いつかの時に忘れ去った呪い
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──ある喜劇作家は彼女へこう問うた
『彼は吾輩にひと時であろうと喜劇を執筆する時間を設けた!感謝以外はありませんな!
吾輩ばかりが応えるのもあれなのでここで一驚を!喜劇とは言えぬ彼の人生、そちらはどう思いますかな?』
──またある毒殺者の女帝は彼をこう嗤った
『あの者に対する言葉を我は持ち合わせてはいない
だがもし我と共にいた神父と同じ側面を持っているのなら──あれ程に愚直なまでに哀れな男はいないだろうな?』
「シロウ!こんな所にいた!」
「おや、マスター。何か私に用向きでも?」
「ダ・ヴィンチちゃんとドクターが聖杯がある可能性の小さな特異点を見つけたって!
だから今度のレイシフト、シロウにも調査に同行してほしいの」
「私でよろしいので?」
「シロウは信頼に足る英霊だからね、寧ろこっちがお願いしたいくらい!」
「──そうですか」
あ、まただ、またシロウはそんな風に私へ笑いかける
シロウの私へ対する表情はいつも嘘っぽくて張りぼてで、感情を上手く隠すのにその時の笑顔は感情の一欠片が見え隠れする。あの感情に名をつけるとするなら何だろう?
「腹立たしい…とか?」
確かに少しだけ苛立ちは感じるけど、そういう乱暴な名前ではないと思う
シロウ本人が暴力的なものは嫌いな英霊だから多分違う。……荒事は苦手なのですがと戦闘を渋る癖に始まったら、容赦ない殲滅活動するのに何言ってるのと言いたくはなるけど
「…嘆かわしい?」
自分で行きついた言葉はすとんと胸へ府となって落ちた。そうだ、あれは嘆かわしいものを見る様な笑顔なんだ
でもどうして?どうしてシロウは信頼という言葉によって《嘆かわしい》という感情を表面へ浮き彫りにしてしまうのだろう?何故──あんな、罪に手を汚した人の弱さを嘆く様に彼は笑うんだろう
「ねえ、リツカは信頼ってものを重く感じる方?」
「…また天草との事で何か悩んでる?」
「…何で分かるの、もー!」
「いや、ルシティカがそんな顔する時って大体天草絡みなの分かってきたからさ」
「私、どんな顔してる?」
「んー…マシュに『女性に対する発言としてデリカシーがなさすぎです!』って怒られるから言わない」
むぅ、どこまでもマシュ好きマスターめ。いいもん、今度ジャンヌにその表情とやらを見てもらって教えてもらうから
いつもは色んな人やサーヴァントで賑やかな食堂はピークの時間帯を過ぎたせいか、静かな空間となったここでリツカと次のレイシフトに備えつつも私は勝手にお悩み相談室を開くのであった
私が勝手に開いた相談室に投函した悩み事に苦笑を浮かべながら、くるくるとフォークに巻くパスタは真剣に悩むリツカが答えとして一つの結論をまとめ上げる作業みたいで面白くてつい手元を見つめる
「俺は時々、信頼は怖く感じる時があるよ」
「マシュからの信頼が?何だか意外かも」
「いや、マシュからのって限定する訳じゃなくてカルデアの皆からの期待とかを含めた信頼は時々、重く感じる時がある
俺の背中には人理の明日がかかってるんだ、だから絶対に生きる為の方法を見誤っちゃだめなんだって押しつぶされそうになるよ」
「…そっか。うん、そうだね…」
「天草の信頼に対するマイナスの考えって俺達と似通った所があるかもな」
かつて島原という地と、そこに住む民達を救おうとした青年──それこそが私と縁を結んでくれた天草四郎という英霊だ
でも彼が言うには3万と7千に及ぶ人々をシロウは『救えなかった』、たった1人でもという彼の祈りは『届かなかった』、彼は天草四郎に注がれた信頼を『還せなかった』。そこからきっとシロウは人を救う事を止めた
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