第五十八幕 花の盛りも夜伽の頃
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ここに足を踏み入れた時にも聞いた、血を吐くかの様な悲痛な慟哭にリクオの手が止まる。気付かされた、氷麗も自分の勘違いに巻き込まれて心に傷を負った一人なのだと
伏目稲荷神社で突然の来客に咄嗟に動く事も出来ず、かと言ってその後に何か出来た訳でもない。圧倒的な力の前に足を竦ませている間にリクオは倒れ、花雪を敵の手にみすみす落としてしまった
その悔しさを涙として流しながら、氷麗は思っていた。今度、またリクオと戦いを共にする時が来たら今度こそ――
「だから、お願いします…私も、闘います!」
一筋の涙を流しながら、けれど泣いていると気取られない様な姿勢で訴える氷麗の健気な細い肩を、リクオが強く掴んだ。一連の動作に言葉がない事が災いし、その行動が氷麗に勘違いを起こさせる
自分の訴えを退けさせようとしているのだと勘違いし、氷麗は再び必死な声でリクオへ懇願する。共に闘わせてほしいと、役に立たせて欲しいのだと
「お願い!! リクオ様!!」
「つらら…お前は、もう守らなくていい」
ーえ……………!?
「けど、そのかわり…お前の"思い"と"力"、オレにかしてくれねぇか」
両肩を抑え込まれ、語りかけられた言葉に混乱していた氷麗の頭が冷静さを取り戻していく。そして、冷静になった頭で自分にかけられた言葉を深く思慮する
守らなくていいとはリクオが強くなり、不要になったという事なのか。それにしても"思い"と"力"を貸してほしいというのはどういう意味なのだろう、戦いを共にするという意味ではない様だが……
「百鬼夜行の主は…お前たちの"思い"を背負って強くなってゆく、オレが…これからそうなっていってみせる!」
「リ…リクオ…様。わ、わかりました…でも…私はどうしたら…?」
「だから…お前のその心も体もオレに全部あずけろ!!」
「……へっ!?」
「いくぜ、つらら」
ぼんっ、と氷麗の頭から熱い蒸気が噴き出す。決してリクオの微笑を間近で見たからだけではない、彼女がそうなった大きな要因はその言葉にあった
心もというのはギリギリ理解出来る、だが体とはどういう意味か、そういう意味なのか。氷麗を混乱に貶めた当の本人はその様子を気にも留めず、自身の言葉にも省みずに土蜘蛛へ体を翻す
「え…?若?心…か、体!?ひ、姫様がいるのに…?!」
「魅せろ、お前の"畏"」
ーリ…リクオ様―――
「オレのために、畏を…解き放て、つらら!!」
「え…は…はい!!」
そう言われては誰もがこう思う筈だ、"もうどうにでもなれ"と――
寧ろ好きにしてくれと少なからず氷麗はこの時、そう思ったという
ーえ―――
リクオに言われるがまま、自身の畏を解き放った氷麗は異変に目を見開いた
解放した自分の畏がリクオの方へ吸い込まれ、心が一つに合わさる感覚に間違いはない。現に彼女の畏は今、リクオの刃と一つに重なり始めているのだから
「いくぜ、土蜘蛛!! 魅せてやる!! これがお前に届く刃だ」
「ほおおおお!! おもしれぇじゃねぇか。向けて来い、その刃!!!」
ーリクオ…
ー御業とは―――――二代目の使った人と妖の血が成せる技、百鬼をまとう業――――――!!
それは共に信じ合う者だけを背負い、その畏をおのれの体にまとわせる奥義
自分からリクオの懐へ飛び込む土蜘蛛は再び拳を固めあげる。自身に届くという刃、それを破壊するという事がこの場で一番面白い事と知っている動きだ
最初は土蜘蛛の攻撃を避け、隙を伺っていたリクオだが、刃を手に入れた彼はその場から一歩も動かずに迎え撃とうと構えていた。それはぬらりひょんという本質の上を行ったリクオだから、出来ること
――氷の欠片が螺旋を描き、やがて形を作り上げる。土蜘蛛という巨大な敵を討つ為の刃へと
「ぬ………ぬぅぅぅぅ!?」
氷結という氷麗の畏の性質を含んだ一閃は土蜘蛛の拳を刹那の内に裂く
あれ程までに遠く、届かなかった筈の土蜘蛛に届いた刃は、拳一つだけで飽き足らず腕一本を貰い受けた
ー折り重なる畏は何倍もの力となる、かつて百鬼はそれをこう呼んだ
百鬼の主の御業、"鬼纏"と――!!
