第七十七幕 闇より、黄泉よりのささめき
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破軍によって動きを封じられた所を祢々切丸によって貫かれた羽衣狐だが、彼女はその事実を深く受け止めていない節でいる。今も尚、彼女自身を取り囲む様に降り注ぐ欠片に浮かび上がる記憶に羽衣狐は目を奪われているからだ
手と手を固く繋ぎ合う少女と男の背中、それは他ならぬ羽衣狐がー依代が送った幼少期の記憶。自分を抱き上げる腕の大きさ、花を摘む自身を見守る視線の温かさ――あの人と過ごした日々の全てを、覚えている
「お父様…愛しい時間 だった……リクオは……成長したね…」
『お父様、って…?』
「ど…え…?、!!おい、どういうことだ!! 羽衣狐!!」
鯉伴の姿を見て、発した羽衣狐の言葉にリクオが激しく動揺している間に倒れ込む羽衣狐。何故鯉伴を見て「お父様」と口走ったのか、自分の中にある有り得ない記憶と関係あるのか――まだ彼女には聞きたい事がある
それだと言うのにその目は退魔の刃を受けた事によって、固く閉ざされてしまった。ならば、目覚めるまでこちらも彼女に声をかけ続けるのみと再び声をかけようと喉に力を込めたのと、羽衣狐の身に異変が起こったのは同時の事だった
羽衣狐から飛び出した禍々しい畏、狐の形をしたそれこそが羽衣狐の本体だとすぐに分かった。今、リクオが抱きとめている女性は羽衣狐の依代に過ぎない事は彼女の口から聞いていたのだから
「なっ……なぜじゃああああああ。ありえぬ、この依代には完全に乗り移っていたはず
なのになぜ…!! あ…頭が割れるように痛い…!! なぜじゃ!?400年間、待ちに待った…最高の依代だと言うてたではないか!!」
ー鏖地蔵…!!
「貴様、妾を復活させたとき…何かしおったか!?」
『「お姉ちゃんは…誰?」』
あれはまだ依代が見つからず、小さな祠に羽衣狐が眠っていた時の事だ。長い間、依代を待ち望んでいた羽衣狐にあの少女を献上しに参った人物こそが鏖地蔵だった事を思い出す。何か細工をされたなら、その時しか考えられない
だと言うのに何かを羽衣狐に仕掛けたと思われる本人は沈黙を貫く、あくまでも沈黙を貫くつもりの鏖地蔵に再び声を荒げようとした羽衣狐は鏖地蔵の代わりに発せられた声に動きを止めた、この声から想像する場面を彼女には覚えがあった
その予想通りに振り返った先にあった欠片には鯉伴を殺した羽衣狐と幼いリクオが邂逅した、あの夜の記憶が流れている。自分のものではない視点、覚えのない記憶に鏖地蔵を追求するのも忘れ、羽衣狐の目は欠片に釘付けとなった
『よくやった、これで宿願は復活だ』
『「そこにいるのは…誰?お父さんを刺したのは、誰?」』
欠片に映り込む羽衣狐は何も知らずに微笑んでいる、彼女の視点からは見えなかったものがリクオの視点から成るこの記憶で明らかとなる。何故少年はしきりに誰と繰り返すのか、それはその場に羽衣狐や鏖地蔵の他に誰かがいるからだ
幼いリクオが見つめる先を辿れば、そこには――我が子 安倍晴明と見知らぬ妖達が鯉伴殺害の場を見届けている事実が隠匿されていた。賢い羽衣狐は気付く、この一件に彼らが手を回していたのだと
ーせ………
「せ…、……。せいめい、お前……お前が後ろで糸を引いておったのか!?答えよ、晴明
うう…消える、痛い!! 焼けるように痛い…!!」
我が子が自分の知らぬ間に裏で糸を引いていた事実を知ったのと同時にその本人も自分を包んでいた殻を全て破り終え、現世に姿を現そうとしていた。羽衣狐の怒りも復活した子へ追求となってぶつけられる
