第四十四幕 夜居の僧の径は群鳥の如く
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「奴良組総大将ぬらりひょん!なにゆえ名乗りでてこんのか
出てこぬのならいたしかたない、総力を上げてこの船を落とすことになるぞ」
「………出すわけがなかろう」
「こんな奴の前にうちの大事なあととりを…姫様もいるって言うのに」
「おい、お前ら…」
「やつの言うことにあわせる必要はない、しかし…強いな。体中から畏がほとばしっている」
「"京の門番"ってとこか…おい………待っているぞ、こっちが名乗り出るのを」
「あの、皆、リクオの話を……」
徹底的にリクオを出さない方向で話を進める首無達にはリクオの言い分も届かない、彼らはまだリクオが遠野で身につけたものを目にしていないからそう言っているのだろう
その逆で共に遠野で技を身につけた花雪は聞く耳を持つ様に声をかけるもリクオと同じ理由でやはり耳には届かずに進んでしまう
「あぅ…」
「花雪」
「?」
「ちょっくら行ってくる」
「作戦かもしれん」
「しかし作戦にしちゃ行動の意味がまったく理解できない」
「とにかく船への奇襲を止めてくれたのはありがたい」
「ここは私が出る!大将が出る必要などない、遠野勢!大将の警護をたのむ」
「……どこにその大将ってのはいるんだい」
花雪に声をかけ、リクオはいつの間にか首無達の中を抜け、一人白蔵主の元へと歩み出していたのを首無達はイタクの言葉で初めて気付かされた
驚きの声にも振り向かずに歩み続ける彼へと慌てて駆け寄り、その肩を引き止めたのは言わずながら彼ー首無だ
「リクオ様!!無茶はおよし下さい!!彼らは京妖怪です…
"畏"を自分のものとしていなければのまれます、おそれながら今のリクオ様では―――」
だがその手にはリクオだった靄だけが残り、彼本人は歩み続けるのを止めてはいない、これこそが今までとは違う証
何が起こったのか掴めない首無は呆然と自分の手から逃げたリクオへと振り向く
「な…」
―なんだこれは…
「首無…こんなとこでビビって名乗りもあげられねぇようじゃ、どの道羽衣狐にゃ刃ぁとどかねぇぜ」
「リクオ様…」
「やらしてやりゃいいじゃねぇか、だから強くなれねーって言ってんだよ。てめーらみてぇなマジメな側近がいりゃあな…」
「花雪、そこで見てな」
「言われなくてもちゃんとここで見てる、行ってらっしゃいリクオ」
イタクに指摘され手を出す事を止めた首無の近くの花雪と会話を済ませたリクオは微かに微笑み、一人白蔵主へと歩み寄る
「オレが大将だ…この京に羽衣狐を倒しに来た、ここを通らせてもらうぜ」
「……ずいぶん若い大将だな…ぬらりひょんではないのか……?」
四百年前に見たぬらりひょん本人とは似使わないリクオの姿にそう問うも彼はただ祢々切丸を鞘から引き抜き、それに応じる為に今まで静止を守ってきた白蔵主も動く
「成程…よかろう!!この白蔵主が相手になろう、坂東妖怪の心意気…見せてみよ!!お主、名を名乗れ!!」
「奴良組若頭ぬらりひょんの孫 奴良リクオ!」
リクオと白蔵主が対峙する頃には東の空が明るみ出し、夜明けが近い事を告げていた
「一つ訊こう、なにゆえ名乗り出た、名乗れとは言ったが―――これまで拙僧の力を見て名乗り出てきた者は…おのれの力もわからぬバカ者だけだ
奴良組の若い大将は力の差わからなんだか!!」
目で直視出来る程に白蔵主からほとばしっていただけの畏はリクオに向けられ、その威圧感は肌を突き刺す
並の妖怪、以前の彼ならばそれだけで呑まれていただろうが彼は真っ向から目の前の敵に食って掛かる
「……あんたも……バカじゃねーか」
「ん……」
「何も言わずに船を落としゃいいものを…だからバカ正直にはバカ正直で応えたくなったんだよ、それと邪魔する奴は斬って進まなきゃならねぇからな」
「ほう…士道をわきまえ―――且つ威勢のいい"クソガキ"だ」
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