第八十二幕 三代続きて、因縁尚深く
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「ごめんなさい、ゆらちゃん。後始末を花開院の人達やゆらちゃんに任せてしまう形になって…」
「へ?ああ!そういうつもりで言ったんやないんやで!月夜見さん!! 真に受けんで!」
「だったらせめて、ここの人達の怪我を治療させてもらえないかな?見た所、怪我人が多いみたいだから」
「あ、うん。そういうことやったら…正直助かるわ」
本家というには掃除に追われる人の数は少ない、戦いの爪痕が見られる事からここで戦いがあったのは事実だろう。今の花雪の言葉は人の影が少ないのは怪我人が出たからでは?と考えての発言だったのだろう
正直、猫の手も借りたい程に慌ただしい為に怪我人の手当をしてもらうのは有難い、怪我人がどこにいるか等、詳しい話を交わしている中でゆらはあ、と一言零して立ち止まる。どうやら、その視線の先にいるのが目的の人の様だ
「秋房義兄ちゃん」
「!…ゆら……」
「奴良組若頭 奴良リクオと申します、こっちは月夜見花雪
ゆらさんに聞きました…秋房さんが妖刀造りの天才だって」
「え…?」
「これを」
頼み事を頼む時にリクオは聞いたのだ、晴明の手によって破壊された祢々切丸をどうにか打ち直せないか、打ち直す事が出来る人間が花開院にいないかと。それを聞き、ゆらが名を挙げたのがこの花開院秋房という人物だった
後片付けの手を休め、リクオが差し出してきた、破壊された長ドスの残骸を手に取った瞬間に秋房はそれが何なのかを瞬時に理解する。その確かな観察眼による反応にリクオは確信する、祢々切丸を越える刀を作れるのはこの人しかいないと
「あなたにその刀を越える刀を作って欲しい、清明を倒すために!!」
ー奴良くん…
「お願いします、共に闘いましょう!」
『ボクも協力するでv』
「
陰陽師や妖という一線を越え、共に晴明と戦う事を説得しようとするリクオを彼を探していた秀元も後押ししに現れた。この秀元こそが祢々切丸の元となった退魔刀を作った人物でもある
一連の流れを聞いていた秀元の頭からはもう、リクオから祢々切丸から取り戻そうという考えは消え失せていた。その代わりに新しく浮かんだのは秋房に自分の知っている全てを教授し、祢々切丸に変わる刀を打たせるという事だった
『知ってること、全部たたきこんだるよ♪まぁ~~君なら出来るやろ』
「わ……私でよければ、この力でよければ…」
「ありがとう!」
全ては自分の心が弱かった為に京妖怪達に操られてしまい、花開院本家をこの様な事態に追い詰めた自分にそんな重大な使命を授けてくれたリクオと秀元の言葉に秋房の目にも涙が浮かぶ。この力を生かせる事がまだ出来るのだ
祢々切丸の事を秋房と秀元に任せる事が出来ると知り、ほっとした花雪とリクオの存在に気付いて現れた人物達がいた。京都へ妖怪探しの旅行にやってきて、花開院本家に保護されていた清継達だ
「花雪ちゃん、やっぱり来てたの!?」
「!カナちゃん!! 清継くん!! みんな!!」
「無事だったんだね!よかった…」
清継やカナ達が京都に行くとは聞いていたものの、羽衣狐との戦いで彼らを探す暇もなかった為にここで無事な姿を確認できたのは幸運だ。戦いはあったものの、花開院家の人々や同行していた青田坊のおかげでカナ達に怪我はない様だ
怪我もなく、無事な事に良かった、と胸を撫で下ろす花雪の隣でその様子を微笑ましく見ていたリクオに清継が狭まって来る。本家に軟禁状態だった為に怪我をせずに済んだものの、同時に妖怪を捜せなかった事を不満に感じているのだろう
「超絶遅いよ、奴良くんなんなの~」
「ゴメンゴメン!」
「見なよこれ、全部妖怪のせいなんだよ。で、どうやって来たの?」
「え?」
「ああ~~及川さん!?無事だったんですかぁあ~」
「あ、こっち来ちゃダメです」
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京都の戦いから早くも数日が経過していた、九月某日の東京ー奴良組の屋敷では各幹部達が広間に勢揃いし、厳かな雰囲気の中で会合が行われていた
「待たせたな。奴良組はこれから地獄からよみがえる鵺たちとの全面抗争に入る、畏のうばい合い…ひるんでいるヒマはねぇ
その指揮はこいつがとる。これはここにいる奴良組幹部の総意である、よいな」
「三代目を継ぐにあたって言っておく、まずオレは人に仇なす奴は許さん」
「!」
「仁義に外れるような奴はなお許さん、たとえ他の妖怪に敗れそうになってもだ――
それは"畏"を失わぬ、そういう妖であれということだ……オレはこの組をそういう妖怪の集団にする。それが
三代続きて、因縁尚深く
(新しい時代へと移り変わる中)
(戦いもまた、新たな舞台へ)