第七十三幕 幼子に差し出される手の在処
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未だリクオとの再戦による傷が癒えていない、土蜘蛛からの申し出に羽衣狐は動き出す。性格に難がある土蜘蛛だがその力は本物、先程の様に誰かが鵺を狙って来るとしても安心して、任せる事が出来る
羽衣狐の攻撃手段は九尾だけと思われたがそれは間違いだ、彼女が通学鞄から取り出したのは巨大な鉄扇。重さを感じさせない動作でそれをリクオとその背後に見える竜二へと振り下ろすまで、僅か一瞬の出来事だった
「…これは妾が平家にいた頃のもの、"二尾の鉄扇"
にっくきぬらりひょんの血、根だやしにしてくれようぞ」
「……助けられたカッコになっちまったな、一応礼は言っとくぞ」
「竜二」
元々、梁だけであった足場は鉄扇の直撃に脆く崩れ去り、そこに乗っていた者達も下へと落下せざるを得なくなった。足場の崩壊に巻き込まれずに済んだ二人は一段下がった場所から羽衣狐を見上げる
土蜘蛛が鵺の護衛に入った今、先程と同じ様に羽衣狐の隙をついて封印という訳にもいかない。直に手を下すにしても羽衣狐を倒す以外に道はないが、それも険しい道程には変わらなかった
「ハ…鵺だけ封印すりゃーあとは高みの見物だったんだがな…
妖怪同士、相打ちになってバンバンザイってつもりだったんだが…」
「相変わらず…お前、喰えねぇ奴だな」
「どーやって倒す気でいる、奴良リクオ。四百年前より奴は強くなっているぞ…」
「なんとしても、祢々切丸を届かせるさ
…どのみち、倒せるかどうかはやってみなきゃわからねぇ。やりあうしかねぇだろ。……花雪!」
「は、はいっ!」
びくり、と話に聞き耳を立てる傍ら、ゆらを引っ張り上げる最中、不意に名前を呼ばれた花雪の肩が飛び上がる。彼女もまた秀元に羽衣狐討伐に必要といわれた存在、その安全を保たなければいけない
だがこれから羽衣狐に向かっていく自分にそこまで気を回せる余力が残るとは思えない、以前までならそれが気掛かりで戦いに集中できなかったが、自分を守る力を持った今なら花雪を信じ、飛び立つ事ができる
「必要になったら呼ぶ、それまでは自分で自分の身は守れるな?!」
「リクオは羽衣狐との戦いに集中して?私は大丈夫だから!」
「……ハッ、ゆら!! 魔魅流と組め!!」
「え?魔魅流くんと…?」
「ゆらと組む?それは命令か、竜二…」
「しかたねぇ、鵺は後まわしだ!! やつのサポートにまわれ!ここで羽衣狐を倒す!!」
「で、でも月夜見さんが…」
リクオは花雪の力を信じ、羽衣狐に向かっていったがゆらはそうもいかない様子。昔から月詠は弱い妖、妖を黒と見なす花開院家が唯一守るに値する者と教え込まれて来たからだろう
京都を守る為に羽衣狐を討つ――そうゆらが強く思い、ここまで来た事を知っている花雪がやるべき事は一つだけ。それは自分は大丈夫だと安心してもらい、ゆらに彼女自身の使命を果たして貰う為に背を押す事だった
「ゆらちゃん、私は大丈夫。ゆらちゃん達は陰陽師としての役目を果たして?京都を守るんでしょう?」
「月夜見さん…」
「リクオの力になってあげて。…お願いします」
「…わかった。月夜見さんも無事でおってな!」
祢々切丸と鉄扇が火花を散らし、ぶつかり合う。羽衣狐に九本の尾があるとするなら、リクオにはそれを上回る無限の刃がある。数でも勢いでもリクオは羽衣狐と何ら退けを取っていない
だが羽衣狐も負けじと鉄扇と九尾を用いり、あの鬼童丸でさえもその前に倒れたという千本の刃を受け止めてみせる。鬼童丸さえも手が出せなかったという刃、何とも興味深く、その目に映り込んだ
「千本の刃か…鬼童丸を倒したのもうなずける…だが自慢の刃も、妾には届かん」
「……く…」
ー刃が―
ー…様、リクオ様
「!!黒…」
硬直状態は羽衣狐が動き出した事により、解かれた。長い髪を靡かせながら体を捻り、羽衣狐は自分の尾に向けられ、阻んでいた千本の刃を尾と鉄扇による一閃の元、一掃する
千本の刃を失い、後方へと転がり込むリクオは何とか体勢を整えるが刃が羽衣狐へと届かなかれば、意味がない。どうにかあの尾と鉄扇をかいくぐり、祢々切丸を届かせなければ――だがどうやって?
