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揺蕩うクラゲへ変容したかのような夢を見た
目覚めの一瞬だけが鮮明に網膜に焼き付き、飛び起きた筈のルシティカは未だに半分夢の中へ足を踏み入れた状態で現実を彷徨っていた
「炎の夢ぇ?なんじゃそれ、また変なモンが起こる予兆とか言わんじゃろうな…」
「ぐだぐだな事が起きる前ぶれって大体、ノッブに出るじゃん!頭なくなったり、頭なくなったり!」
「いやー、ワシに首ったけな奴が多すぎて困っちゃうよネ!」
「今の話って首とかけてたりするの…?」
「お、そこが分かるとは…さっすがワシのマスターじゃのう!」
普段は無邪気さ、幼さ故に周りを引っかき回すルシティカもかの魔王を相手にするとこの通り、隠し属性である姉としてツッコミに回らざるを得なくなる
豪快に大口を開けて笑い飛ばす信長の輪郭が刹那、彼女を中心に発生した熱によって溶ける
スプリンクラーが誤作動でも起こしてしまいそうな熱風がルシティカの頬を撫でた頃、新たな信長の一面が別霊基として言葉を用い始めた
「それで?その夢っていうのは滞りなく終わったんだな、マスター?」
「う、うん?昨日見ただけだから、終わったのかは分からないけど…今は平気だよ」
「何か起こるっていうなら、そこから現実に何か生じても可笑しくないもんだが…それもなしか」
「あのね、ここまで話しててあれなんだけど、あの夢は悪いものじゃなかったと思うの
だって一面に咲くアマリリスみたいで綺麗で、とても安心し……わあっ?!」
「わっはっはっは!やはり俺とそなたは気が合うとみた!
得体が知れないからこその魔性とは良く言ったもの、だがしかし…見惚れ過ぎて足を踏み外すでないぞ」
「……?」
無遠慮に撫でつけられ、ボサボサに荒れ狂った髪の隙間から覗く幼い瞳に織田吉法師と名乗った復讐者の英霊はまた笑う
ここに姿を現しはしないもう一人の織田信長、神仏衆生の仇という畏れを元に象られた"魔王"。ルシティカの気に入り方は三者ともに異なるものの、魔王信長はその中でも異質である
「──この我の眼を掻い潜れる、本気でそう思うたか?」
己を守るものを持たない一糸まとわぬ精神体の少女の夢を蝕もうと、内側から破壊しようとした何者かの存在に気付いた魔王が操る炎、それこそがルシティカの見た炎の海の正体
夢の中で体を動かす事もままならないマスターに抵抗のしようがないのをいいことに魔王は一方的に言葉を投げかける。それは独り言のような、言葉遊びに興じる子供のようで──
「無防備を晒すでない、例え我の前であっても」
「ここが貴様の旅の執着、涅槃の果てとなっても良いと言うなれば、別であるが」
これは夢、無意識の底にルシティカが隠した夢の名残
彼女が覚えていたのは魂すらも焼き尽くそうとした炎、飛び起きた際に体を濡らす汗の熱さ、アマリリスの花だけである。
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