第六十八幕 鬼の住まいし衛門の府
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「―――――なるほど。闇が人の上に立つ…確かに面白そうな話じゃねぇか、オレも妖怪だ…血がうずく」
「!?リクオ様!?」
ここまで鬼童丸から語られた事の顛末、これから生まれようとする安倍晴明が掲げる理想にリクオはどうした事か否定する所か、意味ありげに笑みを深め、理解がある口振りを取った
妖だけでなく、人の為に刃を振るってきた彼らしからぬ言葉に氷麗は目を見開き、動揺を露にする。花雪の胸に不安が過る、勿論信じてはいる。彼が敵対する刃を降ろした訳ではない、きっとまだこの続きがある筈だと
ーリクオ、何を言っているの…?!
…ううん、きっと何か意図あってのもの…本心、じゃないよね
「ほぅ………ならば、なぜしたがわぬ?」
「簡単さ。妖怪は悪…確かにそうだ、人間相手に悪業三昧…
人から畏れられる存在…ただよ、それでもオメーらとは違うんだ」
「なに…」
「てめーらみてぇに
妖の主ならよ、
幼い頃にその畏で清継やカナを魅了した様に人から憧憬ー畏を集めてこそ、妖の主というもの。四分の一の人の血を持つ彼だからこそ、見捨てられない部分。それがリクオの守ろうとする光ー人の存在
笑みはそのままに改めて、刃を向けるべき相手へ突きつけるリクオの背中に花雪は安堵の息を人知れずに零す、どうやら知らぬ間に肩に力をいれていた様だ
信じていたとはいえ、いざどうなるか分かるまでは不安が尽きぬというもの。ともあれ、ここまで自分や氷麗に心配をかけたリクオに少し込み上げるものがあるのも事実。全く、誤解を招く様な言葉は止めて欲しいものだ
「フン…昔、京妖怪と江戸妖怪の違いを"火"にたとえた奴がおったな。"畏"という名の火薬を使い、闇に華をさかせて人を魅せる"花火"が江戸の妖怪だと
一方で我々の"畏"は闇に燃える"業火"…全てを焼き付くし、人には"恐怖"を与える…しょせんは――相容れぬ存在というわけだ」
いでよ、羅城門
「!!」
相反する魑魅魍魎の主として、リクオが掲げる理想に鬼童丸の冷静さが崩れる事はなかった、寧ろその口元に弧を描く始末。元々分かっていたのだろう、ここまで来たリクオが自分達の大義に乗ってくる事はないと
返答次第では戦わずに済んだ道もあったが、彼らがあくまで鵺の誕生と京妖怪達の大義を阻止するというのであれば、ここからは遠慮なく戦う事が出来る
けれど戦うにしてはここでは狭すぎる、そこで用意されたのが何もない空白な空間。まるで今まで自分達がいた廊下は元々存在していなかった様に、広大な空間が花雪達の前に広がる
「あ…なんだ?」
「城が消えた…!?」
「ああん?何もねぇ…」
「お…おい見ろ」
今まで自分達がいたのは幻だったのか、だとすると本物の城はどこに…混乱する百鬼達。ここがどんな所なのかも分からない事も混乱を増幅させる、無限に白が続く空間は地平線すらも塗りつぶしてしまっている様だ
逸早く、それに気付いたのは百鬼に加わる小妖怪達。そのざわめきに誘導させられた淡島の瞳が捉えたのは燃え上がる黒炎によって、墨に描かれた絵の様に揺らぐ門。そしてそこに住む鬼と門前に立つ鬼童丸の姿だった
「パキキ」
「キキ」
「クケケ」
「キキ」
「弐條城はこの世のものではない、我ら京妖怪の積年の怨念が産んだ幻の城だ…我らの思念通りに変化する、ここはかつての我々の住み処―――羅城門!
鬼の頭領である、この鬼童丸がここで貴様らを葬り去る。ためしてみよう…貴様らの畏と我らの畏…どちらが京の闇にふさわしいか」
最早、弐條城は人の世ならざる世界ー妖の手に落ちた城と化していた。この門は鬼童丸やその配下達が抱く思念に反応した城が作り出した幻影、そして幻影を打破するには鬼童丸を倒す他に道はない
刀を抜き、身をも小さく屈めた鬼童丸は羅城門に住まう鬼達を率いて百鬼へと襲いかかる。彼らの目的はリクオ達の鵺ヶ池への到達を少しでも遅れさせる事にあると思われる
「大量に来やがったぞ!!」
「いくぜ、つらら」
「!!」
雑踏の中でありながら、鮮明に聞こえる言葉に氷麗は引き寄せられる
その声の主が望んでいる事が言われずとも分かるのはきっと、彼らの間に成る絆の賜物だろう
「こんどは、やれるな!?」
「は…はいっ!!」
「リクオ、つららちゃん…?一体、何を…」
「まあ、見てな。花雪、リクオが修行で得た業をよ」
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