ーリクオ様…これでは埒が明きません、なんとか隙を作って懐に入らねば…
「隙を…作るって、どうやって………」
ー畏砲を………拙僧を畏砲として放つのです
「!!」
ー私がやつの九尾全てにぶつかってゆく
そのスキに祢々切丸をやつの本体に届けて下さい
「………わかった、やってみるか………」
幼子に差し出される手の在処
(あってはならない筈の記憶が)
(その手に導かれ、蘇る)
羽衣狐の攻撃手段は九尾だけと思われたがそれは間違いだ、彼女が通学鞄から取り出したのは巨大な鉄扇。重さを感じさせない動作でそれをリクオとその背後に見える竜二へと振り下ろすまで、僅か一瞬の出来事だった
「…これは妾が平家にいた頃のもの、"二尾の鉄扇"
にっくきぬらりひょんの血、根だやしにしてくれようぞ」
「……助けられたカッコになっちまったな、一応礼は言っとくぞ」
「竜二」
元々、梁だけであった足場は鉄扇の直撃に脆く崩れ去り、そこに乗っていた者達も下へと落下せざるを得なくなった。足場の崩壊に巻き込まれずに済んだ二人は一段下がった場所から羽衣狐を見上げる
土蜘蛛が鵺の護衛に入った今、先程と同じ様に羽衣狐の隙をついて封印という訳にもいかない。直に手を下すにしても羽衣狐を倒す以外に道はないが、それも険しい道程には変わらなかった
「ハ…鵺だけ封印すりゃーあとは高みの見物だったんだがな…
妖怪同士、相打ちになってバンバンザイってつもりだったんだが…」
「相変わらず…お前、喰えねぇ奴だな」
「どーやって倒す気でいる、奴良リクオ。四百年前より奴は強くなっているぞ…」
「なんとしても、祢々切丸を届かせるさ
…どのみち、倒せるかどうかはやってみなきゃわからねぇ。やりあうしかねぇだろ。……花雪!」
「は、はいっ!」
びくり、と話に聞き耳を立てる傍ら、ゆらを引っ張り上げる最中、不意に名前を呼ばれた花雪の肩が飛び上がる。彼女もまた秀元に羽衣狐討伐に必要といわれた存在、その安全を保たなければいけない
だがこれから羽衣狐に向かっていく自分にそこまで気を回せる余力が残るとは思えない、以前までならそれが気掛かりで戦いに集中できなかったが、自分を守る力を持った今なら花雪を信じ、飛び立つ事ができる
「必要になったら呼ぶ、それまでは自分で自分の身は守れるな?!」
「リクオは羽衣狐との戦いに集中して?私は大丈夫だから!」
「……ハッ、ゆら!! 魔魅流と組め!!」
「え?魔魅流くんと…?」
「ゆらと組む?それは命令か、竜二…」
「しかたねぇ、鵺は後まわしだ!! やつのサポートにまわれ!ここで羽衣狐を倒す!!」
「で、でも月夜見さんが…」
リクオは花雪の力を信じ、羽衣狐に向かっていったがゆらはそうもいかない様子。昔から月詠は弱い妖、妖を黒と見なす花開院家が唯一守るに値する者と教え込まれて来たからだろう
京都を守る為に羽衣狐を討つ――そうゆらが強く思い、ここまで来た事を知っている花雪がやるべき事は一つだけ。それは自分は大丈夫だと安心してもらい、ゆらに彼女自身の使命を果たして貰う為に背を押す事だった
「ゆらちゃん、私は大丈夫。ゆらちゃん達は陰陽師としての役目を果たして?京都を守るんでしょう?」
「月夜見さん…」
「リクオの力になってあげて。…お願いします」
「…わかった。月夜見さんも無事でおってな!」
祢々切丸と鉄扇が火花を散らし、ぶつかり合う。羽衣狐に九本の尾があるとするなら、リクオにはそれを上回る無限の刃がある。数でも勢いでもリクオは羽衣狐と何ら退けを取っていない
だが羽衣狐も負けじと鉄扇と九尾を用いり、あの鬼童丸でさえもその前に倒れたという千本の刃を受け止めてみせる。鬼童丸さえも手が出せなかったという刃、何とも興味深く、その目に映り込んだ
「千本の刃か…鬼童丸を倒したのもうなずける…だが自慢の刃も、妾には届かん」
「……く…」
ー刃が―
ー…様、リクオ様
「!!黒…」
硬直状態は羽衣狐が動き出した事により、解かれた。長い髪を靡かせながら体を捻り、羽衣狐は自分の尾に向けられ、阻んでいた千本の刃を尾と鉄扇による一閃の元、一掃する
千本の刃を失い、後方へと転がり込むリクオは何とか体勢を整えるが刃が羽衣狐へと届かなかれば、意味がない。どうにかあの尾と鉄扇をかいくぐり、祢々切丸を届かせなければ――だがどうやって?
ーリクオ様…これでは埒が明きません、なんとか隙を作って懐に入らねば…
「隙を…作るって、どうやって………」
ー畏砲を………拙僧を畏砲として放つのです
「!!」
ー私がやつの九尾全てにぶつかってゆく
そのスキに祢々切丸をやつの本体に届けて下さい
「………わかった、やってみるか………」
幼子に差し出される手の在処
(あってはならない筈の記憶が)
(その手に導かれ、蘇る)