第四十七幕 地獄は袋小路へ差し掛かる
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事態は最早、自分達だけの問題ではなくなっている、小さな子供も敵の掌中にある時に不用意に騒ぎ立てるのは決して良策とは言い切れない
どうしたものかと頭を捻る花雪はふと自分に注がれる、暖かな視線に気付き、どうしたの?と聞くと彼は今までの厳しい面持ちに固まっていた表情を和らげる
「立派になられましたな、花雪様」
「将来連れ添う人の知る所でない所を背負うのも、私の役目って気付けたから…かな?」
まだまだリクオを幼い頃から支え、見守って来た氷麗や黒田坊達には及ばないとしても目標とすべき人にそう称され、花雪は素直に彼の言葉に嬉しさを覚え、微笑を落としていた
「リクオ、少しいい?」
「ん?…おう、おめーら、少し休んで行こうぜ」
軽い疲労を愚痴や冗談としてこぼす仲間達が一時の休憩に浸る中で花雪は考えた結果、やはり大将である彼にこの事を伝えておくべきだろうと結論を下していた
この異境を作り出した妖の陣地に淡島が引き込まれた事、仲間と分断はされてしまったが、淡島と共にいるであろう子供の安全を一に考える為にもこの件はその胸だけのものとして欲しい旨を強調して
「…わかった。花雪の言う様にあいつらにはこのことは伏せておく」
「ありがとう、リクオ」
「やっぱり、俺の目の届かない所の出来事を拾うには花雪のきめ細かな性格がないといけないらしいな」
「ううん、今回の事は黒の話から気付けた事で私の功績じゃないの
黒がいなかったら、淡島さんがどこに行ったか分からないままだったから…その言葉はどうか、黒田坊にかけてあげてください」
どこまでも後ろに控え、決して前面に立つ者達の動きを無下にしようとしない花雪の言葉は妖の彼女としての性質を現しているかの様だ
時には暗がりの中で見えない道を指し示し、またある時は薄暗闇の中で功績を上げる者の活躍を際立たせる――ここに来て、花雪は月詠姫としての能力を大きく花開かせ始めていた
「っし、行くぞ!」
自分が隣にと選んだ少女の働き、気遣いを他ならぬ自分が水の泡にせぬ様にするリクオの覚悟がその声かけから感じ取られた
「大丈夫か、淡島!!」
『!!』
「おお――おめ―――ら!!」
「無事だったか」
花雪達が歩む本来の場所、そして彼らの視覚から隠されていた空間が畏を断ち切られた事によって隔たりを失い、傷だらけの淡島の姿と共に出現した
今まで隠された場所、淡島がいない事を気にも留めなかった雨造達は何故、淡島が傷だらけになっているのか、と不思議に思えて仕方ないだろう
「戻って来たか、淡島」
「おめー、どこ行ってたんだよ」
「便所か?」
「き、傷が……!」
「うっせー、一匹妖怪倒したとこだぜ」
「へ?」
幾ら無事で笑顔を見せる余裕があるとはいえ、今の淡島の姿に居ても立ってもいられない様子で花雪は淡島に駆け寄り、その体に手を翳す
目の前で花雪に治療してもらっている淡島が一体いつの間に京妖怪を倒したのか、と頭に混乱を来す仲間達に更なる混乱が振って沸く
『ふぅん、"外殻の地脈"の栓となった妖よりは強いみたいやね、いい部下もっとるやんv』
その声色は京都の方言を使い、温和な響きだというのに聞く者の体の動きを拘束する凄みが耳から駆け抜けた
『でも浮かれるのはまだ早いで
初めまして、君が…彼の孫やね?』
「……あ、ゆらちゃんの…」
いつの間にか自分達の背後を取っていた人物はこの時代から一線を画した烏帽子姿の男、江戸時代を舞台にした映画や読み物に良く描かれる、正式な陰陽師の様相を取っていた
