第六十三幕 跫音に君を懐かしむ
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花雪の目の前に現れたのは、羽衣狐の配下の一人 狂骨。自分よりも小さな少女はどうやら羽衣狐を敬愛し、傍にいる事を許された存在
牢内に変わらず花雪がいると分かって、安堵した様子を見るにぬらりひょんを追跡していたが、この騒ぎに乗じて花雪が逃げ出したのではと勘が働き、ここまで確認しに戻って来たのだろう
「お姉様に兆候が現れ始めたよ、もうすぐあたし達の宿願が叶うんだ
そうすれば、あんたとお姉様の賭けも終わる。それまで大人しくしていることだね、あんただって命は惜しいだろう」
「子供…あの池で羽衣狐に会った時も言ってましたね…」
「そう、鵺…安倍晴明様がもう一度、この世界に生まれるんだ」
「え…?」
「さてと、鵺が生まれるまでオレはねる」
「あれだけ斬られて死なねぇのか!」
「化け物かよ」
「みんな、化け物だろ」
簡単に糸で真っ二つにされた箇所を縫合しただけで済ませる治癒能力、生命力の高さにそんな声が次々と上がる。自分達も土蜘蛛と同じ領分だという事を忘れて
勝敗を決した事でお互いに戦意を向ける理由を失った百鬼と土蜘蛛だが、聞き捨てならない事を耳にしたゆらは土蜘蛛を易々と逃す訳にはいかない
何故、自分と同じ陰陽師――人を守る立場である筈の安倍晴明が人々に弓を引くのか、それが知りたい様子。問いただそうと荒げた彼女の声はまるで土蜘蛛を怒鳴りつけている様にも見える
「土蜘蛛、安倍晴明って陰陽師やろ!?人の味方や
あんたら京妖怪、何がしたいんや!」
「人の味方ぁ?鵺は味方なんかになるか、使う側だからな
おう…お前―――おもしろかったぜ。じゃあのう、また闘ろうや」
最後の最後まで戦闘に固執する妖怪という事をリクオに言葉と残して、土蜘蛛は豪快に相克寺を飛び立っていった
破壊の限りを尽くした寺に追い打ちをかける様に、更なる爪痕を残して。もう勝った気もしない、というのは淡島の言葉である
「やっぱ闘るってのは勝負じゃねぇな、喰らいあうのが楽しいんだ」
ーうまれるのは安倍晴明!?どういうことや、私はどうしたらいいんや!?おじいちゃん!
安倍晴明の誕生を阻止しようとする者、待ち望む者、その誕生と子との再会を心待ちにする母の願い――
様々な意志が交錯する中で安倍晴明は刻一刻とこの世界に受胎する為の体を作り上げていく、この少女もまたゆらと同じ様に戸惑う存在の一人
ー羽衣狐が生もうとしているのは、安倍晴明…?何故、妖である羽衣狐が陰陽師である安倍晴明を…
……もし人であるその人が、人間を排除し妖だけの世界を作ろうとしているなら…人と妖、陰と陽が反転してしまう
「…今なら、逃げられる。この騒ぎの中でなら
早くこの事を知らせなきゃ……。…!」
ーこの気配…間違える筈がない、やっと近くで感じられた…
そっと牢の格子に細い指を沿える花雪の表情を見る者はいない、逆に良かったともいえるだろう。安堵から浮かべられた花雪の微笑は月下の元に咲く花の様に美しく、見た者を魅了せずにはいられない
遠くにあっても、感じられる彼の畏の波動が花雪に語りかけてくるのだ。もうすぐそこに行く、待っていろと。――彼が来てくれた、子の誕生を待つ羽衣狐の様に花雪もまた彼の到来に胸に灯りが灯る
ー来て、くれたんだ…
「リクオ…」
跫音に君を懐かしむ
(短い別離と遠い逢瀬を経た)
(君の気配に心が華やぐの)
牢内に変わらず花雪がいると分かって、安堵した様子を見るにぬらりひょんを追跡していたが、この騒ぎに乗じて花雪が逃げ出したのではと勘が働き、ここまで確認しに戻って来たのだろう
「お姉様に兆候が現れ始めたよ、もうすぐあたし達の宿願が叶うんだ
そうすれば、あんたとお姉様の賭けも終わる。それまで大人しくしていることだね、あんただって命は惜しいだろう」
「子供…あの池で羽衣狐に会った時も言ってましたね…」
「そう、鵺…安倍晴明様がもう一度、この世界に生まれるんだ」
「え…?」
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「さてと、鵺が生まれるまでオレはねる」
「あれだけ斬られて死なねぇのか!」
「化け物かよ」
「みんな、化け物だろ」
簡単に糸で真っ二つにされた箇所を縫合しただけで済ませる治癒能力、生命力の高さにそんな声が次々と上がる。自分達も土蜘蛛と同じ領分だという事を忘れて
勝敗を決した事でお互いに戦意を向ける理由を失った百鬼と土蜘蛛だが、聞き捨てならない事を耳にしたゆらは土蜘蛛を易々と逃す訳にはいかない
何故、自分と同じ陰陽師――人を守る立場である筈の安倍晴明が人々に弓を引くのか、それが知りたい様子。問いただそうと荒げた彼女の声はまるで土蜘蛛を怒鳴りつけている様にも見える
「土蜘蛛、安倍晴明って陰陽師やろ!?人の味方や
あんたら京妖怪、何がしたいんや!」
「人の味方ぁ?鵺は味方なんかになるか、使う側だからな
おう…お前―――おもしろかったぜ。じゃあのう、また闘ろうや」
最後の最後まで戦闘に固執する妖怪という事をリクオに言葉と残して、土蜘蛛は豪快に相克寺を飛び立っていった
破壊の限りを尽くした寺に追い打ちをかける様に、更なる爪痕を残して。もう勝った気もしない、というのは淡島の言葉である
「やっぱ闘るってのは勝負じゃねぇな、喰らいあうのが楽しいんだ」
ーうまれるのは安倍晴明!?どういうことや、私はどうしたらいいんや!?おじいちゃん!
安倍晴明の誕生を阻止しようとする者、待ち望む者、その誕生と子との再会を心待ちにする母の願い――
様々な意志が交錯する中で安倍晴明は刻一刻とこの世界に受胎する為の体を作り上げていく、この少女もまたゆらと同じ様に戸惑う存在の一人
ー羽衣狐が生もうとしているのは、安倍晴明…?何故、妖である羽衣狐が陰陽師である安倍晴明を…
……もし人であるその人が、人間を排除し妖だけの世界を作ろうとしているなら…人と妖、陰と陽が反転してしまう
「…今なら、逃げられる。この騒ぎの中でなら
早くこの事を知らせなきゃ……。…!」
ーこの気配…間違える筈がない、やっと近くで感じられた…
そっと牢の格子に細い指を沿える花雪の表情を見る者はいない、逆に良かったともいえるだろう。安堵から浮かべられた花雪の微笑は月下の元に咲く花の様に美しく、見た者を魅了せずにはいられない
遠くにあっても、感じられる彼の畏の波動が花雪に語りかけてくるのだ。もうすぐそこに行く、待っていろと。――彼が来てくれた、子の誕生を待つ羽衣狐の様に花雪もまた彼の到来に胸に灯りが灯る
ー来て、くれたんだ…
「リクオ…」
跫音に君を懐かしむ
(短い別離と遠い逢瀬を経た)
(君の気配に心が華やぐの)