第四十六幕 迷い込むは千並ぶ異界
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「オ!リクオに花雪いるじゃん!! ゲッ雨造もいんのかよ!」
「何だ、オイラーのこと嫌いかー?」
「淡島さんったら……、!?」
一応同郷の仲間では…と淡島の雨造に対する発言に苦笑する花雪は首筋に走った悪寒に思わず振り向く
けれどそこにはめぼしいものは見つからず、自分の後ろに何かあれば、リクオ達が最初に気付く筈かと自己を納得させようとするも探すのを止められない
「…どうしました?花雪様」
「あ…う、ううん…何でもない…気のせい、だったのかな」
「…………」
無数の鳥居を潜り、奥を目指そうと駆け出す花雪達の背後
花雪が気付けなかった、彼女の悪寒の正体である闇から伸びる無数の手は淡島が触れていた重軽石に蔓延っていた
「なぁ…さっきの石ってさ」
「ああ!!「重軽石」なー、あれって思ってたのより重すぎると…不幸がおとずれるとかなんとかってさ―――」
「へ…へぇー」
「しくしくしく、えぇ~ん…」
迷信だと可笑しそうに話す雨造とは打って変わり、淡島は引き攣った笑みでそう返すのが精一杯で
ふとそこに割って入ったのが子供の泣き声、声の主である小さな少年は奥へ伸びる階段の脇に出来上がった鳥居の中でしゃがみ込んでいた
この領域でこんな小さな子供が一人いるのは嫌でも目に付き、淡島は子供の前で足を止めた
「おい…どーした?はぐれたのか?」
「パパとママが…ふぇ~~ん」
「おい…泣いてちゃわかんねぇぞ、やられたのか?」
両親がどうなったかの先を言わずに泣き続ける子供に淡島も手を焼かせる
怯えさせない様にと淡島が言いやすい様に聞くも、少年は泣き続け、その間にも淡島と先陣の間が大きく開く
「おい!! こっちはいそいでんだよ!!」
「シクシク、シクシク」
泣き続ける子供を置いていけず、かといってリクオ達と離れられないと苛立つ淡島はとうとう声を大きく荒げてしまう
その短気故に淡島は気付かない、目の前で泣き続ける子供を媒体に広がる妖気に
「泣くな、ガキ!!」
「淡島さん?」
「どーした、淡島?置いてくぞー」
「マジかよ!?ちょっ…ちょっと待ってくれ!!」
このままでは本当に見失ってしまうと焦った淡島は仕方なく子供を連れ、リクオ達と合流を果したのだった
それでも尚、子供は泣き続け、何があってここに迷い込んだかの経緯を話そうとはしない
「ったく、置いてくわけにゃいかねーしよ…」
「足痛い、ダッコォ~…」
「ハア!?ふざけんな!! これだからオレぁ、ガキは嫌いなんだよぉ!! おい、誰か…」
歩き通しで足の痛みを訴える子供の言葉にとうとう堪忍袋の緒を切らした淡島は子供の世話を他の者に託そうと振り返る
そこで漸く淡島は自分を取り囲み出した異変に気付く、一本道である筈の階段の上からリクオを除いた花雪達が消えた事に
「え…」
思わずそんな間の抜けた声を上げ、淡島は子供を振り返り、周囲を見渡す
それでも花雪達の姿はなく、それに気付かずに先を目指すリクオの背中が異様に際立っていた
「……?おお…?」
ーあれ…?みんなは…?
「お…おい、リクオ!?みんなどこに行った!?」
この、一人で異質と対面している感覚に耐え切れずに淡島は目の前のリクオの肩を引き寄せる
何故彼は進み続けるのか、皆がいなくなった事に気付いてないとでもいうのか
「……淡島…?」
場面は変わり、リクオ視点
声が聞こえた筈なのに、自分の肩を掴んだ感触も確かにあったのに淡島がいないのだ、まるで――神隠しにあったかの様に"消えた"
「…あれ、淡島さんは…?」
迷い込むは千並ぶ異界
(彼の姿は遠く)
(皆を呼ぶ声は反響もしない)