第七十一幕 緑雲の揺り籠は地獄に通ずる
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城内で鬼童丸が語った過去の中でも、彼女は世は闇に包まれてしまえばいいと言っていた。今現在もその考えは変わってはいないと言葉から伺い知る事が出来る、そんな彼女が先ず取った行動は自身を闇で覆う事であった
鵺と一体化していた身を切り離した羽衣狐は一糸纏わぬ姿から一転。スカーフ以外の全てを漆黒で統一させたセーラー服、身に纏うその色こそが彼女の言う一点の汚れのない黒なのだろうか
「この黒き髪――――黒きまなこ、黒き衣のごとく、完全なる闇を
さぁ……守っておくれ、純然たる…闇の下僕たちよ!!」
主の呼び掛けに今まで静聴していた京妖怪達の大人しさが嘘の様に、羽衣狐ー引いては自分達の敵である奴良組へ攻撃的な本性を剥き出しに襲いかかった
今まで目視していたよりも遙かに越える数で一斉になだれ込む敵、おそらくは物陰に隠れていた妖さえも羽衣狐の呼び掛けによって、戦いの前線へ飛び出して来たものと思われる
「き…きた…」
「気のせいか、増えてやがるぜ!?」
「…………」
ー守れなかった……!! 京都を…鵺を…止められへんかった………!!
後一歩の所だった。今まで共に戦い倒れ、犠牲となった者達の意志を継いで鵺の誕生を何としても阻止しようとここまで来たゆらにとって、この結果に無念が残らない訳がない
もっと早くに鬼童丸の思惑に気付いていれば止められていたかもしれない、この世に鵺が誕生してしまってはもう何の手立てもない、京都どころか世界中が闇に包まれるのを甘んじて見るしか――
「"守れ"ってのはどういうこった?」
ー!!
「"鵺"って闘えねーのかい?」
「あ…まだ赤ん坊で闘うことが出来ないんじゃ…だから羽衣狐も他の妖達に守れって言って、時間を稼ごうとしてるんだ
あの赤ん坊が安倍晴明になるまでの時間をっ」
『そ…そーやきっと!! 守れってことは…まだ無理なんや!! あの状態はまだ完全ではない……鵺は本来、人なんやから…!!
まだ止められる!! その祢々切丸と……破軍さえあれば!! それに君のあの業、鬼纏があれば、月読の力も引き出せる筈や』
「私が、リクオと鬼纏を…?」
その言葉は意外だった。確かに花雪の体には人の血と同じく妖の血も半分流れており、鬼纏を発動する事も充分に可能な筈。花雪が秀元の言葉を意外に思う様にリクオもまた、同じ気持ちだったらしい
瞳を丸くした者同士、顔を見合わせる二人とそれを見つめるゆらへ背後から迫って来た茨木童子が斬り下ろす。凶刃を躱され、無防備になった所を直ぐさまに弦がどこからともなく絡み取り、茨木童子の動きを封じる
「リクオ様と花雪様を!! 守れ!!」
「まーるたけえべすにおしおーいけー♪」
「羽衣狐様の積年の夢…やぶらせるわけにはいかない!」
先に行くのを邪魔する輩は首無が引き受け、その内にリクオと花雪が目標を果たす為に駈ける――先程の鬼童丸戦と似通った展開であった。首無自身もまだついていない決着をつけたい為にこの役を引き受けたと思われる
けれど先程と同じ様に時間稼ぎに付き合う気はない。誕生こそは許してしまったものの、形を為す前に止めてみせる――目標に向けて駆け出す三人を羽衣狐の下僕である京妖怪達も必死になって、妨害する
「ゆら、花雪!! 上まで一気に行くぞ、しっかりついてこいよ!!」
「ハァッ、ハァッ…!! わかってる…!!」
「二人に遅れないように、がんばる…!!」
ー守るんや、京都を…それが陰陽師の使命なんや!!
