第六十幕 流寓の民は篝火に集う
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「イタク…」
伏目稲荷で土蜘蛛にやられて以来、行方を眩ましていたイタクの姿にリクオの目が見張る。てっきり冷麗や土彦をあんな目に合わし、土蜘蛛に太刀打ち出来なかった自分に愛想をつかしたと思っていた為に感慨も一塩
上手く見計らった様なタイミングで姿を現した彼らは案外、近くにいたのかもしれない。だがここですぐに彼らに頼ると何だか彼らに乗せられた様で面白くない、とリクオは天の邪鬼よろしく挑発的にイタク達を煽った
「どーこ行ってやがったんだよ。逃げ出して、遠野に帰ったのかと思ったぜ」
「!!」
どうやらリクオの思惑通り、彼の言葉にイタクだけでなく淡島達までもが意表を衝かれた様子。まさか彼にこんな風に煽られる日が来るなんて思ってもみなかっただろう
この戦いを今の今まで静観していたが、まだまだリクオには誰かを挑発する余裕があるらしい。何とも素直ではない彼の言葉に二番目に反応したのは、天の邪鬼である淡島だった。天の邪鬼には天の邪鬼をもって制しよう
「バッキャロ~リクオォ!! こういうときゃ、遠野出たときみてぇ~に正直に言えよな!! 力貸せってよ!!」
「六人、これで…全部かい。ごちゃごちゃやってんなよ」
「!」
「みんな、下がってな!!」
確かに驚いた、自身の畏に飲まれた筈の百鬼夜行が再び主であるリクオの元に駆けつけた事には。だがそれでもその数は本来の百鬼に遠く及ばない、たった三人増えた所で土蜘蛛には何の問題はない
今まで通りに自分の手で百鬼を破壊し、鬼纏とかいう業を楽しむだけ。先ずはごちゃごちゃと騒がしい飛び入り参加の輩を手にかけようかと徐々にスピードを上げ、拳がイタク達に迫るが、
ー沼河童忍法 泥沼地獄ー
「ケケケ、腕を入れたらなかなか抜けらんねぇぜ。蜘蛛の糸と…どっちが粘っこいかなぁ~?」
この戦場とその外部を隔てる糸の強靭さは先の戦い…鋭い衝撃を含んだ土蜘蛛の攻撃を押し止めた事で立証済み。一方で雨造も自分の技にそれと並ぶ強靭さを重ね合わせていた
一度だけでも足を踏み込んだら抜け出せない沼地、そこに泥と冠についた事で更に拘束力を高めた技と土蜘蛛の拳が迫り合うかと思われた。けれどその予想を裏切り、雨造の体が土俵に叩き落とされた事で勝敗は決する
「おおお…ほほほ、土蜘蛛~~~。さすが、雨造妖怪番付 横綱だじぇ…
こりゃあ、倒すの時間かかるぞぉ~~」
どうやら土蜘蛛が放った四方を囲う糸と拳よりも劣る雨造の技。否、彼の技は間違いなく完成度が高く、熟練された力と畏を持っている。そんな雨造の技を容易く打ち破る土蜘蛛が常識外なだけで
仲間が仇である男の手に引き摺り降ろされた事で淡島、そしてイタクも同じ土俵へ上がる。そう、彼らがここに来たのは単なるリクオの加勢だけではない。冷麗や土彦をあんな目に合わせた土蜘蛛への復讐も兼ねている
「リクオ、オレたちも土蜘蛛に恨みがある
お前が望まねぇなら、オレたち遠野が土蜘蛛を倒す!!」
「……バラバラに戦ったって、土蜘蛛は倒せねぇぜ」
「何?」
ーさっきのアレ…まだ感覚が残ってる…
一丸になって、漸くまともに土蜘蛛へ一矢報いる事を現実にしたリクオ。そんな彼の刃として力を振るった氷麗の胸の奥が脈打ち、血液の熱を沸騰させていた。土蜘蛛を倒す為にあの業を使う事に心が踊る
今までに感じた事のないあの感覚、自分の畏を余す事なく解き放ち、それをリクオに託す…彼に背負われる。まだまだ不慣れな事ばかりだ、それでもリクオが望むのなら――
ー畏を全力で放つから、すごく疲れる。でも…
私はリクオ様の百鬼夜行――!! リクオ様のお役に立てる!!
「リクオ様!! 私ともう一度…あの…あのっ」
「そうだ、リクオ…倒すなら早い方がいい、いくら遠野が強ぇっつっても」
「くおぉお!?」
「やってらんねーよ、こいつどんな体力だよ!?」
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