第六十六幕 今ここに逢阪の関、設けよ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「双方!最後は占い比べじゃ!出題は道満の番じゃったな」
「ふむ…ではこの"長持"、さぁ晴明殿…"中身をあてて"みなされ!!」
「ム…それは!」
「「「!!」」」
豪華な装飾が施された長持を見た途端、晴明の表情に変化が現れる。どうやら彼にはその長持の中身を透視し、かつそれが何なのかを理解したらしい
建物の影に潜む妖怪達も主同様に色めき立つ。一体、どこからあの老人が長持の中身を入手したのか、精神が昂る。下手をすれば、この場で晴明の正体が明らかとなってしまう恐れもあるからだ
「どうした?顔が青いぞ、晴明。そうじゃ、気付いたか?お前がある場所から持って帰ったものじゃ
この意味がわかるな、晴明よ…ワシが何人もの弟子と共に目撃しておるのだ!言いのがれはさせん!!」
「なんだ…?」
道満のただならぬ様子に人々は先程までの熱狂っぷりを鎮め、騒然な雰囲気が場を占める。あの安倍晴明が答えを言い渋り、道満が強く追求の意志を見せるあの長持の中身は何なのか
違う意味で人々の興味が持たれる、そうなる様に道満は誘導したのだろうか。晴明が長持の中身を答える以外の道を全て封鎖する為に
「晴明、中身を答えよ!」
「………"幼い男児"が入ってございます…」
人々の興味が持たれている以上、長持の中身を答える以外に道はない。術くらべの勝敗関係なく、ここで答えなければ不信に思われるだろうと考えての事だった。晴明が長持の中身を答えたのは
その答えは何とも的外れだと道満は高らかに笑う、自分の勝利を確信し、この男の本性を明らかにする場が整った事に対して。――対する晴明がこの場を切り抜ける策を持っているとも知らずに
「晴明!! このごにおよんで、まだシラを切りよるか!!」
「道満、中身は何じゃ」
「はい…これはこ奴めが墓場より持ちかえった"死体"にございます」
「し…死体!?」
「おおお、おぞましや~~!」
「こ奴めの邪悪な気性をごらんにいれよう!晴明!! おぬし、夜な夜な死体で何をしておるのだ!?」
死体と聞いた人々の顔が一斉に青ざめる、宮中に死体を持ち運んだのも問題だが、その元々の持ち主が清明となると話は別である
墓地で墓荒らしをしていた所を見ていた道満に晴明がどう言い繕っても、事実は覆せないものの、彼の本性を知らぬ人々は逆に道満の言葉に半信半疑の様子。だからこそ、道満はこの長持の中身をここに用意したのだろう
「そんな…晴明殿が…?まさか」
「晴明!これは捨ておけんぞ、開けてみよ!!」
命によって長持が開かれる、人々――道満でさえもそちらに視線が誘導された時、晴明は事に及ぶ。何らかの呪をかけられた長持の中身が宮中に仕える者達の手によって、明らかにされる
その中には小さな子供が横たわっており、死体と思われる姿は余程、おぞましく映ったらしく宮中からは次々と悲鳴が上がり、華やかな場は一瞬の内に阿鼻叫喚と化す
「うぉわああ―――」
――だがどうした事か、今まで死んだ様に眠っていた少年は目を覚ましたではないか
「!?」
「……」
「な…」
「ん?ここ…どこー?」
死体と言われていた存在が起き上がり、不思議そうに辺りを見回す。死体と言うには程遠い姿には周りの人間や道満も愚か、静まり返る
生きている、少年はれっきとして生きているではないか。そうなると当然、道満には不要に場を混乱に貶め、清明に謂れのない罪をかぶせた事に対しての責めが向かう
「い…生きておるではないか!!」
「これはどういうことだ!?道満!?」
「はて…道満の言う中身とは違う…しかし晴明が中身を当てたのはまぎれもない事実。この勝負、晴明の勝ちだ!!」
.