一番の美貌と噂の…噂通り以上に美しいのう、近う近う」
「………は、い…」
屋敷より攫われた桔梗は御座の間に押し入られる、自分だけかと思っていたが目の前には三人の姫君と城の主がいた
彼女が淀殿なのだろう、恐縮するのは他の事で桔梗の頭には混乱が巣食った
―どういうことなの…?私を……豊臣家の側室にするためにお父様を殺めてまでつれてきたのは知っているけれど…
それにこの城全体が妖気で包まれている、多過ぎて誰が妖なのかは分からない…何故身内を殺めてまで、私を…
「今日は四人か…」
周りで座していた臣下の一人が呟いた言葉は考えを巡らせていた桔梗の耳にだけ届いた様だ
その声を覆い隠す様に美しい髪を持つ一人の姫が笑みを含ませながら、隣で顔を青ざめさせながら震える姫をからかう様に言葉を発する
「ちょっと…いつまで緊張でふるえてるの?貞姫、淀殿への自己紹介の途中よ
私のような田舎者を側室に選んでいただき光栄です、五つの齢まで髪の生えなかったこの私ですが
絶望し、海に身を投げたその先に沈んでいた金色の仏様を丁重におまつりしたところ、このようにありがたい髪を授かったのです」
「しっておるぞ…髪長姫、どうれさわらしてみい
成る程さすが日本一美しい髪を持つ"絶世の美女"」
「光栄至極に存じます…………」
「ではさっそく」
一房一房に命が宿っている様に美しく流れる髪に触れられ、そう絶賛されれば、髪長姫こと宮子姫はそれに浸る様に笑みを浮かべる
だがそんな彼女に目の前にいた淀殿は接吻を行い、その笑みと場の雰囲気を一瞬の内に凍らせた
「え……あえ……う、ぐ…、……?………………」
生々しい音が部屋を支配し、図らずもその音の発声体である宮子姫は状況が飲み込めぬ内に息を絶え、桔梗達の前に倒れた
「ん……ん――――やはり不思議な力を持つ者の肝は違う…………」
「…………っ」
「はう…はう…や…やっぱり"喰べられて"しまうのね…私の……"見た未来"が現実に…!!」
「!動いてはなりませんっ」
宮子姫の生き肝を喉を鳴らしながら、喰らい恍惚な表情を浮かべる淀殿と見るも無惨な宮子姫の死体に桔梗も血の気を失せ、心臓は忙しなく動く
だが自分よりも息を荒げ、顔色を蒼白させる貞姫は逃げようとするが…桔梗の説得も虚しく、雷鳴に姿を現した臣下に化けた妖達が姿を現し、彼女を逃がすまいと迫ってくる
「ウヒッ…ウウッ…妖………………未来が見える…妖に…私は……
外にィィイイイイ出してぇぇ――――」
「何事だ!!」
「ああ……ああ」
「!」
「妖が…妖が―――」
「淀殿……………これは一体……どういうことだ――――!!!」
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