そんな彼の双肩を陣取る様に傍にはゆらの兄である竜二と魔魅流の姿も花雪の瞳で確認出来た
地獄は袋小路へ差し掛かる
(この邂逅が、地獄の大口を開く)
どうしたものかと頭を捻る花雪はふと自分に注がれる、暖かな視線に気付き、どうしたの?と聞くと彼は今までの厳しい面持ちに固まっていた表情を和らげる
「立派になられましたな、花雪様」
「将来連れ添う人の知る所でない所を背負うのも、私の役目って気付けたから…かな?」
まだまだリクオを幼い頃から支え、見守って来た氷麗や黒田坊達には及ばないとしても目標とすべき人にそう称され、花雪は素直に彼の言葉に嬉しさを覚え、微笑を落としていた
「リクオ、少しいい?」
「ん?…おう、おめーら、少し休んで行こうぜ」
軽い疲労を愚痴や冗談としてこぼす仲間達が一時の休憩に浸る中で花雪は考えた結果、やはり大将である彼にこの事を伝えておくべきだろうと結論を下していた
この異境を作り出した妖の陣地に淡島が引き込まれた事、仲間と分断はされてしまったが、淡島と共にいるであろう子供の安全を一に考える為にもこの件はその胸だけのものとして欲しい旨を強調して
「…わかった。花雪の言う様にあいつらにはこのことは伏せておく」
「ありがとう、リクオ」
「やっぱり、俺の目の届かない所の出来事を拾うには花雪のきめ細かな性格がないといけないらしいな」
「ううん、今回の事は黒の話から気付けた事で私の功績じゃないの
黒がいなかったら、淡島さんがどこに行ったか分からないままだったから…その言葉はどうか、黒田坊にかけてあげてください」
どこまでも後ろに控え、決して前面に立つ者達の動きを無下にしようとしない花雪の言葉は妖の彼女としての性質を現しているかの様だ
時には暗がりの中で見えない道を指し示し、またある時は薄暗闇の中で功績を上げる者の活躍を際立たせる――ここに来て、花雪は月詠姫としての能力を大きく花開かせ始めていた
「っし、行くぞ!」
自分が隣にと選んだ少女の働き、気遣いを他ならぬ自分が水の泡にせぬ様にするリクオの覚悟がその声かけから感じ取られた
「大丈夫か、淡島!!」
『!!』
「おお――おめ―――ら!!」
「無事だったか」
花雪達が歩む本来の場所、そして彼らの視覚から隠されていた空間が畏を断ち切られた事によって隔たりを失い、傷だらけの淡島の姿と共に出現した
今まで隠された場所、淡島がいない事を気にも留めなかった雨造達は何故、淡島が傷だらけになっているのか、と不思議に思えて仕方ないだろう
「戻って来たか、淡島」
「おめー、どこ行ってたんだよ」
「便所か?」
「き、傷が……!」
「うっせー、一匹妖怪倒したとこだぜ」
「へ?」
幾ら無事で笑顔を見せる余裕があるとはいえ、今の淡島の姿に居ても立ってもいられない様子で花雪は淡島に駆け寄り、その体に手を翳す
目の前で花雪に治療してもらっている淡島が一体いつの間に京妖怪を倒したのか、と頭に混乱を来す仲間達に更なる混乱が振って沸く
『ふぅん、"外殻の地脈"の栓となった妖よりは強いみたいやね、いい部下もっとるやんv』
その声色は京都の方言を使い、温和な響きだというのに聞く者の体の動きを拘束する凄みが耳から駆け抜けた
『でも浮かれるのはまだ早いで
初めまして、君が…彼の孫やね?』
「……あ、ゆらちゃんの…」
いつの間にか自分達の背後を取っていた人物はこの時代から一線を画した烏帽子姿の男、江戸時代を舞台にした映画や読み物に良く描かれる、正式な陰陽師の様相を取っていた
そんな彼の双肩を陣取る様に傍にはゆらの兄である竜二と魔魅流の姿も花雪の瞳で確認出来た
地獄は袋小路へ差し掛かる
(この邂逅が、地獄の大口を開く)