第五十九幕 災厄が孕んだ千年の矛先
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今まで縮めていた体、それは土蜘蛛が自分の力を制御していたという事でもある。その体が狭苦しい箱から解放された今、土蜘蛛の力を抑え込めるものは何もない
一歩一歩の重みに土蜘蛛の立つ地面が一つ、また一つ悲鳴を上げ、形を失い砂へと帰化していく。存在そのものが世界に悪影響を与える災厄だとでもいうのか、そんな災厄がたった一人の人間の為にリミッターを外した
ーそれは土蜘蛛の、千年振りの本気であった
腰を深く落とし、振り上げる足はさながら横綱の貫禄――
勢い良くその足を叩き付けられた地面が再び大きく揺れ動く、巨大な地震かと錯覚してしまいそうだ。だが恐ろしい事にこれはまだ序の口、余震に過ぎない
「発気揚揚 」
体中から滾る畏をいかんなく発揮し、それは対岸に位置していたリクオへと放たれた
蹴りつけられ、粉砕された大地の欠片の中を縫って迫る姿はさながら大砲の弾丸の如く
「ヒ…」
誰かが畏れ戦く声がささやかに聞こえた、プロレスに用いられるリングを囲むロープに相当する糸の束にくっきりと浮かぶ土蜘蛛の顔が今にも束を破り、こちらに突っ込んできそうな衝撃は攻撃の激しさを物語っていた
この衝撃を一人で受ける訳にはいかないとリクオは鬼憑で攻撃を逃れ、距離を取る。一撃でも致命傷になりかねない攻撃を一々受けていてはきりがない
――あくまで攻撃を受けるつもりがなく、逃げ続けるつもりならば自分から行くしかない。空をも壊し尽くさんとする殺気、それは並の速度ではない速さでリクオへ迫り来る
糸の束に体を取られていた筈の土蜘蛛が、自身の状態を逆手に取って移動速度上昇に役立てたのだ。そう、糸の束に食い込んだ体を大きく後退させ、その弾力を用いて
ーかわしきれねぇか……!?
バキッと骨が折れた、嫌な音が血の匂いと共に響いた
擦り付けながら、着地した土蜘蛛の足先にはまだ真新しい血液が付着している。今の攻撃に用いた足がリクオの肩を抉り取ったのだ
「もう、逃げらんねぇぞぉ」
攻撃を受けても尚、逃げ続けるリクオ。敵を前にして背中を見せる事がどの様に危険だったのか、この時の彼は忘れていたのだろう
自分から差し出した無防備な背中、逃避を続ける彼目掛けて放たれる攻撃は怒濤そのもの。無数の張り手が隙間なくリクオへ叩き付けられていく、避ける場もなければ彼の鬼憑は途端に力を失う
「何だよぉ、何が起こってんだよぉ~~~~っ」
外部からは中で何が起こっているかも分からない、リクオが土蜘蛛を相手に善戦しているのか、それとも――土蜘蛛の本気を前に力尽きてしまったのかさえ分からない
混乱する小妖怪達を前に氷麗と鴆、鬼纏下の縁で繋がる二人が駈ける。自身の主の力の為にという勇気ある前進は、目の前に広がる白い拳の壁に阻まれた。これを、リクオが受けているというのか
一歩一歩の重みに土蜘蛛の立つ地面が一つ、また一つ悲鳴を上げ、形を失い砂へと帰化していく。存在そのものが世界に悪影響を与える災厄だとでもいうのか、そんな災厄がたった一人の人間の為にリミッターを外した
ーそれは土蜘蛛の、千年振りの本気であった
腰を深く落とし、振り上げる足はさながら横綱の貫禄――
勢い良くその足を叩き付けられた地面が再び大きく揺れ動く、巨大な地震かと錯覚してしまいそうだ。だが恐ろしい事にこれはまだ序の口、余震に過ぎない
「
体中から滾る畏をいかんなく発揮し、それは対岸に位置していたリクオへと放たれた
蹴りつけられ、粉砕された大地の欠片の中を縫って迫る姿はさながら大砲の弾丸の如く
「ヒ…」
誰かが畏れ戦く声がささやかに聞こえた、プロレスに用いられるリングを囲むロープに相当する糸の束にくっきりと浮かぶ土蜘蛛の顔が今にも束を破り、こちらに突っ込んできそうな衝撃は攻撃の激しさを物語っていた
この衝撃を一人で受ける訳にはいかないとリクオは鬼憑で攻撃を逃れ、距離を取る。一撃でも致命傷になりかねない攻撃を一々受けていてはきりがない
――あくまで攻撃を受けるつもりがなく、逃げ続けるつもりならば自分から行くしかない。空をも壊し尽くさんとする殺気、それは並の速度ではない速さでリクオへ迫り来る
糸の束に体を取られていた筈の土蜘蛛が、自身の状態を逆手に取って移動速度上昇に役立てたのだ。そう、糸の束に食い込んだ体を大きく後退させ、その弾力を用いて
ーかわしきれねぇか……!?
バキッと骨が折れた、嫌な音が血の匂いと共に響いた
擦り付けながら、着地した土蜘蛛の足先にはまだ真新しい血液が付着している。今の攻撃に用いた足がリクオの肩を抉り取ったのだ
「もう、逃げらんねぇぞぉ」
攻撃を受けても尚、逃げ続けるリクオ。敵を前にして背中を見せる事がどの様に危険だったのか、この時の彼は忘れていたのだろう
自分から差し出した無防備な背中、逃避を続ける彼目掛けて放たれる攻撃は怒濤そのもの。無数の張り手が隙間なくリクオへ叩き付けられていく、避ける場もなければ彼の鬼憑は途端に力を失う
「何だよぉ、何が起こってんだよぉ~~~~っ」
外部からは中で何が起こっているかも分からない、リクオが土蜘蛛を相手に善戦しているのか、それとも――土蜘蛛の本気を前に力尽きてしまったのかさえ分からない
混乱する小妖怪達を前に氷麗と鴆、鬼纏下の縁で繋がる二人が駈ける。自身の主の力の為にという勇気ある前進は、目の前に広がる白い拳の壁に阻まれた。これを、リクオが受けているというのか