第四十幕 御影より漂い促すは香雲潺湲
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「これは…羽衣と煙管入れ…?」
ぬらりひょんより自分宛に渡されたという文箱を開いた花雪の目に映ったのは白にも見える薄い桃色の羽衣とらくだ色の煙管入れ
自分にとって羽衣と煙管入れが何の関連性があるのかと首を傾げる彼女の横で一緒に開封した冷麗と紫は文箱にもう一度目を向けた
「あら花雪、まだ何か入っている様よ?」
「手紙みたいね」
「随分古いものみたいです、一体誰から…、!え…?」
「花雪?」
「…お母さん、から?」
羽衣と煙管入れに注視していて目を離した文箱に残されていた時代を感じさせる黄ばんだ手紙、その裏には確かに「月夜見楓」という文字
ならばこれは母が自分へ遺したもの、花雪は母の意図を知る為にも自分を待ち続けた手紙の封を開いた
[拝啓 月夜見花雪様
この手紙を開き、見ているという事はやっぱりあたしと錫兎はこの世にいないみたいね]
「(お母、さん…!)」
そこに綴られていた文字は見る事は叶わなかった母の文字だと花雪は何故か確信が持てた、だからこそ瞳に涙が浮かんでしまう
[未来を知っていたとはいえ、こうも簡単に運命に負けたのは釈然としないわね…まあそれはあっちで鬱憤を晴らす事にするわ
それよりも花雪、今あんたの手元にあるものを教えてあげる、それを知りたくて封を開いたのでしょう?お見通しよ
先ずは羽衣、それは"月鳴"って言って火鼠の毛から織って作られた火浣布の羽衣って特注品よ]
「まあ火浣布…?!」
「冷麗さん知っているんですか?」
「ええ、元は異国の妖の名なのだけど…火に燃えず、汚れても火に入れると真っ白になるという特別な布だと聞いているわ」
[月夜見家の家宝の一つでもあるの、人としての許容力や柔軟性の心がある者だけにしか使えないってもんだからあたしは使えなかったのよ、でも…あんたの力になる筈よ
そして煙管入れの方には余ったままで放置されてた火鼠の毛を織って作った弦が入ってるわ、これはあたしのお下がりで名をつけるなら"天弦"って所かしら]
「月鳴、天弦…」
そこまで読み解くと花雪は返って不安に陥る、冷麗まで驚きを隠せない確かな力を持つ月鳴、鯉伴とも引きを取らなかった楓が扱えなかった代物を自分が使えるのかと
ふと手紙がもう終盤に差し掛かっているのを知り、再び文面に目を通す、自分に遺された最期の母からの言葉を一字一句零さない為にも
[花雪、あんたはどっちかって言うと父親…錫兎寄りの性格だから不安がってるかもしれないわね、どうしてもの時はあたしがあんたに与えたヒントを思い出しなさい]
「ヒント…?」
[さて名残惜しいけど伝える事は伝えたわ、長ったらしく話し続けるのは苦手なの、例え親子でもね
最後に花雪、あたしはあなたに母親らしいことを出来た自信はないわ、それでもあなたと錫兎と過ごした家族三人の年月はあたしにとって愛しいものよ
遺せたものは少ないけれど、それでもあなたを愛した事実とあなたとリクオが幸せになる事を祈っている事は本当
辛い時は夜空の月を見上げなさい、あなたがリクオの月であるなら、あたしがあなたの月としてその辛さを包むこんであげるから
あなたがこの先降り掛かる闇にリクオと立ち向かえる事を祈って 草々]
「っふ…」
「花雪、だいじょーぶ?」
「…はい、大丈夫です、やっと歩き出したのにここで立ち止まる訳にはいきませんから」
そう自分を伺う紫に言った花雪から溢れた雫が手紙に落ちた事を冷麗は見ていたがあえて口を閉ざしたのだった
彼女は華奢な身なりの上に気丈で直ぐに自分の瞳からまた零れ落ちそうな涙を拭うと決意が光る瞳で冷麗へ振り返る
「あの冷麗さん、先程イタクさんが仰っていた鬼憑というのは私にも出来るでしょうか?」
「そうね…その前に花雪、あなたは自分自身を知っているかしら?」
「月詠姫って何の妖怪?」
「え?えっと…」
―月詠姫
竹取物語で知られるかぐや姫を祖に持つ月人の血を受け継ぐ者
その血肉は妖の力を倍増させ、不老不死の妙薬とも伝えられられている妖怪
竹取物語で知られるかぐや姫を祖に持つ月人の血を受け継ぐ者
その血肉は妖の力を倍増させ、不老不死の妙薬とも伝えられられている妖怪
「なんかわかりにくいし花雪もよく分かってないのね、本当に妖怪?」
「うぐ…っ返すお言葉もない、です…」
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