第六十六幕 今ここに逢阪の関、設けよ
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城門を守護していたサトリと鬼一口を突破し、城内へと突入したリクオ達は廊下を疾走していた。彼らが目指すは羽衣狐と花雪がいるとされる鵺ヶ池だ。無論、そう簡単に行くとは思っていない
京妖怪達の本丸に入った今、そこまでの道程は険しさを増す事だろう。そう警戒するリクオ達の前に飛び出す影、敵かと身構える彼らにその姿はあまりにも見覚えがあり過ぎた
「リク、オ…?」
「姫様!」
「姫様だ、無事だったんだ!」
「花雪様ー!」
「…花雪!」
鵺ヶ池にいるとされていた花雪とまさかこんな所で出会う事になろうとは、誰もが想定外の出来事だった。その手に持つ小太刀が関係しているのは間違いないだろうが、それをどう使い、脱出したというのか
百鬼…否一番はリクオと再会出来た事に対し、嬉しそうに桜色の袖を揺らし、駆け寄ってくる姿を受け止めようとリクオも彼女の元へ急ぐ。――だがその背後からはこの再会を邪魔せんと追手が迫っていた
「!! 花雪!」
「え…?」
必死な表情で自分の名を叫ぶ様に呼ばれた事が裏目に出て、花雪はその場に足を縫い付けられてしまう。振り返った視界の先で捉えた相手の畏に飲み込まれてしまったのだ
後数秒で斬られる、そんな中――不意に腕が違う方向へと引き寄せられ、何かに包まれる。体と共に固まっていた思考回路が徐々に状況を把握する様になるまで、数秒もかからなかった
背後から迫る相手の畏に飲まれた花雪の腕をリクオの手によって、彼の懐へ引き寄せられていたのだ。耳元で自分の代わりに攻撃を受けた祢々切丸が声をあげる
「怪我ないか、花雪」
「っ…ごめんなさい、大丈夫」
「また会ったな、小僧」
「お前は…遠野で会った…」
「まさかあの牢から逃げ出されるとは、考えもつかなんだ
混乱に乗じて、我らの目をかいくぐるとは…少し、あなどっていたようだ」
思わず、その言葉を聞いた花雪は渋面を作った。他の京妖怪達と同じ様に彼――鬼童丸も彼女にあの牢から抜け出せる筈がないという印象を抱いていた事をその言葉から感じたからだ
どこまでも侮られている事に微かに少女が憤っている事を意にも介する事なく、男は刀を持ち直す。その瞬間、花雪の頭から他の事を考える余地全てを奪われる
――空間の空気、または重力そのものとなってのしかかってくる畏、それを言葉で表すならば獰猛な獣。一秒でも気を抜けば、空間そのものに押し潰されてしまう程の緊張感に張りつめる
「ふむ…しかしここまでよう辿り着いた。だが貴様の祖父のように、ここから先へ通すわけにはいかん…!!
おぬしに、京妖怪 の宿願を阻む大義があるとはとても見えんな」
ー京妖怪 千年の宿願を―――――!!