「……なんじゃ、お前は」
狂骨が指示を出すがしゃどくろの妨害を寸出の所で躱しながら、決して足を止めずに進める花雪達が目指す最上階
子が完全に復活するまでの時を、眼下で広がる抗争を退屈しのぎにしようと見下ろしていた羽衣狐の前に一人の男が対峙していた。ここにいる筈のない、一人の陰陽師が
緑雲の揺り籠は地獄に通ずる
(帰還を果たす主の為)
(宴はここに始まる)
鵺と一体化していた身を切り離した羽衣狐は一糸纏わぬ姿から一転。スカーフ以外の全てを漆黒で統一させたセーラー服、身に纏うその色こそが彼女の言う一点の汚れのない黒なのだろうか
「この黒き髪――――黒きまなこ、黒き衣のごとく、完全なる闇を
さぁ……守っておくれ、純然たる…闇の下僕たちよ!!」
主の呼び掛けに今まで静聴していた京妖怪達の大人しさが嘘の様に、羽衣狐ー引いては自分達の敵である奴良組へ攻撃的な本性を剥き出しに襲いかかった
今まで目視していたよりも遙かに越える数で一斉になだれ込む敵、おそらくは物陰に隠れていた妖さえも羽衣狐の呼び掛けによって、戦いの前線へ飛び出して来たものと思われる
「き…きた…」
「気のせいか、増えてやがるぜ!?」
「…………」
ー守れなかった……!! 京都を…鵺を…止められへんかった………!!
後一歩の所だった。今まで共に戦い倒れ、犠牲となった者達の意志を継いで鵺の誕生を何としても阻止しようとここまで来たゆらにとって、この結果に無念が残らない訳がない
もっと早くに鬼童丸の思惑に気付いていれば止められていたかもしれない、この世に鵺が誕生してしまってはもう何の手立てもない、京都どころか世界中が闇に包まれるのを甘んじて見るしか――
「"守れ"ってのはどういうこった?」
ー!!
「"鵺"って闘えねーのかい?」
「あ…まだ赤ん坊で闘うことが出来ないんじゃ…だから羽衣狐も他の妖達に守れって言って、時間を稼ごうとしてるんだ
あの赤ん坊が安倍晴明になるまでの時間をっ」
『そ…そーやきっと!! 守れってことは…まだ無理なんや!! あの状態はまだ完全ではない……鵺は本来、人なんやから…!!
まだ止められる!! その祢々切丸と……破軍さえあれば!! それに君のあの業、鬼纏があれば、月読の力も引き出せる筈や』
「私が、リクオと鬼纏を…?」
その言葉は意外だった。確かに花雪の体には人の血と同じく妖の血も半分流れており、鬼纏を発動する事も充分に可能な筈。花雪が秀元の言葉を意外に思う様にリクオもまた、同じ気持ちだったらしい
瞳を丸くした者同士、顔を見合わせる二人とそれを見つめるゆらへ背後から迫って来た茨木童子が斬り下ろす。凶刃を躱され、無防備になった所を直ぐさまに弦がどこからともなく絡み取り、茨木童子の動きを封じる
「リクオ様と花雪様を!! 守れ!!」
「まーるたけえべすにおしおーいけー♪」
「羽衣狐様の積年の夢…やぶらせるわけにはいかない!」
先に行くのを邪魔する輩は首無が引き受け、その内にリクオと花雪が目標を果たす為に駈ける――先程の鬼童丸戦と似通った展開であった。首無自身もまだついていない決着をつけたい為にこの役を引き受けたと思われる
けれど先程と同じ様に時間稼ぎに付き合う気はない。誕生こそは許してしまったものの、形を為す前に止めてみせる――目標に向けて駆け出す三人を羽衣狐の下僕である京妖怪達も必死になって、妨害する
「ゆら、花雪!! 上まで一気に行くぞ、しっかりついてこいよ!!」
「ハァッ、ハァッ…!! わかってる…!!」
「二人に遅れないように、がんばる…!!」
ー守るんや、京都を…それが陰陽師の使命なんや!!
「……なんじゃ、お前は」
狂骨が指示を出すがしゃどくろの妨害を寸出の所で躱しながら、決して足を止めずに進める花雪達が目指す最上階
子が完全に復活するまでの時を、眼下で広がる抗争を退屈しのぎにしようと見下ろしていた羽衣狐の前に一人の男が対峙していた。ここにいる筈のない、一人の陰陽師が
緑雲の揺り籠は地獄に通ずる
(帰還を果たす主の為)
(宴はここに始まる)