第五十二幕 夜に几帳立てるべからず
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『鯉伴おとうさまっ!』
『闇から逃げろ…』
ー―――誰?お父さんを刺したのは、誰?
振り返った先で大きな傷を負った鯉伴が血の海に倒れ込むのを見た、はためく着物の影からあの少女とその背後に刀を持った誰かの姿が見受けられた。その刀が、人物が鯉伴を――
夢中で逃げた先で母親である若菜が泣いている所へたどり着く。奴良家に引き取られた際の花雪の様に黒い着物を着た若菜、その眼前には何者かの墓が静かに建立する
ー誰?お母さんをかなしませてるのは―――誰?
『花雪…?』
日々笑顔を振りまき、辺りを明るくさせようと勤める若菜の涙に目を奪われていた隙にいつの間にか花雪と逸れていた事に気付き、リクオは辺りを見回す。行く宛のない手が所在なさげに彷徨う
あれ程までに固く、決して離さない様にしていた花雪を見失った事実で不安に狩られる彼の背後を覆い尽くす様に圧力が強いる。自分の百鬼を破壊寸前まで追い込んだ土蜘蛛の畏である
『お前は…土蜘蛛……!お前が花雪を……!』
そうだ、コイツは百鬼だけでなく花雪や氷麗を傷付け、自分の目の前で彼女達を奪い去った"敵"――その認識がリクオの姿を見るまに妖の姿へと導く
『土蜘、蛛ぉおおおおっ』
祢々切丸を抜き放ち、その懐へ飛び込むリクオの頭上を土蜘蛛の腕が凪ぐ
ーオレはぬらりひょんの血を継ぐ者――――!!
『おおおおおお』
ー認識をズラして、畏を断つ!!
確実に祢々切丸の刃が届く距離。…だというのにその刃は空を切り、桜の花弁へと刃が風に乗って散っていく
決して浅くない、こんなにも深くその巨体の間合いへと潜り込んだのにそれでも尚、リクオの刃は土蜘蛛に届かないというのだ
ー届かない
なんで――かわして、かわして……ふところに入りこむ
刃をふりぬいても、こいつには―――何も届かない
『なんで届かないんだよ、なんで…なんでだよ!?』
「はっ」
現実の様に実態がある夢、そこから目覚めたリクオの体は伏目稲荷で土蜘蛛にやられた時の状態のままで変化はない。辛うじて鴆の手当と自身の血の影響によって、その傷の大半は塞がりかかってはいる様だ
夢の中でも土蜘蛛の圧倒的な力の前に挫かれ、到底良い目覚めとは言い難い起床の床についた彼を多くの仏像の目が見下ろしていた。その中に鬼神と見間違いそうになる様な男が鎮座し、リクオの目覚めを待っていた
「牛鬼……!ここ、どこだ。みんなは…?ボクはどーなってしまったんだ?」
「私が運んだんだ、リクオ…」
座禅を組んでいる様に見られた牛鬼の声色に一切の振り幅は見られない、何故自分を百鬼から離す様な事をしたのか…今のリクオに彼の考えは読めない。仮に知ったとしてもここでゆっくりしている暇はない
自分に力がなかった為に土蜘蛛の手中に花雪と氷麗が落ちてしまったのだ、早く救出に行かなければという思いばかりが先を急ぎ、彼を後先省みない性質へ変えてしまう
「どこへ行く、リクオ」
「土蜘蛛を倒しに行く!! 時間が無いんだ!花雪と氷麗を助けに行かなきゃ!!」
.