第四十三幕 初雁が口に持つ筬に纐纈
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「安心しな首無!! そいつあ―――オレの毒じゃねぇ、ただの傷薬よ!!それで終い!!これ以上味方同士の傷にゃつける薬はこの鴆、持ち合わせてねーんだぜ!!」
そう豪語した鴆にいつの間にか近づいていたリクオが青筋を立て、拳で殴り飛ばした、無言で
「痛え」
「リクオ、何もそこまでしなくても…!」
「………何しに来た、鴆」
頭を抱え、殴られた痛みに震える鴆と同じ様にリクオも体を震わせる、彼の場合は怒りによってだが
「こら…てめーリクオ、またオレをおいていこうとしたがったな!!本家ではってたんだコラ―――――!!」
「オメー体弱ぇんじゃねーのかよ」
「だからって明日あさって死ぬわけじゃねーんだよ」
「何のへりくつだそりゃ!!」
「二人とも落ち着こう?それにここまで来て貰ったんだから、帰ってもらうのは気の毒だよ」
「流石分かってんな、花雪」
「花雪に乗っかてんじゃねーよ」
無茶苦茶な言い分に気遣った花雪の肩に鴆がその腕を回すもののリクオがそれを許す訳なく、彼の手を振り払った後に彼女の肩には自分の腕を置く
突然割って入って来た鴆の姿に首無とイタクの騒動が移り、違うざわつきが三人の背中裏で起こっていた
「血ヘドはいて倒れたってしらねーぞ」
「バカ言え!むしろ本望だな!てめーが三代目になって、花雪を娶るのを見届けられんなよ~!!
つーわけだから二人!これくらいで…テキトーにしとけや!」
「………」
「はい二人とも、鴆の"畏に"気圧されたってことで…いたみわけね!」
「二人とも京都に着く前に満身創痍になったらどうしちゃうの…もう」
呆気に取られた首無とイタクがこれ以上に戦うのを毛倡妓が牽制し、いつの間にか二人に駆け寄って来た花雪は自分の力で二人の傷を癒す
鴆の薬もあってか傷の治癒が早々に終わり、これでよしと呟いた花雪と首無から離れ、イタクは一人立ち上がり背中を見せる
「…タク、鎌鼬のイタクだ」
先程の戦いの中で首無を認めたのだろう、自分の名を告げるとこちらを見ていた小妖怪達に因縁をつける様にドスが聞いた声を放つ、その様子に首無は一つ笑みを零した
「首無、何笑ってるの?私、怒ってるんだからね?」
「え」
「奴良組の威厳も守るべきものだけど…ちゃんと自分の身も大事にして?こんな事が続いてたらいつか無理が祟っちゃうよ、だから…お願い」
「…はい、花雪様にお願いをされたら断れませんからね」
その瞬間、船に沿う様に大量の翼を生やした妖怪達がこれ以上の進行をさせまいと滞空、それは京都の入り口に到着したということだった
「どこの船だ!?月も沈んだ夜明け前、命知らずがまよいこんだか…?」
「おお!?」
「かこまれてたのか!?」
「どうやら…着いたようだな!京妖怪のお出迎えだぜ!!」
「花雪様、どうか後ろから出てこない様に」
「…」
「花雪様…?」
「大丈夫…もう私は守られてばかりじゃないよ」
そう言う花雪の腕では変わらずに月鳴が漂っていた
初雁が口に持つ筬に纐纈
(糸に編み込まれたのは相容れない二つの意志)