だが依代から抜け出しても尚、自分を喰い潰そうとする依代の記憶に苛まれ、追求は中途半端な形で途絶える事となる。依代と羽衣狐の人格がせめぎ合う事で発生する頭の痛み、それから母を救う様に子は手を差し伸べて来た
手と手を固く繋ぎ合う少女と男の背中、それは他ならぬ羽衣狐がー依代が送った幼少期の記憶。自分を抱き上げる腕の大きさ、花を摘む自身を見守る視線の温かさ――あの人と過ごした日々の全てを、覚えている
「お父様…愛しい
『お父様、って…?』
「ど…え…?、!!おい、どういうことだ!! 羽衣狐!!」
鯉伴の姿を見て、発した羽衣狐の言葉にリクオが激しく動揺している間に倒れ込む羽衣狐。何故鯉伴を見て「お父様」と口走ったのか、自分の中にある有り得ない記憶と関係あるのか――まだ彼女には聞きたい事がある
それだと言うのにその目は退魔の刃を受けた事によって、固く閉ざされてしまった。ならば、目覚めるまでこちらも彼女に声をかけ続けるのみと再び声をかけようと喉に力を込めたのと、羽衣狐の身に異変が起こったのは同時の事だった
羽衣狐から飛び出した禍々しい畏、狐の形をしたそれこそが羽衣狐の本体だとすぐに分かった。今、リクオが抱きとめている女性は羽衣狐の依代に過ぎない事は彼女の口から聞いていたのだから
「なっ……なぜじゃああああああ。ありえぬ、この依代には完全に乗り移っていたはず
なのになぜ…!! あ…頭が割れるように痛い…!! なぜじゃ!?400年間、待ちに待った…最高の依代だと言うてたではないか!!」
ー鏖地蔵…!!
「貴様、妾を復活させたとき…何かしおったか!?」
『「お姉ちゃんは…誰?」』
あれはまだ依代が見つからず、小さな祠に羽衣狐が眠っていた時の事だ。長い間、依代を待ち望んでいた羽衣狐にあの少女を献上しに参った人物こそが鏖地蔵だった事を思い出す。何か細工をされたなら、その時しか考えられない
だと言うのに何かを羽衣狐に仕掛けたと思われる本人は沈黙を貫く、あくまでも沈黙を貫くつもりの鏖地蔵に再び声を荒げようとした羽衣狐は鏖地蔵の代わりに発せられた声に動きを止めた、この声から想像する場面を彼女には覚えがあった
その予想通りに振り返った先にあった欠片には鯉伴を殺した羽衣狐と幼いリクオが邂逅した、あの夜の記憶が流れている。自分のものではない視点、覚えのない記憶に鏖地蔵を追求するのも忘れ、羽衣狐の目は欠片に釘付けとなった
『よくやった、これで宿願は復活だ』
『「そこにいるのは…誰?お父さんを刺したのは、誰?」』
欠片に映り込む羽衣狐は何も知らずに微笑んでいる、彼女の視点からは見えなかったものがリクオの視点から成るこの記憶で明らかとなる。何故少年はしきりに誰と繰り返すのか、それはその場に羽衣狐や鏖地蔵の他に誰かがいるからだ
幼いリクオが見つめる先を辿れば、そこには――我が子 安倍晴明と見知らぬ妖達が鯉伴殺害の場を見届けている事実が隠匿されていた。賢い羽衣狐は気付く、この一件に彼らが手を回していたのだと
ーせ………
「せ…、……。せいめい、お前……お前が後ろで糸を引いておったのか!?答えよ、晴明
うう…消える、痛い!! 焼けるように痛い…!!」
我が子が自分の知らぬ間に裏で糸を引いていた事実を知ったのと同時にその本人も自分を包んでいた殻を全て破り終え、現世に姿を現そうとしていた。羽衣狐の怒りも復活した子へ追求となってぶつけられる
だが依代から抜け出しても尚、自分を喰い潰そうとする依代の記憶に苛まれ、追求は中途半端な形で途絶える事となる。依代と羽衣狐の人格がせめぎ合う事で発生する頭の痛み、それから母を救う様に子は手を差し伸べて来た