第六十一幕 深蘇芳に結ばれし縁
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鬼纏――襲色紫苑の鎌
張り手はリクオの鏡花水月の前に空を切り、叩き付ける相手を透過した土蜘蛛の体を止めるものはなく大きな隙を無防備に晒す。上空へ姿を現したリクオはその間合いごと、土蜘蛛を鬼纏で突破した
鬼纏が解かれた二人の体は受け身も取れずに地面へ転がり込む、勢い良くぶつかった柱に寄りかかる二人の肩は大きく弾む
背負う百鬼が畏を全力で解き放ち、主がそれを纏う――氷麗とのも含めて、今日二回目の鬼纏を行使したリクオにはこれ以上、戦闘を行うに必要な体力は残っていない。今のが正真正銘、最後の一撃だった
「イタク…」
「土蜘蛛は…?」
確かに斬った感触はあった、それでも実物を確認しなければ安心する事が出来ないのが土蜘蛛という妖の恐ろしい所でもある。この振り返る瞬間というものは本当に嫌なものだ
もしも振り返った先で土蜘蛛が倒れていなかったと思うと胸が騒ぐ。――そして、その嫌な予感というものが的中してしまう。当たって欲しくない時にこういう予感は何故当たってしまうのか
振り返った先の光景にリクオとイタクは唖然とする、悠然と立つ土蜘蛛の体は月の逆光によって、どうなっているか伺い知る事は出来ないが、血の一滴も流していない事から鬼纏が響かなかったと思われる
「きいて…ないのかよ」
「フハッ、そうよ。それだよ、よけたりしちゃーもったいねぇ」
自分達があれ程までに全力になっても、リクオが鬼纏という業を取得しても尚、その刃は土蜘蛛には届かない――ならば一体、どうすれば土蜘蛛に勝てるというのか
リクオとイタクが微かに絶望を覚え始めたのも気にせず、土蜘蛛は己が蒔いて作り上げた糸壁に手を沿える。あれ程まで強靭だった糸が一本、また一本とその役目を終えようと土蜘蛛の腕の重みによって千切れていく
それはまるで、土蜘蛛の体を這う無数の神経が時間をかけながら、体の自由を奪うかのように
「めったに味わねぇからなぁ、こーいううめぇもんはよ」
一度、体を痙攣された瞬間、土蜘蛛の体に刻まれた傷口から血と共に妖気が大量に体外から噴き出す。見る見る内に力を失い、ついには膝をつく土蜘蛛の体は真っ二つに切り裂かれていた
利かなかったと思われていたリクオ達の鬼纏はしっかりと土蜘蛛に致命傷を与えていたのだ。少々敵の図体が大きかった為に全ての威力が届くまでに時間がかかっただけで
「…お…」
「う…うおおおおお?」
「つ…土蜘蛛がまっぷたつだぁ――――」
「……」
「やったのか…?」
半ば信じられずにリクオとイタクは顔を見合わせる、先程も倒せたと思ったのに倒せてなかったのだ。今だって倒れたふりをしているだけかもしれないと慎重になっても可笑しくない
けれど、幾ら待っても土蜘蛛はもう一度動き出す事はなく、それを実感して漸くリクオとイタクも周りの百鬼と同じ様に強敵 土蜘蛛を倒した達成感に肩の力を抜いたのだった
深蘇芳に結ばれし縁
(今こそ、成果を見せる時)
(師よ、その背中越しから)
(何を見る?)