第四十三幕 初雁が口に持つ筬に纐纈
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「遠野共よ、たしかに…奴良組が最大の勢力を誇ったのは江戸時代だ
リクオ様のお父上が大将となり関東の荒くれ妖怪をたばね、妖世界の頂点と呼ばれたのだ」
「…お、」
「な、なんだこいつ…急に…」
「リクオと花雪がいるときと別人じゃねぇか…」
「それがどーした?昔話なんか知らん、今どーなんだよ?心配だ、てめーらが足手まといになんじゃねーかってな」
ただ一人圧倒されずに噛み付くイタクの言葉を首無は無表情をそのままに影を携えて聞く耳を立てる
「花雪ならまだ良い、今まで守られるだけだったから知らねぇのも頷ける、だが妖怪ヤクザの若頭たる者が鬼發も鬼憑もわからねぇ!
なぜ誰も教えない?答えは…「誰も使えねぇ」そんな組に上に立たれるなんて我慢ならん」
「無知も度が過ぎると花雪様のようなかわいげがないな、遠野の産土では習わなかったのか」
自己の見解を憶測もなく綴るイタクへと初めてこの場で首無は表情を変えた、ただしそれは今までに見た事がない程の冷淡さを孕んだ嘲笑
「カマを背にした男、礼儀を教えてやる。おもてへ出ろ」
「首無やめな、それ以上は。あたしらだっておさえてんだから」
「……」
「オレたちが上だ、やれるもんならやってみろ」
毛倡妓が制止させた首無へと発した今のイタクの言葉は火に油のそれ以外にもならず、次の瞬間イタクへ首無は飛びかかり、襖を破りながら甲板へと二人は弾き飛んだ
「な!?なんだあぁぁ―――――!?」
「バカ首無ー!」
「キレちゃったよ……しつこいんだよ、イタクも!!」
「………………!」
周囲からの静止の声にも戦い始めたからには目の前の相手しか見えない彼らには届かず、リーチが長い首無の弦がイタクの両手と首を巻き取る
だが彼も遠野の兵士、一瞬は捉えられたものの直ぐさまに鬼憑を使い、拘束から脱する
「イ…イタク―――!!どうしたんだぁ!?」
「……へぇ、ヤサ男だと思ってたら…ヤクザ者っぽいとこあんだな」
「教えてやる、私とて少しは名の知れた妖だ
"常州の弦殺師 首無"、それが私の…江戸時代の呼び名だ」
「えっ」
「ちょうどいい……てめーらの実力が知りたかったんだ」
京都へ到着する前に身内内で一戦が交えられようとしたその時、リクオと花雪は…
「リ、リクオ離して…!あっちで何かあってるみたいだから行かなきゃ、ねっ?」
「また船が揺れでもして花雪が怪我でもしたら元もこうもねぇだろ?もう少しこのまんまだ」
「それって若頭とどうかと思う、よ…?」
…イタクと首無の修羅場に気付かず、一瞬の振動で転けそうになった花雪を抱きとめたまま、リクオはずっと抱き締めていたのでした