第六十三幕 跫音に君を懐かしむ
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「安倍晴明…だと?」
ここまで明らかにされていなかった、京妖怪達の宿願ともいえる不透明な存在が土蜘蛛の手によって幕を開く。鮮明となったその全貌は大凡信じられないものだった、目の前で半分に切られた体を結合する土蜘蛛以上に
ながら発言な為に一見すると信用性はない様に思える、何故現代でも語られ続ける伝説的 陰陽師が妖である羽衣狐から生まれるのか、そもそも安倍晴明とは妖の敵ではないか、それが何故彼らの宿願となるのか
「あ?何?」
「安倍晴明ってあの陰陽師のか?大昔に死んだ人間だろ?」
「土蜘蛛…何、言ってんだ?」
「ど…どういうことや!! くわしくきかせぇ!!」
それに異論を唱えたのはリクオ達だけではなかった、自分の式神 貪狼の背に跨がって現れたゆらだ。その後ろには同じ様に彼女の式神であり、先祖である秀元の姿も見られる
彼女等も首無達と同じ様に百鬼の畏からここに辿り着いたのだろう、貪狼の荒い息遣いから相当な距離から駆けつけたものと思われる。だが着いた途端にそんな真相を聞かされてはゆらに息つく暇も与えられない
「ゆら」
「奴良くん、今の話」
『ふむ…もしかしたらとは思っとったけどな、やっぱりそうか…』
「え!?」
慌てふためくゆらとは裏腹に、秀元は落ち着いた表情を崩さない。寧ろ彼にとってはこうなる事も想定内だったのだろう
天才と呼ばれた秀元の持つ先読みの力はゆら達よりも見通しが良かった様だ、この先は土蜘蛛に変わって、彼が話を引き継ぐ。安倍晴明が羽衣狐から生まれる謂れを
『安倍晴明の母親が"狐"って伝承を聞いたことない…?』
「そうなん!?」
『そう。平安時代の伝説的陰陽師 安倍晴明は人の世を表からあやつり、百鬼夜行をあやつり使うた男や』
ー恋しくは尋ね来てみよ 和泉なる 信太の森のうらみ 葛の葉ー
その一首は人形浄瑠璃および歌舞伎の「蘆屋道満大内鑑」に登場する。安倍保名という男と恋仲になった女性の名が葛の葉、だが葛の葉の正体とはかつて保名が狩人から救った白狐だったのである
自分の正体を知られた葛の葉はこの一首を残し、森――信太の森に帰っていったという。童子丸と名付けた二人の子供を残して
ー千年程前―――信太の森にすむ妖狐が葛の葉という女に化け、安倍保名という武士と恋におち結ばれた
そして生まれたのが安倍晴明や
安倍晴明は平安の世で「卜筮・暦・天文・漏刻」を司る機関 陰陽寮の天文博士をつとめ、その呪術的な能力は群を抜き、"天才"と呼ばれて当時の貴族から篤く信望されていた
しかし彼は一方で"外法"と呼ばれた禁断の術にも深く通じ、呪詛によって人を呪い殺したり妖など悪鬼を支配する術をも操ったと伝えられている
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「…?」
ーこの感じ…ぬらおじい様とカラス天狗を追ってる騒ぎではない?
思わぬ場面で出会った人物と別れた後、花雪はその喧騒を牢内で耳にしていた、今まで畏を感じる程に静かだった城内は騒ぎに熱を帯びていた、こうしてその騒ぎを彼女が耳にするのは二度目だ
一度目はカラス天狗が追って来たぬらりひょんが羽衣狐の前に現れ、くせ者として配下達に追跡される喧騒。しかしこの騒ぎは一体何だろうか、ぬらりひょんの追跡にしては合間が空き過ぎており、その可能性は低い
「ああ、逃げないでちゃんといたんだね」
「狂骨…」
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