第七十四幕 朔月の内に秘められしもの
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ー鬼纏とは、奴良組二代目鯉伴が生み出した半妖怪の類にしかできぬ業である
人である部分に下僕の畏をとりつかせ、力に変える「鬼纏」には様々な術があると言われる
下僕の畏をはおり、主の畏とあわせて、新たな力を生み出す術を「畏襲」といい
下僕の畏を主の刃に乗せ、何倍もの威力を敵に向かって放つ術を「畏砲」という
『リクオ様、拙僧を畏砲として放つのです』
「いくぜ、黒…!!」
祢々切丸から放たれた刃ー黒田坊は天を覆い尽くす程の数を成し、打ち付ける滝を彷彿とさせる勢いで眼下に立つ羽衣狐を目指す。自分、否九尾へと向かってきているであろう刃へ羽衣狐は思考を巡らせる
幾ら千本の刃を一気に放出しても、九尾の反応を持ってすれば避けるのは簡単な事。だが尾で刃を受け流している間に必ず隙は生まれる、そこに祢々切丸を届かせる事がこの畏砲の真の狙いでもあった
「!!鬼纏!! 断ちは間に合わん…!! 気をつけなされ!! 二人おりますぞ――――!!」
「花雪、分かるな?!」
「は、はい!」
見よう見まねだった。氷麗が畏を解放した様にすれば、たちまちの内にいつもとは違う感覚に花雪は気付いた。解放した畏が次々とリクオの方へ流れ込む為、それに応えようとしている内に自分が全力を果たしている事を
放たれた下僕とは別に主が動き出している――それを先の戦いで思い知った鬼童丸の言葉を受けた羽衣狐は向かってくる畏砲をリクオ達の意図とは別に九尾ではなく、鉄扇で薙ぎ払っていく。だがそれでも良かった
同じ事だ、千本の刃を全て反らすのに別に九尾か鉄扇を使う事に大きな違いはない。現に今、こうして生み出した大きな隙へ花雪との鬼纏を完成させ、間合いに入り込んだリクオを羽衣狐は迎え入れているのだから
鬼纏 赫映宝樹の唐衣
月詠である花雪の畏とリクオの畏が合わさり、生まれた力は祢々切丸本来の退魔の力を増幅させるものであった。氷麗との鬼纏の様に花雪の畏は壮麗な光となって、刃に加護を付加させていた
打ち砕かれた刃の雨の中を縫い、羽衣狐との間合いを詰めるリクオの姿は白地に諸籠手、紺色の袴姿と流鏑馬の射手を彷彿とさせる装い。彼の接近に羽衣狐の尾が反応するも、リクオが祢々切丸を届かせるまでの時間は充分足りた
確かに手応えはあった、けれど土煙の中から現れた刃の切っ先は羽衣狐ではなく、その手に構えていた鉄扇を貫いていた。ここまでの流れを彼女は知っていた、何せ四百年前に同じ方法で命を落としたのだから
「お前の祖父も…同じような小細工をしてきたなぁ…?」
『そんな…あんなに引きつけたのに、届いてないの…っ?』
「妾には二度同じことはきかぬぞ」
畏砲で意図的に大きな隙を作り出し、更には必要とされてきた花雪との鬼纏も羽衣狐に届かない事実にリクオの背中に背負われた花雪は愕然とした。ならば、どうすれば羽衣狐に勝てるというのか
鉄扇を引っぱられる事によって、リクオの身も必然的に羽衣狐の懐へと招かれる。辿り着けなかった懐、今ここで祢々切丸を引き抜ければ――そう思うが刃は思いの外、深くまで食い込んでおり、言う事を聞いてくれずにいた
「……」
「三尾の太刀」
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