第五十九幕 災厄が孕んだ千年の矛先
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ー土蜘蛛は昔から天災に喩えられた
土蜘蛛は地震
土蜘蛛は台風
土蜘蛛は疫病
ただ過ぎ去るのを待つしかない、出会ったら終わり
壁、土蜘蛛の六本腕による無数の攻撃の嵐が過ぎ去った。今まで攻撃が絶えた事がない為にか、この静寂は頭が痛くなる程に鋭く深い一時に似ていた
聞こえるのは土蜘蛛による呼吸のリズムだけ、リクオの声も呼吸の一つも聞こえない。やはり土蜘蛛に一矢報いたのは奇跡だったのかと小妖怪達に絶望の影が落ちる
「ヒェェ…」
「しずかになった…」
「もう…だめだ」
今度こそ、自分達の大将は破壊されたのだと誰もが"早とちり"に幕を閉じようとする。だめだったのだ、リクオではまだ土蜘蛛に届かない――
「―まぁた、壊れてねぇのか」
それに逸早く気付いたのは皮肉にも彼の敵である土蜘蛛だった。敵でありながら一番この場で近くにいる存在だからこそ、早く気付けたのだろう
土煙の中、決して無事とは言い切れない姿のリクオが佇んでいた。その瞳は閉ざす事なく、しかと自分が倒すべき相手を見据え続けている。まだ、リクオから戦意は失われてなどいない
「おめぇ、本当に面白ぇ奴だな…
だが…オレの畏に呑まれて、お前の百鬼夜行は散り散りになっちまった。お前はもう一人ぼっちだ…」
鋭い眼光に貫かれながらも、決して削がれぬ戦意がリクオにあったとしても、彼の力の源である百鬼夜行がなければ話も始まらない。寧ろここに一人で囚われた時点で勝負は決していた
一人で何が出来るのか、と問う様な口ぶりを使う土蜘蛛の目には依然とリクオが映り続ける。――その背中の刺青に気付いたのは、この一瞬だった
「リクオ様!」
ー何――!?
何かの間違いだ、と土蜘蛛が初めて狼狽えた。自身が散り散りにした筈のリクオの百鬼、氷麗と鴆が幕を乗り越えて主の元へ駆けつけたのだ
百鬼は主に応える、主がまだ闘い続ける以上は彼女達も戦意を失う事はない。それを現す様に二人はあの壁に怖じ気ずく事なく、リクオの敵を一瞥する
「言っただろ、土蜘蛛。主を壊さねぇと"百鬼夜行"は壊せねぇ!! …オレの百鬼でお前を討つ」
「…はっ。たった三人で…百鬼夜行ヅラかいっ…」
「いいや、六人だ」
百鬼と名乗るには九十七程、数が足りないのはないかと可笑しそうに土蜘蛛は表情を歪める。その表情を真顔に戻す声が不意に頭上から水を指した
その声にリクオは弾かれた様に振り向く。間違いではない、この声は自分に鬼憑の何たるかを指導してくれた彼のもの。彼、彼らはまた来てくれたのだ
「リクオ、お前が望むなら遠野はお前の力になる」
百鬼夜行に加わる為、遠野の三人がここに駆けつけた
災厄が孕んだ千年の矛先
(百鬼は再び)
(主の元へ集い、列を為す)