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「シロウー?……シローウ、大丈夫?」
「酔ってません」
「知ってる?酔ってる人は大体そう言うんだよ」
「酔ってません」
緑の外套が印象的な弓兵のロビンフッドにルシティカが呼び出されてから早数分ほど
英霊達の間で飲み比べ──という名のただの飲みの席に珍しく参戦するも、久しぶりと言う事もあって飲むペースを調整できなかった天草が潰れてしまった
呼び出しの文言にいまいち信頼を持てなかったルシティカではあったが、どんな言葉をかけても酔ってないの一点張りの彼の姿を前にすれば、その疑いもたちまちの内に消えてしまうというものだ
「わ、わわ…っ!」
「ふふ、マスターは温かいですね」
「シロウ、絶対飲み過ぎだよ…」
「私のどこが飲みすぎと」
「今の状況全部がシロウが酔っぱらってるって物語ってるのッ!」
ミステリー小説の探偵よろしく状況証拠を天草相手に突き付けるルシティカではあるが、内心は彼が体を預けてきた事への動揺で混乱に渦巻いていた。意地でも表に出さないようにしているのは相手が酔っ払いからだろう
日ごろから掴みどころのない言葉にやきもきし、はたまた毒を操る最古のアサシンと一緒にいる場面でやきもちを焼いているというのにまさか酔ってもなお自分を振り回すなんて
ここまで感情を右往左往させる存在は天草四郎だけだ、なんてルシティカは首筋にかかる柔らかな髪にくすぐられながら、自己分析をそのように締めくくる
「(でも英霊の人達がここまでアルコールに酔っぱらうなんて、ありえるのかな…?)」
それはふとした際に沸いた疑問
一部の英霊の中にはアルコールに身を任せるがままに酔う者もいるが、多くは『酔わない』と決めた時点でその意志が抗体となって酔う事自体がないのだと教わった事がある
聖職者として飲む事自体は少ないものの、天草が例え飲酒するとしても彼が隙となるような酩酊状態を選ぶとはルシティカには思えなかったのだ
「……マスター」
「ふぁい?!」
「すみません、よそ見をされたものでつい用事もないのに声をかけてしまいました」
「シロウなら、用事がなくてもいいよ」
「……酔うと人肌が恋しくなる、というのはあながち間違いでもないですね」
「え?それってどういう──」
「えい」
──文字だけを見れば可愛らしい掛け声、とは裏腹に抱き締められた腕の強さのアンバランスさに目眩がした
ぎゅうぎゅうと隙間なく、その隙間さえも埋め尽くそうとする天草の酔っ払い加減に流石に声をあげようとして、初動をかけた唇から飛び出しそうになった言葉を呑みこむ
代わりに仕方がない、と言わんばかりに力を抜いて笑い、ルシティカは天草の肩に顔を埋める
「ねえシロウ、私がいない所でお酒飲んじゃだめだからね」
「元よりそのつもりです」
「…セミラミス様から勧められても、絶対にだめなんだからね!」
「ええ、もちろん」
「本当の本当に、だめだからね」
「私、そんなに信用ありません?」
「だって今のシロウ、酔ってるから」
ねえ、でもね、その赤い耳だけは隠せてないって知らないんでしょう
折角の酔っ払いのフリに横やりが過ぎるか、なんて考えてルシティカは自分を抱き締める天草に身を委ねた。
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