第四十五幕 暁の果てに相見える情景
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―二代目―――私は――
あなたの言葉を―――忠実に――守っているつもりでした……
破壊された槍の破片はまるで思い出を映すかの様に舞い散り、首無はある日の…まだ二代目が存命していた頃の対話を思い返していた
『首無―オレはこいつに選ばせたいと思ってんのよ、人か…妖か』
『二代目…』
『一度妖怪任侠の世界に入っちまったら、もう戻れねぇ
半妖のオレは妖を選んだが、リクオには妖の血が四分の一しか流れてねぇ、こいつの人生はこいつ自身が選ぶんだ…』
『しかし…もしものことがあったら!』
『首無ィ~…お前さんはホントマジメだねぇ~~』
『う…』
『「将軍様の御膝下」でもねぇ「帝都」でもねぇ、「東京」になってまた闇は薄まった…まるでリクオの血みてえに
そう――――こいつが象徴なのさ、人と妖の未来のな…だからこいつの前ではあんまり妖の世界のことは語らずだ、"親父"にもそうやってキツく言っとけ
自分で気付いたのならそんとき見せてやりゃあいい、な?リクオ』
『うわぁ、いたいよ、おとうさん』
彼はしかと自分の息子をその腕に抱き、ニヒルに笑い、眼下にある小さな頭をくしゃくしゃと撫でていた
『お前さんの腕で寝てる花雪もそうだ、オレはそいつにリクオやオレ達の道標だと言ったが…妖や人、どちらを選んでも良いと思ってる』
『ですが花雪様は妖を惹き付けます、こちらにいるしかないじゃないですか』
『決めつけんなって、まあ確かに守ってやる必要はあるが…守るってのは一歩間違えれば行動を制限しちまう
オレは花雪に自由に生きてほしいのよ、純粋な光であって欲しい…それがアイツらの望みでもあっただろうからな』
自分の腕に抱かれ、すやすやと眠る花雪を首無は見下ろす、この小さな光は妖を引き付け、普通の人間としての生活はまず無理だ
だから守らなければならないと思っていた、彼女もそしてリクオも…だがどうだろう、目の前の彼らはこの道を選び守られるだけの存在から脱した
―二代目―――
「バカ…な…」
パキンパキン、とガラスの様に脆く、驚異的な破壊力を晒していた白蔵主の槍は破片を撒き散らしながらリクオの一刀の元に破壊され、持ち主は呆然とそう零した
「ワシの荼枳尼が……それが噂にきく祢々切丸…か
ハハハハハハハハハハ!! ハハハハハハハ!!」
怒りに身を任せる訳でもなく大声で笑いを撒き散らす白蔵主に警戒したままのリクオは拍子抜けされ、きょとりと目を丸くしていた
そんな彼に隙有りと攻撃する事もなく、白蔵主は未だ溢れ続ける笑みを先程より抑えながらも自分を圧倒した彼を賞賛する
「思ってもみなんだわ!! これ程までにワシがたやすくやられるとは!! ふむ、さすがはぬらりひょんの孫といったところか…………!!
首を斬れい!! 相棒なくては生きてはゆけぬ!!」
「へ…?」
「この道級を取り、堂々正面から京に入るがいい!! どーした!?早くせんか!!」
「そ、そんなあっさり……」
「な…何言ってんだ、こいつ」
「本気か…?」
「………」
「ぬ!! しばし待て!! 今「辞世の句」を思いついた!!」
武士としてはあっさり過ぎるその様子に素っ頓狂な声を漏らしたまま、空いた口が塞がらないリクオとその後ろの小妖怪達は違う意味で圧倒されてしまう
そんな彼らをものともせずにあくまで自分のペースを通す白蔵主はどこからか筆を取り出し、今しがた沸騰した「辞世の句」なるものを記す
「身はほろび 京の空に消えるとも 京妖怪の魂 ここに置きます 羽衣狐様、字あまり」
「(あまりすぎだろ………)」
「こいつ…あんま教養ねぇな…」
「さあ!! 思い残すことは無いぞ、やれい!! いさぎよくズバ―――ッと!!」
「ど…どーするんです、リクオ様」
「………わかった」
「え!?リクオ様!?」
「そうだ、思い切り………やれ!南無――――!! 羽衣狐様―――――!!」
「あ…」
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