第三十二幕 曹司より抱くは泡盛草
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「そ――ら、つかまえたぁああ!!」
「キャ…だ、だましたのですね!?妖!! キャ…」
「おっと…静かに、なぁに…一晩だけ借りる話じゃ、朝になれば返す
嫌がるな嫌がるな…むしろ楽しんだ方がいいぞ」
「ですが…、!?父上…?え…な、なぜ…気付かないのですか?」
「ハハハ、それは…ワシが"ぬらりひょん"だからじゃ!」
「こんな往来なのに誰一人気付かない、なんて…」
いつの間にか屋敷から放たれ、街中にいるというのに自分達の姿に誰一人気付こうとしない
それに加えて異性にここまで近付き、密着している事が初めての桔梗は頬に朱が差す
「なぁに誰も気付きはしない、ぬらりくらりと……ワシに身を任してみよ」
「……ぬらり…ひょん、ぬらりくらりと…これが貴方の名の意味なのですね…」
「そう…自由な妖の名じゃ、あんたも…心を開き、思うままに生きたらどうじゃ?
その氷の様な表情も良いがワシはあんたの綻んだ顔も見たい」
「…何故貴方がその様なこと…」
「さぁて何でじゃろうな」
「…っ」
閉ざし、凍った心がこの存在の前では揺れ動かし、溶けそうになってしまう、この感情をどうすれば良いのか桔梗には分からない
ぬらりひょんに抱かれたまま、桔梗は洛西の島原に連れ来られたが目の前の光景に目を見開いた
「ほう~それが!! 総大将が落とすために毎日かよったという京都一の…西一の絶世の美女ですかぁ~~」
「ふ―――ん、ふ―――ん」
「……」
「どうだ、カラス天狗」
「まいりました、噂以上にここまでとは…そしてかぐやの姫の呪詛を受けた身とは」
「あ、やかし…」
「心配すんな、みんなワシの下僕だ」
「彼女~~箱入り、否月入り娘なんだって!?」
「オレが遊びおしえてやるよ~~」
「え…あの…困ります…妖様、お助けを…」
雪女の視線が恐ろしいがそれ以上にここまで見た事ない数の妖怪達に桔梗は恐れ入って、驚き口元を袖口で隠す
恐ろしい存在だった筈の妖怪達にもみくちゃにされながらも吉原ならではの遊びをさせられる事に
「これはどうやって遊ぶのでしょう?こういうのは初めてでして」
「え~~~」
―本当にこの妖怪やぬらりひょん、様は…私と珱姫の生き肝を狙っているの…?
こんな楽しく、かぐや姫の呪詛を受けた私を受け入れ、囲いに入れて下さって…
「どう?楽しいでしょ?」
「……あの……外は…楽しゅう…ございます、暖かくて…心が休まります所なのです、ね…」
気付かぬ内に頬に朱を差し、笑いこそはしないが表情を緩ませた桔梗にぬらりひょんもまた笑みを浮かべていた
曹司より抱くは泡盛草
(氷に覆われた胸を"自由"にするは感情の"訪れ")
***
泡盛草=アスチルベ(洋名)
花言葉=「恋の訪れ」「自由」