第七十幕 後一歩、剣千は届かず
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「千年の修行の末…これ以上の速度は――不可能となった!
だから刃を変えた、このまま神速をゆけばどうなるか。その身で受けよ」
剣戟――無量
「よけられんぞ!! この無量は何万本の刀をも一蹴する!! 塵となれ…!!」
「リクオ様!!」
「っ…。!つららちゃん、大丈夫だよ。あそこ!」
「え?あ…!」
羅城門から放たれる巨大な刃がそこまで迫り来る。鬼童丸の言葉通りに防ぐ為に展開した千本の刃もその前に次々と砕かれ、リクオの姿は花雪達の視界から消え去る
今度こそ、防ぎようのない業を前にリクオを葬ったと確信し無防備を晒す鬼童丸。けれど花雪の言葉は何だ、"あそこ"?それではまるでリクオが生きている様な口振りではないか
花雪が指差した場所ー鬼童丸の背後には今まさに塵となった筈のリクオが周り込んでいたのだ。彼は振り向き様に放たれた刀を受け流し、カウンターとして無限の刃が鬼童丸の身を貫き、その身を鎮めた
「こいつは…黒の畏だけじゃねぇ、二人の畏を襲ねたもんだ。鬼纏――"畏襲"
忘れたのか?遠野でみせたオレの畏を…!!」
「鬼童丸…!!」
「あれが――今のオレたちの大将だ、立派になられた…
もうオレたちの百鬼が負けることはない!オレもお前にな!」
「……ああ?何を言ってんだ、おめぇは?」
「……長かった…」
――どこからか、小さな瓦礫が空間へと次々と降り注ぐ。この場所がまだ弐條城である証を立てるかの様に
それに続き、下から突き上げてくる様な振動。地震によるものではない、まるで地の底から何かが這い上がってくる様な――
「地震…?確かこの下には…」
「時間は多く過ぎ去った、今の"時"…千年の長さに比べれば、ほんの僅かなれど…この"時"を守れて、"本望"だ」
そこで漸く誰もが悟る、今までの鬼童丸との戦いは時間稼ぎだったのだと。彼らの長ー羽衣狐が鵺を出産するまでの時間を稼ぐ為に彼はその身を呈して、花雪達をこの場に足止めしていたのだ
鬼童丸が倒れた事によってか、はたまたこの城の主による意志か――戻された城の廊下の床が下から加わる衝撃によって割れ、地下が露となる
「わっ…危ねエ!!」
「リクオ!この下には羽衣狐が…っ!」
「なに…っ?」
割れた床から覗く地下の光景に花雪は見覚えがあった、この城で初めて彼女に会った場所――とすれば、この下から外へ現れようとしているのは間違いない、彼女だ
城すらも破壊しながら、地下から上昇してくる物体に巻き込まれない様に一歩下がったリクオの瞳と降り注ぐ瓦礫の間から一瞬、どこまでも深い底無し沼の様な漆黒がかち合った
「感じるぞ、晴明ェ」
後一歩、剣千は届かず
(鬼に行く手は遮られ、)
(刻はその時を迎えた)