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むき出しとなった岩肌で象られた額面の中、細い糸のような雨が流れていた
空からの雫が地面を叩く音に鼓膜を揺らされながら、深い原生林の中に存在する洞窟内でルシティカと天草が雨の止むタイミングを伺っている
「雨、止まないねー」
「レイシフト先で逸れるとは、なんとも運がないですね…」
「でもびっくり!さっきまであんなに晴れてたのに、こんなに雨が降るなんて」
「マスター、服が濡れてしまいますから」
「シロウが貸してくれた外套があるから、大丈夫!」
突然、降り始めた雨というアクシデントをも楽しむようにルシティカは声を弾ませ、天草へ笑う
知らぬ時代へのレイシフト、加えての悪天候と通信障害での孤立、少しは気を落としても仕方がない…というのに、己がマスターの無邪気さは彼女を見守る天草の気も明るくしてしまうのだ
だがいくら外套を羽織っていると言っても、洞窟の屋根から思いっきり頭を出しては雨除けの意味がない。雨の雰囲気を楽しむルシティカを呼び戻そうと、名前の一音目を含んだ時──
「ルシティカ―!天草ー!」
「あ!リツカの声だよ」
「どうやら探しに来てくれたようですね」
「うん、早く行こう!」
まさに天草が名前を呼ぼうとしたその時、彼の声を覆うようにして届いた呼びかけ
この地へ同じくレイシフトしてきた藤丸の声に違いない、呼びかけられた連鎖から振り向いたルシティカの笑顔、声よりも天草の心に響いたのはその瞳だった
「──シロウ?」
「…!いえ」
「雨があがってから、リツカ達の声がした方に行ってみる?」
「早く顔を見せてあげた方が彼らも安心するでしょう。それに」
「ん?」
「晴れ間が覗いてきたようなので」
雨はまだ止まず、ましてや青年の言う晴れ間など、空のどこにも見当たらず
だが彼の目には──その琥珀色の瞳の中にだけ、確かに晴れ間が存在していたのだ
遠くから呼びかける戦友の存在に気付き、ルシティカが笑顔を濃くした瞬間に雲間は開かれた
──透き通った夏空色の瞳の瞬きは刹那、無数の雨粒の中でプリズムを放つ宝石へ姿を変えてしまったのである
眩しいとも言語化してしまう程の輝きに目を細めた天草の表情は、きっとルシティカには笑顔に見えたことだろう。
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