「ヒェ…ヒェエエ」
千年前――京・平安京 内裏の白州にて
御所内では燕の群れが飛び回り、人々を騒がせていた。外から入り込んできたものと思われがちだが、実体は何者かの術を受け、燕としての生命を授けられた白砂
散々に人々を騒がせて満足したのか、群れはある男へ一直線に羽搏く。逃げ回っていた人々とは違い、その男は鋭い嘴に貫かれる事を恐れもせずに悠然と庭園に佇んでいた
男は自分が手にしていた扇の一振りで燕の軌道を乱してみせるも、それだけで終わらなかった。動きを流された燕は一羽、また一羽と再びもの言わぬ白砂へと術を解かれ、地へ流れ落ちていく
「み、見ましたか、道満殿の術!! 白砂が一瞬でツバメに!!」
「いやいや、晴明殿も!! 扇一振りでこれまた白砂に戻しましたぞ!?」
「さすがはこの二人の術者…これまで五分と五分、はたしてこの術くらべ…どちらが勝つのか!?」
男の名は安倍晴明、彼に対抗する老年の術者は蘆屋道満という
後に鵺と呼ばれる男と花開院家の祖となる陰陽師達、今日はその陰陽師達の術くらべが宮中で催されていた
京妖怪達の本丸に入った今、そこまでの道程は険しさを増す事だろう。そう警戒するリクオ達の前に飛び出す影、敵かと身構える彼らにその姿はあまりにも見覚えがあり過ぎた
「リク、オ…?」
「姫様!」
「姫様だ、無事だったんだ!」
「花雪様ー!」
「…花雪!」
鵺ヶ池にいるとされていた花雪とまさかこんな所で出会う事になろうとは、誰もが想定外の出来事だった。その手に持つ小太刀が関係しているのは間違いないだろうが、それをどう使い、脱出したというのか
百鬼…否一番はリクオと再会出来た事に対し、嬉しそうに桜色の袖を揺らし、駆け寄ってくる姿を受け止めようとリクオも彼女の元へ急ぐ。――だがその背後からはこの再会を邪魔せんと追手が迫っていた
「!! 花雪!」
「え…?」
必死な表情で自分の名を叫ぶ様に呼ばれた事が裏目に出て、花雪はその場に足を縫い付けられてしまう。振り返った視界の先で捉えた相手の畏に飲み込まれてしまったのだ
後数秒で斬られる、そんな中――不意に腕が違う方向へと引き寄せられ、何かに包まれる。体と共に固まっていた思考回路が徐々に状況を把握する様になるまで、数秒もかからなかった
背後から迫る相手の畏に飲まれた花雪の腕をリクオの手によって、彼の懐へ引き寄せられていたのだ。耳元で自分の代わりに攻撃を受けた祢々切丸が声をあげる
「怪我ないか、花雪」
「っ…ごめんなさい、大丈夫」
「また会ったな、小僧」
「お前は…遠野で会った…」
「まさかあの牢から逃げ出されるとは、考えもつかなんだ
混乱に乗じて、我らの目をかいくぐるとは…少し、あなどっていたようだ」
思わず、その言葉を聞いた花雪は渋面を作った。他の京妖怪達と同じ様に彼――鬼童丸も彼女にあの牢から抜け出せる筈がないという印象を抱いていた事をその言葉から感じたからだ
どこまでも侮られている事に微かに少女が憤っている事を意にも介する事なく、男は刀を持ち直す。その瞬間、花雪の頭から他の事を考える余地全てを奪われる
――空間の空気、または重力そのものとなってのしかかってくる畏、それを言葉で表すならば獰猛な獣。一秒でも気を抜けば、空間そのものに押し潰されてしまう程の緊張感に張りつめる
「ふむ…しかしここまでよう辿り着いた。だが貴様の祖父のように、ここから先へ通すわけにはいかん…!!
おぬしに、
ー
「ヒェ…ヒェエエ」
千年前――京・平安京 内裏の白州にて
御所内では燕の群れが飛び回り、人々を騒がせていた。外から入り込んできたものと思われがちだが、実体は何者かの術を受け、燕としての生命を授けられた白砂
散々に人々を騒がせて満足したのか、群れはある男へ一直線に羽搏く。逃げ回っていた人々とは違い、その男は鋭い嘴に貫かれる事を恐れもせずに悠然と庭園に佇んでいた
男は自分が手にしていた扇の一振りで燕の軌道を乱してみせるも、それだけで終わらなかった。動きを流された燕は一羽、また一羽と再びもの言わぬ白砂へと術を解かれ、地へ流れ落ちていく
「み、見ましたか、道満殿の術!! 白砂が一瞬でツバメに!!」
「いやいや、晴明殿も!! 扇一振りでこれまた白砂に戻しましたぞ!?」
「さすがはこの二人の術者…これまで五分と五分、はたしてこの術くらべ…どちらが勝つのか!?」
男の名は安倍晴明、彼に対抗する老年の術者は蘆屋道満という
後に鵺と呼ばれる男と花開院家の祖となる陰陽師達、今日はその陰陽師達の術くらべが宮中で催されていた