祢々切丸が閃く。百鬼夜行の思いと力を"背負って"――
伏目稲荷神社で突然の来客に咄嗟に動く事も出来ず、かと言ってその後に何か出来た訳でもない。圧倒的な力の前に足を竦ませている間にリクオは倒れ、花雪を敵の手にみすみす落としてしまった
その悔しさを涙として流しながら、氷麗は思っていた。今度、またリクオと戦いを共にする時が来たら今度こそ――
「だから、お願いします…私も、闘います!」
一筋の涙を流しながら、けれど泣いていると気取られない様な姿勢で訴える氷麗の健気な細い肩を、リクオが強く掴んだ。一連の動作に言葉がない事が災いし、その行動が氷麗に勘違いを起こさせる
自分の訴えを退けさせようとしているのだと勘違いし、氷麗は再び必死な声でリクオへ懇願する。共に闘わせてほしいと、役に立たせて欲しいのだと
「お願い!! リクオ様!!」
「つらら…お前は、もう守らなくていい」
ーえ……………!?
「けど、そのかわり…お前の"思い"と"力"、オレにかしてくれねぇか」
両肩を抑え込まれ、語りかけられた言葉に混乱していた氷麗の頭が冷静さを取り戻していく。そして、冷静になった頭で自分にかけられた言葉を深く思慮する
守らなくていいとはリクオが強くなり、不要になったという事なのか。それにしても"思い"と"力"を貸してほしいというのはどういう意味なのだろう、戦いを共にするという意味ではない様だが……
「百鬼夜行の主は…お前たちの"思い"を背負って強くなってゆく、オレが…これからそうなっていってみせる!」
「リ…リクオ…様。わ、わかりました…でも…私はどうしたら…?」
「だから…お前のその心も体もオレに全部あずけろ!!」
「……へっ!?」
「いくぜ、つらら」
ぼんっ、と氷麗の頭から熱い蒸気が噴き出す。決してリクオの微笑を間近で見たからだけではない、彼女がそうなった大きな要因はその言葉にあった
心もというのはギリギリ理解出来る、だが体とはどういう意味か、そういう意味なのか。氷麗を混乱に貶めた当の本人はその様子を気にも留めず、自身の言葉にも省みずに土蜘蛛へ体を翻す
「え…?若?心…か、体!?ひ、姫様がいるのに…?!」
「魅せろ、お前の"畏"」
ーリ…リクオ様―――
「オレのために、畏を…解き放て、つらら!!」
「え…は…はい!!」
そう言われては誰もがこう思う筈だ、"もうどうにでもなれ"と――
寧ろ好きにしてくれと少なからず氷麗はこの時、そう思ったという
ーえ―――
リクオに言われるがまま、自身の畏を解き放った氷麗は異変に目を見開いた
解放した自分の畏がリクオの方へ吸い込まれ、心が一つに合わさる感覚に間違いはない。現に彼女の畏は今、リクオの刃と一つに重なり始めているのだから
「いくぜ、土蜘蛛!! 魅せてやる!! これがお前に届く刃だ」
「ほおおおお!! おもしれぇじゃねぇか。向けて来い、その刃!!!」
ーリクオ…
ー御業とは―――――二代目の使った人と妖の血が成せる技、百鬼をまとう業――――――!!
それは共に信じ合う者だけを背負い、その畏をおのれの体にまとわせる奥義
自分からリクオの懐へ飛び込む土蜘蛛は再び拳を固めあげる。自身に届くという刃、それを破壊するという事がこの場で一番面白い事と知っている動きだ
最初は土蜘蛛の攻撃を避け、隙を伺っていたリクオだが、刃を手に入れた彼はその場から一歩も動かずに迎え撃とうと構えていた。それはぬらりひょんという本質の上を行ったリクオだから、出来ること
――氷の欠片が螺旋を描き、やがて形を作り上げる。土蜘蛛という巨大な敵を討つ為の刃へと
「ぬ………ぬぅぅぅぅ!?」
氷結という氷麗の畏の性質を含んだ一閃は土蜘蛛の拳を刹那の内に裂く
あれ程までに遠く、届かなかった筈の土蜘蛛に届いた刃は、拳一つだけで飽き足らず腕一本を貰い受けた
ー折り重なる畏は何倍もの力となる、かつて百鬼はそれをこう呼んだ
百鬼の主の御業、"鬼纏"と――!!
祢々切丸が閃く。百鬼夜行の思いと力を"背負って"――