第六十九幕 建御雷の加護があらん事を
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「御教授進ぜよう、鬼纏には方法がいくつかある。先程の雪女の鬼纏は――"畏砲"なる手段!
"威力"はあるが、スキが大きい。まっすぐ向かってくるような奴には効果覿面。だが、」
ー目の前の敵とは相性が悪い――!!
「暗器 黒演舞」
教授、という言葉通りにリクオへと鬼纏の細かな所を説明する黒田坊。彼の説明を聞くに氷麗との鬼纏・畏砲が土蜘蛛に効果を現したのは、彼が真正面から向かってくる相手だったからだと思われる
再び無数に伸び続ける梅の木と共に襲いかかる鬼童丸の剣戟に、黒田坊が応じる。懐から飛び出す、あらゆる刃物の群れがリクオを苦戦に導いた鬼童丸を逆に圧倒していく
「このように―――手数を信条とする輩には、不向き!!」
「…………」
「黒田坊…すごい…」
「流石、鯉伴お父様の代からいる妖…!」
最強を誇る二代目の力として、その土台を支えてきた力を見せつける黒田坊の姿にただただ花雪や氷麗、そしてリクオでさえもその迫力に飲まれる。黒田坊一人で事を終わらせてしまうのでは、そんな予感さえした
だが戦闘の勢いに飲まれているという事はそちらに見入る余り、同時に隙を生み出しているという事でもある。リクオ達が奇襲にかけられて、漸くそれに気付けた頃には敵はリクオの首を捉えている所だった
「貴様がぬらりひょんの孫か」
「っ…?!」
「花雪!」
「!鴆さん?…!」
鬼の攻撃よりも早く届いた鋭い声によって、花雪へと投げ渡されたのは久しく見ていなかった彼女の武器 月鳴。伏目稲荷で土蜘蛛に拉致された時に落としたと思われていたが、どうやら鴆が拾ってくれていた様だ
彼が言う事は分かっている、これで鬼の攻撃を防げという事だろうが、一抹の不安が過る。土蜘蛛との戦いの時に花雪の鬼憑は殆ど効き目がなかった、もしまたそうなったら――けれど迷っている暇さえ、今は惜しい
効き目がなくても構わない。一瞬でも時間を稼ぎ、リクオに迎撃の機会を与える事が出来れば十分。月鳴はリクオ達を囲い、鬼の攻撃を弾き返す。それが示す事はまだ花雪にも仲間の助けになる事が出来るということだった
「んだぁ?邪魔くせぇ」
「!早い!!」
「花雪!」
「大丈夫!まだ…っ」
月鳴によって攻撃を弾かれ、崩された体勢を鬼ー茨木童子は直ぐさま整える。後は地上に真っ逆さま、もしくは着地するしかない筈と思っていた花雪にそこから攻撃へ転じる早さというのは予想外でしかなかった
予想外の事に硬直する花雪と氷麗を背後へと隠したリクオは、茨木童子を迎え撃たんと先ずは迫る二本の刃を薙ぎ払う事に集中。その刃がリクオ達に届く寸前、弦が茨木童子と刀に飛び付き、上空で動きを絡み取った
「ああ…?誰かと思ったら、まだ生きてやがったのか…この死にぞこないのクソ虫野郎」
「首無…!」
「黒!! リクオ様を頼んだぞ!! …良く頑張りましたね、花雪様」
鬼纏の教授に妨げとなる茨木童子の相手へ回る首無。どうやら彼らには何らかの因縁があるらしく、初対面ではない様子。ここで出会うより以前から顔見知りだったのだろうか
向けられた賞賛の微笑がどこか、花雪にはむず痒く感じられた。自分はただやれる事をしただけであり、もしかしたら胸に巣食う不安にそれすら出来なかったかもしれないというのに
無数の剣戟に無限の刃が前では分が悪いと踏んだのか、あるいは剣戟の腕を休ませる為に鬼童丸が最初に間合いから飛び出す。最初の教授から久方、漸く次の段階を黒田坊はリクオへと伝える事が出来る所まで落ち着いた
「いいですか、リクオ様。敵にあわせてやり方を変えることが出来るのが、鬼纏のよいところでございます
今から伝えるやり方で拙僧をまとってください…!」
「闘いの最中に…余裕だな」
合間だからといって、気を抜かないのが戦いの基本。それを破り、リクオへ教授する黒田坊の姿が鬼童丸の気に召さなかったらしい。休ませていた腕は充分に力を取り戻した、これで彼も次の段階に踏み込む事が出来る
地面を凪ぐ刃の軌跡が新たな業の発動を連想させる、今までは無数を誇る剣戟、その次の段階となると――考えただけで体が強張り、業が発動する前に早く倒してしまいたいという焦りが生じる
「!!」
「焦ってはなりません。私の言うとおりにしてください
よいですかな、リクオ様。まず…」
「 櫻花 」
「「!!」」
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